事故の過失割合について教育していますか?(その2)

 前回の危機管理意識を高めようでは、事故のなかでも「もらい事故」「被害事故」と感じるケースで、意外に過失割合が大きいということを紹介しました。


 今回は、ドライバーが軽い意識で行いがちな運転行動に大きな過失割合が発生するケースを紹介します。何気ない行動だと思っていても、実は大きな責任が生じるということを意識させることが重要です。

路上駐車だけでも加害者として過失を問われるケースは少なくない

交差点駐停車

 配達や納品などで、短時間の車を止める場合、「短い時間なら構わないだろう」と安易な路上駐停車をしがちですが、駐停車違反に問われるリスクだけでなく、事故を誘発して多大な過失責任を負うケースもあります。

 

●交差点に駐車し死角を作ったトラックに6割の過失責任

 信号のない見通しの悪い交差点の角にトラックを止めたため、さらに交差点の見通しが悪くなり、交差点に進入した乗用車と自転車が衝突する事故が発生しました。

 この事故では、駐停車禁止場所に駐車したこともあり、駐車トラックも衝突した乗用車と合同で6割の過失と認定され、多額の損害賠償を負担することになりました。

(平成9年1月29日 東京地裁判決)

一時停止をしても確認不足なら大きな過失責任が発生

 交差点に一時停止標識や標示がある場所で、それを無視して進行し出会い頭事故などが発生することがあります。こうした一時不停止違反については、責任が重いことを意識しているドライバーが多いようです。

 しかし、一時停止をすればそれでよいだろうと考え、安全確認を十分にしないで安易に進行し出会い頭に衝突する事故が少なくありません。

 一時停止場所では「安全確認をするために停止する」ということを強く意識する必要があります。安易な行動に対しては重い過失責任が発生します。

 

●幹線道路に入る際の確認不足で9割の過失責任

 狭い道から幹線道路に流入するため一時停止の標識に従い停止線で停止した車が、そこから歩道を横切ろうと進行したところ、左側の死角から出てきた自転車と衝突しました。

 歩道の手前に看板があって一時停止した場所からは見通しが悪かったにもかかわらず、そのまま発進した過失が大きいということで、車側の責任は9割と認定されました。

(平成12年1月12日 大阪地裁判決)

ETCレーンで追突したら、加害者とされる

 高速道路インターチェンジや本線料金所におけるETCゲートでは、ときどきゲート内で急停止する車がいますが、安易に追従して追突した場合、通常は追従車の責任が100%となることを教えておきましょう。

 

●カードの入れ忘れにより停止した車への追突で10割負担

 奈良県の高速道路で、ETCカードを入れ忘れたため、ゲートのバーが上がらず停止したトラックに、後続の車が追突した事故が発生しました。

 ETCゲートでは、前車が急停止した場合であっても追突を回避するため、車間を保持して速度を調整する義務があるとして、裁判所は急停止した車の過失を認めず、追突した車に100%の損害賠償責任が発生しました。

 (平成22年4月22日 大阪地裁判決)

「これぐらいは大丈夫だろう」という意識が危険!

 多くの交通事故では、歩行者や自転車などの過失も重なっていますが、車のドライバーの安易な行動が高い過失割合として認定されるということを肝に銘じておく必要があります。

 

 特に、「まあこれぐらいの行動はいいだろう!それほど悪質ではないだろう」という意識が危ないのです。

 新聞やテレビのニュースで取り上げられる悪質・危険な運転による事故は、実は少数であり、ほとんどの事故が普通のドライバーの軽い意識のミスから発生していることを再度教育しておきましょう。

(2012年10月31日更新 シンク出版 編集部)

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軽い気持ちの不安全行動が、高い事故の代償を生みます

 

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