2013年

4月

26日

■悪質・危険運転の罰則強化へ──【新法案・道路交通法改正案】

 政府は、悪質・危険な運転者への処罰を強化するため、国会に法案を提出し、現在審議中です。

 法案が可決されれば、6か月以内に施行される内容があり、今年度中にも危険運転・無免許運転の罰則や行政処分などが強化される見込みです。

 関連法案は次の2本です。
1 自動車運転死傷行為処罰法案(新法創設と刑法の一部改正)
2 道路交通法一部改正案

 

  法案の審議経過については、このページの末尾を参照してください。

 ※1の法案の付帯決議について

1 【自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案】

■自動車事故関連の刑罰を新法で一つにまとめるとともに、危険運転致死傷の適用範囲を広げ、無免許運転の罰則を強化します

 悪質・危険な運転の被害者や遺族の要望を踏まえ、自動車事故に対する刑罰の仕組みが変わります。
 今まで、危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪は刑法における別々の条文でしたが、法案ではこれらを刑法から削除し、新たに「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」を制定し、刑罰の軽重を定めます。

●通行禁止道路の危険走行・高速逆走などを追加

 新法制定に伴い、危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)の適用対象として、新たに、「歩行者天国」など通行禁止場所で事故を起こした場合や高速道路での逆走運転を追加します(新法の第2条第6項)。

●意識を失う恐れのある持病などによる運転を追加
 さらに、今まで危険運転の対象にはなかったてんかんや統合失調症など一定の病気(政令で定める)を含めて、「飲酒・薬物・疾病の影響によって正常な運転に支障が生じる恐れがある状態」を認識しながら事故を起こした場合も、危険運転致死傷罪が適用され、死亡事故の最高刑は懲役15年となります(新法第3条)。
 現行は、飲酒・麻薬などによる明らかな酩酊状態などでない限り、危険運転適用には難しい面がありますが、改正により適用できる範囲が広がると考えられます。

●「飲酒影響等の発覚免脱罪」を追加
 このほか、飲酒運転などを隠すために逃走する運転者の逃げ得を防ぐため、飲酒・薬物の影響の発覚を免れるために逃走した場合、懲役12年以下となる「発覚免脱罪」を新設しました(新法第4条)。

●「自動車運転過失致死傷罪」は「過失運転致死傷罪」に変更

 自動車の運転上必要な注意を怠って人を死傷させた場合には、現行では「自動車運転過失致死傷罪」が適用されていましたが、名称が変更され「過失運転致死傷罪」となります。最高刑は現行の自動車運転過失致死傷罪と同じく懲役7年です(新法第5条)。

●無免許運転の場合3~5年を加重

 また、事故を起こした運転者が無免許運転である場合の罰則を新たに規定し、それぞれ刑が3年から5年加重されますので、自動車運転過失致死傷でも無免許運転であれば懲役10年など、厳しい罰則の適用が可能になります(新法第6条)。

 

2 【道路交通法改正案】

■運転中に意識を失うなどの症状を隠して免許を取得・更新する運転者対策のほか、道路交通法でも無免許運転の罰則を強化し、無免許運転を幇助する人への罰則を新設します。また、自転車の安全対策が盛り込まれています。

① 一定の病気等の運転者対策
 公安委員会は運転免許受験者や更新者に病気の症状等の質問をすることが可能になり、虚偽の回答をした者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金刑を受けることになります。
 ※(一定の病気は別途政令で定める──てんかん、統合失調症、再発性失神、

   無自覚性低血糖、などで運転に支障をきたす症状があるもの)
 
 また、病気を診察した医師が任意で患者の診断結果を公安委員会に届け出ることができるようにします(医師の守秘義務の例外に)。

 このほか、交通事故を起こした運転者が一定の病気に該当すると疑われる場合は、専門医の診断による取消処分を待たずに、暫定的な免許の停止措置もできるようになります。

② 悪質・危険運転者対策
 無免許運転の罰則を「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に引き上げ、無免許運転の下命容認、免許証不正取得の罰則も同様に強化されます。
 
 さらに、無免許運転の幇助行為が禁止され、罰則が設けられます。
 無免許運転をする恐れがある者に車を提供して無免許運転が起こった場合は無免許運転者と同じ罰則が、無免許運転を知りながら車で送るよう依頼して同乗した者は、「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」が適用されます。

③ 自転車利用者対策
 信号無視や遮断踏切立入、飲酒運転など悪質な違反を2回以上繰り返す自転車利用者に講習の受講を義務づけます。未受講者は罰金刑が適用されます。
 また、自転車のブレーキが効かない恐れがある場合、警察官はその場で停止させて検査ができるようになり、応急整備のできない自転車は、その場で運転の継続が禁止されます。
 このほか、自転車の通行方法の規定が整備され、左側通行徹底のため自転車が通行できる路側帯の通行も、道路左側に設けられた路側帯のみが通行可能となります。

 

【法改正の背景】
 2011年4月、鹿沼市の国道で登校児童の列にクレーン車が突っ込み小学生6人が死亡した事故などを端緒に、「運転者が意識を失うような疾病を隠して免許を取得・更新すること」への問題点が議論されるようになりました。被害者からは、事故を危険運転致死傷罪として裁けないのかという切実な要望もありました。
 また、2012年4月に京都市祇園で発生したドライバーの疾病が関係したと疑われる暴走事故や、亀岡で発生した無免許運転による通学中児童等の死傷事故も、新法提案に影響を与えています。

※追記

・「自動車運転死傷行為処罰法」は、第183国会の閉会前に法案が可決されません

 でしたが、第185回国会で継続審議され、11月5日に衆議院で以下の付帯決議を

 追加して可決、2013年11月20日に参議院本会議で可決し、成立しました

 

・「道路交通法改正案」は、第183回国会で2013年6月7日に可決・成立し、同年

 6月14日に公布されました(下記【関連記事】参照)。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案に対する附帯決議(平成25年11月5日 衆議院法務委員会)

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 

一 本法により新たに処罰対象となる罪の趣旨及び内容について、その周知徹底を図ること。

二 第三条第一項の「走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」、及びその本人の認識の程度の評価に関し、民間団体や関係学会・医療関係団体から意見を聴くなどして、その範囲が不当に拡大され、あるいは適用にばらつきが生じることのないよう留意すること。

三 第三条第二項の危険運転致死傷罪の対象となる「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの」を定めるに当たっては、民間団体 や関係学会・医療関係団体から意見を聴くなどして、病気及びその症状と、運転技能及び交通事故との関係について吟味・検討した上で定めること。また、当該 病気を有する者に対して不当な不利益が生じないよう本罪の趣旨及び内容の周知を徹底し、病気を理由とする差別を助長することがないよう努めること。

四 無免許運転による加重については、その施行後の適用状況を検証し、悪質な無免許運転による死傷を危険運転致死傷罪に含めることについても検討すること。

五 無免許運転の態様を把握するため、警察の免許管理システムの変更等を検討すること。

六 飲酒運転後のひき逃げの防止を強化するため、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の施行後の適用状況の検証を行い、その法定刑等の在り方についての更なる検討を行うこと。

七 過労運転による重大な死傷事故を防止するため、その処罰の在り方や法技術的な観点も含めた総合的な検討を行うこと。

八 高齢者が加害者となる死傷事故を減少させるため、抜本的な対策を検討すること。

(衆議院法務委員会ニュースより)

 

【関連記事】

自動車運転死傷行為処罰法が成立しました(最近の法令改正 2013.11.21更新)

改正道路交通法が公布されました (最近の法令改正 2013.6.19更新)

改正道路交通法が一部施行されます/平成25年12月1日(〃 2013.11.14更新)

自動車運転死傷行為処罰法が施行されます(交通安全ニュース 2014.5.12更新)

改正道路交通法が一部施行されます/平成26年6月1日(〃 2014.05.12更新)

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