2012年

4月

16日

運転者の疾病管理は万全ですか?

京都市東山区歩行者7人死亡
 京都市東山区の事故を伝える報道記事

 さる4月12日、京都市東山区の路上で、ドライバーの疾病が関係したと疑われる事故が発生しました。今回は、運転者を含む死者数8人重軽傷者11人という大事故です。

 

 事故を起こして死亡した運転者には「てんかん」の既往がありましたが、他車を避けて運転していた目撃証言もあるため、発作による意識喪失事故ではなく、最初の追突事故で動転して暴走した故意による事故の可能性もあり、現在、京都府警が捜査中です。

 

 いずれにせよ、事業所の従業員のなかにも持病により運転に影響を受けるドライバーがいる危険性がありますので、この事故を契機に運転者の疾病管理について見直しておきましょう(こちらの記事も参照)。

■運転に影響を与える病気は少なくない

 交通事故総合分析センターによると、発作・急病を伴う交通事故の発生件数は例年200〜300件で推移し、件数はそう多くありませんが、死亡事故率は発作・急病を伴わない事故の約6倍と、重大な結果に繋がりやすくなっています。

 運転中に意識を失う恐れのある発作のある病気は「てんかん」には限りません。突然の居眠りなどを含めて次のような病気による事故のリスクがあります。

疾病が関連した重大事故

■健診検査項目の抜けがないかチェック

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 これらの事故の分析資料()をみると、深夜営業運転者に義務づけられている6ヶ月に1回の定期健康診断を実施していなかった事例(バス・くも膜下出血)があります。

 

 また、乗合バスの運転者の低血糖による意識混濁事故では、雇入時の健康診断が不十分だったという指摘もみられます。

 雇入時に事業所では法定検査項目の一部だけ受診を指示していて、運転者の既往歴・業務歴の調査、自覚症状及び他覚症状の有無の検査、腹囲の検査、胸部X線検査、LDLコレステロール及びHDLコレステロールの量の検査、血糖検査を行っていなかったことが指摘されています。


 健康診断はスクリーニングであり、脳のCTなどを指示することは難しいので、常に疾病が把握できるという保証はありませんが、法定診断をすべて実施して診断結果をよく調査すれば、糖尿病などの発見はある程度可能です。
 なお、既往歴の申告について、運転者に繰り返し指導することも重要です。

 

(※国土交通省:自動車運送事業に係る交通事故要因分析報告書──社会的影響の大きい重大事故の要因分析)

■点呼時の健康観察が重要!

 健康診断だけでなく、点呼や朝礼時における日々の健康観察が極めて重要です。ダンプカーの心筋梗塞事故の場合は、仕事に出かける前に「胸が痛くて苦しい」と話していたそうです。
 このような体調不良の予兆があったとき、管理者が真剣にとらえて対処していれば、交通事故を防げるケースもあると思われます。


 管理者からドライバーに対して行う点呼時の質問は、具体的でドライバーが申告しやすい内容を工夫しましょう。


 睡眠時間等についても、「睡眠はとれているか」ではなく、
   → 「何時から何時間ぐらい眠りましたか」
   → 「夜中に目が覚めるようなことはないですか」
 
 体調について
   → 「胸が苦しい、頭が痛いといったことはありませんか」
   → 「少しでも体調に不安があればムリをしないで連絡してください」

■運転記録証明によるチェックは、ある程度有効

 なお、栃木県鹿沼市のクレーン車事故では、運転者が死亡事故の3年前に車道逸脱事故を起こしていたほか、処分歴もありました。

 採用時に、自動車安全運転センター発行の無事故・無違反証明書か運転記録証明書を本人から提出してもらい、運転歴のチェックをしておけば、3年前の事故や過去の処分をチェックできたと思われます。
 トラック、バス・タクシーなど事業用自動車の場合、平成21年より新規採用の選任運転者に関して、運転記録証明書等によりそれまでの事故歴などを把握することが義務づけられています(★下の枠内を参照)。
 一般事業所について雇入れ時の法的義務はありませんが、運転が重要な業務である社員に対しては、事故・違反の経歴をチェックしておきましょう。

★ 国土交通省告示 『自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針』第2章5──新たに雇入れた者の事故歴の把握──より(平成21年10月1日改正・施行)
「……自動車運送事業者等は、運転者として常時選任するために新たに雇い入れた場合は当該運転者について、自動車安全運転センターが交付する無事故・無違反証明書または運転記録証明書等により、雇い入れる前の事故歴を把握し、事故惹起運転者に該当するか否かを確認すること」
「確認の結果、新たに雇い入れた者が事故惹起運転者に該当した場合は、特別な指導と適性診断を受けさせること」

★関連通達(「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」、「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」など)
「……指導指針第2章5に規定する新規採用運転者の事故歴は少なくとも過去3年分とし、初めて事業用自動車に乗務するまでに把握するとともに、把握する事故は事業用自動車によるものとは限らないものとする」

◆国土交通省の資料出処について

  ・指導及び監督の指針の概要については、こちらを参照

  ・関連通達(規則の解釈・運用)については、こちらを参照

  ・健康管理マニュアル等の情報については、こちらを参照

 

 

◆「指導及び監督の指針」全文(貨物自動車)について

  ・当サイトよりPDFでダウンロードできます こちらを参照



■マンガでわかる「運転における健康リスク」

健康管理と安全運転

 この小冊子では、ドライバーが健康管理を徹底していなかったために発生したと思われる、重大事故等の6つの事例をマンガで紹介しています。

 

 各事例の右ページでは、垰田和史 滋賀医科大学准教授(医学博士)の監修のもと、日々気をつけなければならない健康管理のポイントをわかりやすく解説しています。

 ドライバーが健康管理の重要性を自覚することのできる小冊子です。

 

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