高速道路の本線上にとどまらない!

 最近、高速道路上で停止した車両に後続車が衝突したり、歩行者がはねられる事故が続発し、警察では運転者に強く警戒を呼びかけています。


 新入社員が入社する時期でもありますので、高速道路走行の基本として、本線上で停車することの危険を周知徹底しておきましょう。

●事例1──高速道路上で口論中、トラックが追突──2人死亡

高速道路停止車両に追突
   写真は事故のニュース映像より

 去る3月28日午前3時頃、阪和自動車道の下り線(大阪府松原市立部)で、追越車線と走行車線に止まっていた3台のトラックに大型トラックが追突し、路上にいたトラック運転者2人が死亡する事故が発生しました。

 現場は片側3車線の直線道路でしたが、死亡した2人は中央寄りの2車線をふさぐ形でそれぞれトラックを止めて、通行を巡るトラブルで口論していたとみられています。3台目のトラックは死亡した運転者の同僚の車で、同僚は2人の口論を止めようとしていました。

 高速道路警察隊は、追突した大型トラックの運転者を自動車運転過失致死傷の容疑で逮捕しましたが、この運転者も、夜中の高速道路でまさかトラックが本線上に3台も止まっているとは思っていなかったでしょう。

■事故を誘発する高速道路上の停車

 このような高速道路上での不用意な停車は、非常に危険な行為であり厳に慎むべきですが、接触や軽い追突などの場合も本線上にそのまま停止して話し合いをする車が多く、後続車の続発事故を招いています。

 

 道路交通法では、故障時などでやむを得ない場合を除き、高速道路に車を駐停車させることを禁止しています(※)。車両の不具合に気づいて停止する場合も、できるだけ惰力で走行して広い路肩・路側帯や非常駐車帯まで車両を移動させることが求められます。

 

 なお、不用意な停車をして事故を誘発した場合は、次の事例のように車を止めた運転者が罪に問われることもあります。

●事例2──バスを止め口論、追突事故を誘発した運転者に実刑判決

東北自動車道バス停車追突事故

 2011年8月7日午前1時半ごろ、東北自動車道で停車中の高速バスにトラックが追突し1人が死亡、26人が重軽傷を負った事故で、口論のためバスを停車させ事故を引き起こしたとして、乗用車の運転者(44)が自動車運転過失致死傷罪で逮捕されました。
 停車したバスの運転者(42)も、ハザードランプを点灯させるのみで三角停止板等の設置を行わず降車直後から口論を始めていたことが、その後の調べで判明し、「後続車に対する告知を怠った」として、同罪容疑で書類送検されました。
 
 乗用車の運転者は「車線変更しようとしたバスに腹が立った」ため、バスの前方で自分の車を止め、バスを走行車線に停車させました。運転者とバス運転者が車から降りて路側帯で口論している最中にトラックが追突し運転者が死亡する事態に発展したのです。
 
 乗用車の運転者に対しては、正式な刑事裁判が行われ、「車をあえて停止させ執拗に文句を言い、衝突事故を招いた行為は危険かつ悪質」と懲役1年4月(求刑・懲役2年)の実刑判決が言い渡されました(宇都宮地裁2011年12月26日判決)。

■トラブルが起きても本線上での交渉は厳禁!

 高速道路で接触などの理由により他車とトラブルが発生しても、安易に車を止める行為だけは絶対に慎むように運転者に指導しましょう。


 最寄りのサービスエリアやインターまで一緒に走行して、安全な場所で落ち着いて話し合うなど方法はいくらでもあります。

 自車に責任がある場合、当て逃げと間違われないようにする必要はありますが、後続車の危険をアピールして、安全な場所に移動するよう意思表示させてください。

■高速道路でも停止車両と歩行者の存在を予測させよう

「故障車」などの表示にも注意しよう!
「故障車」などの表示にも注意しよう!

 高速道路の車が快適に流れていると、「渋滞も発生していないし、まさか停止している車はないだろう」と思いがちですが、実際には様々なトラブルが発生する可能性があります。
 考えの浅い運転者や乗員が、不用意に本線上に立っている危険性もゼロとは言えません。


 100キロ近い速度を出しているときには、危険を発見して急ブレーキを踏んでも、停止距離が約100mは必要であるということを常に意識して、前方への注意を怠らないことです。
 特に夜間は停止車両の発見が遅れ、場合によっては走行している車と勘違いすることも多いので、警戒するように指導しましょう。

【※高速道路における停車・駐車の禁止──道路交通法75条の8】
 自動車は高速自動車国道および自動車専用道路では、次の例外を除き、停車、駐車をしてはならない。

●例外
 ①警察官の停止命令、危険防止のための一時停止
 ②非常駐車帯などパーキングエリアでの停車・駐車
 ③故障等やむを得ない理由で、十分な幅員のある路肩や路側帯に駐停車するとき
 ④高速乗合バスが所定の停留所で乗降のため停車するときなど
 ⑤料金支払いのための料金所での停止

・罰則─10万円以下の罰金
・違反点数──2点
・反則金 大型車 15000円
     普通車 12000円
     二輪車  7000円

【※高速道路における故障等の場合の措置──道路交通法75条の11】
 高速自動車国道および自動車専用道路で、故障その他やむを得ない理由により走行できなくなったときは、速やかに本線車道等以外の場所に移動し、所定の停止表示器材を後方から来る車の運転者の見えやすい位置に表示しなければならない。

【故障車両表示義務違反】
・罰則─5万円以下の罰金
・違反点数──1点
・反則金 大型車 7000円
     普通車 6000円
     二輪車 6000円

(2012.3.30更新)

■教育用ビデオ「ハイウェイで まさか!~高速道路に潜む危険~」

 高速道路では、さまざまな『まさか』の事態が発生します。突然のパンク、逆走車やいないはずの歩行者との遭遇など、まったく予想もしない事態によって重大な事故を引き起こすことがあります。

 

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 運転者の皆さんが初心にかえり、高速道路での事故防止に努めていただくことを目的に制作しました。

 

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