交通事故の判例ファイル13(心神喪失による事故)―その2

意識喪失で無罪となった判例

判例3「ノイローゼによる事故」で不起訴処分(刑事)

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 2000年7月20日、家出していた長女を探しに行くため、車に妻と長男を乗せて運転して走行していた男性が、他の車に追突した直後にそのまま反対車線を逃走し、交差点で対向車線に進入して逆走したため、対向車線を走行してきた被害者運転の車と正面衝突、被害者は搬送先の病院で死亡してしまった。


 この事故で、加害者の男性は事故の3日ないし4日前から、家出した長女のことが心配で、食事も取らず、不眠状態が続いて極度のノイローゼに陥っており、本件事故前には、お経のようなものを唱えたり、「宗教が守ってくれるから大丈夫」「信じる者は救われる」などと言ったりして自動車を運転していて、事故当時の状況をまったく覚えていなかった。事故当時は精神上の障害により、心神喪失状態にあったと主張した。


 事故後は業務上過失致死傷罪で検察官送致されたが、大阪地検は二度にわたる精神鑑定の結果を踏まえ、運転者は事故当時「心神喪失状態であった」として不起訴処分とした。

判例4「てんかんによる事故」で運転者が無罪(刑事裁判)

 1999年10月、兵庫県三木市内で自動車を運転中にてんかん発作を起こし、小学生3人を死傷させ、業務上過失致死傷罪に問われた当時56歳の女性に対して、神戸地裁は2003年4月16日、心神喪失状態だったという女性側の主張を受け入れ、無罪を言い渡している。


 判決文によると、問題の事故は1999年10月26日に兵庫県三木市内で発生。小学校から下校中の児童3人の列に後方から走ってきた56歳の女性が運転するクルマが突っこんだ。この事故で1人が全身打撲で死亡、2人が重傷を負い、女性は業務上過失致死傷容疑で逮捕された。


 女性は逮捕直後から「事故当時は運転中に持病のてんかん発作が起き、クルマをコントロールできる状態になかった」として、事故が心神喪失状態で起きたと主張していた。


 神戸地裁の前田昌宏裁判官は女性の持病を認めた上で、「鑑定の結果、事故直前に持病の発作が起きた可能性があり、女性の責任能力には合理的な疑いが残る」と指摘した。

 

 その上で「女性が服用していた薬には急激な眠気を起こす副作用はない」とも認定。心神喪失状態に陥っていたという女性の主張を全面的に採用し、禁固1年6カ月を求刑した検察側の主張を退け、女性に無罪の判決を言い渡した。

それでは、意識喪失で損害賠償を命じた判例を見てみましょう。

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