踏切での事故防止対策を再確認

 最近、踏切における交通事故が相次ぎ報道され、管理者の皆さんの記憶にも残っていると思いますが、踏切や鉄道架線の事故は、人身被害だけでなく鉄道を止めることによる社会的影響と多大な損害賠償の危険が生まれます。

 この機会にドライバーへの指導を徹底しておきましょう。

万一事故を起こすと膨大な損害賠償責任を負う

山陽電鉄高砂踏切事故

 去る2月12日に、兵庫県高砂市の山陽電鉄の踏切で、トラックの車体が踏切構内に残り、遮断棒を外そうとしたところに特急列車が衝突して列車が脱線する事故が発生しました。

 この事故では、列車の運転士など15人が重軽傷を負うとともに、上下線とも不通となり、運転再開は翌々日となりました。

 幸いにも多数が死亡する大惨事は免れましたが、このような事故では人身傷害の損害賠償とともに鉄道施設や運行に関する損害賠償が多額に上ると考えられます。

 実際に、踏切での大事故に関する損害賠償として以下のような判例があります。

●列車脱線で過積載ダンプに1億1千万円の賠償命令
(千葉地裁 平成10年10月26日判決)
 JR東日本の成田線・久住駅 - 滑河駅間の大菅踏切で、遮断機が下りていた踏切に進入していた大型ダンプカー側面に千葉発佐原行き普通列車が衝突。先頭車は脱線大破し、電車の運転士が死亡、乗客65名が負傷しました。
 事故の原因は、過積載(最大積載重量8750Kgの4倍もの山砂を積んでいた)のダンプカーが踏切の停止線でブレーキが効かず停止することができなかったことによるものです。
 裁判所は、列車の物的損害としてドライバー、山砂運搬を依頼した荷主、砕石会社などに 1億1,197万円の賠償を命じました(死傷者への人身損害賠償は含まれず)。

 ※損害額内訳:電車損害8,890万円、人件費1,658万円、諸経費375万円、
  代行輸送費274万円など

踏切でとりこになったら、遮断棒ポールを押して出る

 高砂市の山陽電鉄踏切事故のように、踏切でとりこになった場合も、遮断棒を押して踏切から何とか脱出することが大切です。

 

 踏切の遮断棒は斜めに跳ね上がる構造になっているので、簡単には壊れにくく車両等にも大きな損傷を与えません。たとえ、遮断棒が破損しても、列車と衝突することを考えればもっとも少ない被害と言えます。

 

 なお、前方に車が詰まっていて車体を入れられない場合は、斜めに対向車線に入るなどして線路内から退避する手段を最後まで諦めないことを意識付けましょう。

もし、踏切内に
閉じ込められたら

そのまま車をすすめて脱出する!
  →  遮断棒は、斜めに跳ね上がる


踏切での高さ制限に注意──架線は2万ボルトの危険!

 なお、電化された線路では、踏切の上を走っている架線には2万ボルトの電圧がかかっています。

 架線や信号ケーブルなどに触れたり線を切断すると、感電事故や大事故につながる危険があります。

 

 パワーショベルなどを載せたトレーラーや、クレーンのアームを下げ忘れた工事用車両が踏切で架線を切っている事故を起こしています。クレーン車・ユニック車のアームなどのしまい忘れや、警察の許可を得て、道路交通法で定められている積載物の高さ制限(3.8メートル)を越えて運転する場合には、特に注意が必要です。

 

 踏切の手前には、必ず「高さ制限4.5m」の表示がありますので、アームなどの格納をもう一度チェックしましょう。

電化された線路の
踏切に入る手前では、

アームやブームなどの収納を確認!
荷台の積載物が 4.5m以下かを確認!


寒冷地では、踏切手前でのスリップにも注意しよう

 雪道や凍結した道路を運転中、踏切に差し掛かった時は、スリップによる踏切内への進入や立往生に注意することが重要です。

 

 さる2013年1月28日午前8時35分ごろ、秋田県大館市内にある奥羽本線踏切で、69歳の男性が運転する軽トラックが踏切手前でスリップして遮断機の降りた踏切内へ進入し、通過中の特急列車と衝突して運転者が死亡する事故が起きました。
 事故現場の踏切手前の路面は、事故当時圧雪状態になっており、軽トラックは止まり切れなかったようです。

 

 こうした意図しないスリップ進入による踏切事故も、たびたび発生しています。

踏切事故の4大リスク

★ 多くの死傷者がでる危険

企業の社会的信用が失墜!


★ 多額の賠償責任が発生

人身・物損・復旧費用等


★ 事故原因の厳しい追及

警察の強制捜査が入る例も


★ 青ナンバーには特別監査

「報告事故」となり監査対象に


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4月19日(金)

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