火
21
5月
2013
国土交通省はこのたび、通達を正式に改正して高速乗合バス・貸切バス運転者が1運行でワンマン運転できる距離を「夜間※は原則400kmまで」、「昼間は500kmまで」に制限することをバス事業者に通知しました(平成25年8月1日施行)。
これを超える場合は交替運転者が必要になります(※「夜間」とは運行が午前2~4時の深夜にかかる場合)。
2012年4月29日に発生した関越自動車道での高速ツアーバス事故を受けた居眠運転防止対策の一環ですが、すでに夜間高速ツアーバス、貸切バスに関しては2012年から実質的に実施されています。
今年7月をもって高速ツアーバスの営業を禁止し、旅行会社に7月末までに乗合バスの事業許可を取らせて、2013年8月以降は高速乗合バスに事業形態を1本化して運行させるため、通達を整備したものです。
なお、関越道事故の後、国土交通省が実施した高速バス運転者5千人へのアンケート結果によると、80%を超える運転者が連続運転に不安を感じる距離として「500km以上」をあげています。この結果を経て、これまで規制のなかった昼間にも上限を設けることになっています。
主な改正点は以下の通りです。詳しくは、下の通達(PDF)をダウンロードして確認してください。
【高速バスワンマン運行の 実車距離の上限】
改正前 時間帯にかかわらず1運行670km
改正後 夜間 原則1運行:400km(一定の条件を満たすと、500km)
昼間 原則1運行:500km(一定の条件を満たすと、600km)
【ワンマン運行の 夜間連続乗務回数】
改正前 とくになし
改正後 連続して4夜まで
(実車距離が400kmを超える場合 2夜まで)
【ワンマン運行の 連続運転時間】
改正前 連続運転時間は4時間まで(改善基準告示)
改正後 高速道路の実車運行区間で、概ね2時間まで(昼夜とも)
●「高速ツアーバス」とは
旅行会社が高速道路を利用し2地点間の移動のみを主目的とする募集型企画旅行として貸切バス会社に委託して運行していました。
これが8月以降は禁止され、旅行会社は高速乗り合いバスの事業許可を7月末までに取る必要があります。
【関連記事】
・高速バス一本化:単独運行は昼間500キロ、夜間400キロ (2013.02.14)
・貸切夜間バスの交替基準も、原則として400キロに──12月1日より適用 (2012.11.27)
・高速ツアーバス規制強化 7月20日から実施 (2012.07.19)
・高速ツアーバスの緊急安全対策(続報)──国土交通省 (2012.06.29)
金
26
4月
2013
政府は、悪質・危険な運転者への処罰を強化するため、今国会に二つの法案を提出し、現在審議中です。
法案が可決されれば、6か月以内に施行される内容があり、今年度中にも危険運転や無免許運転の罰則などが強化される見込みです。
関連法案は次の2本です。
1 自動車運転致死傷処罰法案(新法創設と刑法の一部改正)
2 道路交通法一部改正案
■自動車事故関連の刑罰を新法で一つにまとめるとともに、危険運転致死傷の適用範囲を広げ、無免許運転の罰則を強化します。
悪質・危険な運転の被害者や遺族の要望を踏まえ、自動車事故に対する刑罰の仕組みが変わります。
今まで、危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪は刑法における別々の条文でしたが、法案ではこれらを刑法から削除し、新たに「自動車の運転により人を死傷させる行為への処罰に関する法律」を制定し、刑罰の軽重を定めます。
●通行禁止道路の危険走行・高速逆走などを追加
新法制定に伴い、危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)の適用対象として、新たに、「歩行者天国」など通行禁止場所で事故を起こした場合や高速道路での逆走運転を追加します(新法の第2条第6項)。
●意識を失う恐れのある持病などによる運転を追加
さらに、今まで危険運転の対象にはなかったてんかんや統合失調症など一定の病気(政令で定める)を含めて、「飲酒・薬物・疾病の影響によって正常な運転に支障が生じる恐れがある状態」を認識しながら事故を起こした場合も、危険運転致死傷罪が適用され、死亡事故の最高刑は懲役15年となります(新法第3条)。
現行は、飲酒・麻薬などによる明らかな酩酊状態などでない限り、危険運転適用には難しい面がありますが、改正により適用できる範囲が広がると考えられます。
●「飲酒影響等の発覚免脱罪」を追加
このほか、飲酒運転などを隠すために逃走する運転者の逃げ得を防ぐため、飲酒・薬物の影響の発覚を免れるために逃走した場合、懲役12年以下となる「発覚免脱罪」を新設しました(新法第4条)。
もっとも刑罰が軽いのは過失運転致死傷罪で、最高刑は現行の自動車運転過失致死傷罪と同じく懲役7年です(新法第5条)。
●無免許運転の場合3~5年を加重
また、事故を起こした運転者が無免許運転である場合の罰則を新たに規定し、それぞれ刑が3年から5年加重されますので、自動車運転過失致死傷でも無免許運転であれば懲役10年など、厳しい罰則の適用が可能になります(新法第6条)。
■運転中に意識を失うなどの症状を隠して免許を取得・更新する運転者対策のほか、道路交通法でも無免許運転の罰則を強化し、無免許運転を幇助する人への罰則を新設します。また、自転車の安全対策が盛り込まれています。
① 一定の病気等の運転者対策
公安委員会は運転免許受験者や更新者に病気の症状等の質問をすることが可能になり、虚偽の回答をした者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑を受けることになります。
※(一定の病気は別途政令で定める──てんかん、統合失調症、再発性失神、
無自覚性低血糖、などで運転に支障をきたす症状があるもの)
また、病気を診察した医師が任意で患者の診断結果を公安委員会に届け出ることができるようにします(医師の守秘義務の例外に)。
このほか、交通事故を起こした運転者が一定の病気に該当すると疑われる場合は、専門医の診断による取消処分を待たずに、暫定的な免許の停止措置もできるようになります。
② 悪質・危険運転者対策
無免許運転の罰則を「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に引き上げ、無免許運転の下命容認、免許証不正取得の罰則も同様に強化されます。
さらに、無免許運転の幇助行為が禁止され、罰則が設けられます。
無免許運転をする恐れがある者に車を提供して無免許運転が起こった場合は無免許運転者と同じ罰則が、無免許運転を知りながら車で送るよう依頼して同乗した者は、「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」が適用されます。
③ 自転車利用者対策
信号無視や遮断踏切立入、飲酒運転など悪質な違反を2回以上繰り返す自転車利用者に講習の受講を義務づけます。未受講者は罰金刑が適用されます。
また、自転車のブレーキが効かない恐れがある場合、警察官はその場で停止させて検査ができるようになり、応急整備のできない自転車は、その場で運転の継続が禁止されます。
このほか、自転車の通行方法の規定が整備され、左側通行徹底のため自転車が通行できる路側帯の通行も、道路左側に設けられた路側帯のみが通行可能となります。
【法改正の背景】
2011年4月、鹿沼市の国道で登校児童の列にクレーン車が突っ込み小学生6人が死亡した事故などを端緒に、「運転者が意識を失うような疾病を隠して免許を取得・更新すること」への問題点が議論されるようになりました。被害者からは、事故を危険運転致死傷罪として裁けないのかという切実な要望もありました。
また、2012年4月に京都市祇園で発生したドライバーの疾病が関係したと疑われる暴走事故や、亀岡で発生した無免許運転による通学中児童等の死傷事故も、新法提案に影響を与えています。