車両の点検・整備は徹底していますか?

 最近の車は故障が少ないので、点検・整備にあまり目を光らせなくても事故に結びつく例は少ないように感じます。

 しかし、高速道路などの利用が多い場合は、ガス欠で停止しても事故を誘発する危険があり、車両の運行前チェックは依然として重要です。

 とくに足回りの整備不良は非常に危険です。パンクが大事故に結びついた例もありますので、注意しましょう。

■事故事例1

・磨耗したタイヤがパンクし、6人死亡の大事故を誘発

 ──タイヤの整備不良で社長が書類送検

 平成24年8月3日午前11時半ごろ、新潟県小千谷市の関越自動車道で、建設会社の2トントラックがパンクして追越車線に停車していたところへ、後方からやってきたワゴン車が追突しました。

 この追突事故の衝撃でワゴン車が炎上し、乗員6人が死亡しました。

 パンクの原因はタイヤが摩耗して残り溝がない状態だったためと推定されました。事故の後、トラックの運転者が自動車運転過失致死容疑で書類送検されましたが、その後の調べで、この車両の使用者であり運転を指示した建設会社とその代表取締役が道路交通法違反(整備不良)に問われました。

■刑事責任の追及
・運転者 嫌疑不十分で不起訴処分に
・使用者 建設会社と代表取締役
  道路交通法違反(整備不良車運転)で起訴 罰金5万円

■事故事例2

・ガス欠で停止した車に追突し、2人が死傷

──後続車運転者は前方不注意で逮捕

 

 平成23年7月20日午後10時35分ごろ、兵庫県佐用町の中国自動車道で、ガス欠のために路肩から車線にはみ出す形で立ち往生していた乗用車に、後ろから 来た大型トラックが追突する事故が発生、救援を求めた後に路肩側に出ていた2人がはねられ、母親(77)=が死亡、運転していた長女(49)も重体となり ました。母親の足が悪くてガードレールの外に逃げられなかったようです。

 

 この事故では、後続のトラック運転者が自動車運転過失致死傷容疑で現行犯逮捕されています。

■点検整備の徹底は使用者の義務

 車の使用者には日常点検整備をすることが法律(※注)で義務付けられています。マイカーの場合はドライバー自身が使用者ですから自らの責任で点検することになりますが、社有車の場合あくまでの使用者(企業)の責任であり、それを運転者に点検させているということです。

 

 これを履き違えて「運転者の責任で点検させている」などと甘い考えでいると、事例のような事故を誘発することにもなり兼ねません。燃料など基本的なチェックを含めて点検指導を徹底しましょう。

■多忙でも最低限の点検チェックを実施させよう
 とくに以下の点検ポイントを押さえておきましょう

 ・ブレーキ  ・タイヤ  ・灯火(ライト)・燃料 

 頭文字を取って 「ブタ と 燃料」チェック と指導しましょう

■青ナンバーは整備管理者のチェック・印鑑が必要

 なお、一般の自家用乗用車を使用する事業所であれば、日常点検整備は適当な時期に実施しておけば問題ありませんが、貨物自動車や自動車運送事業を営む事業所では、運行する前に、毎日、日常点検を実施する必要があります。

 

 そして、青ナンバーの自動車運送事業の場合は、日常点検表を作成し整備管理者(補助者)が点検結果にもとづき運行の可否を判断して、捺印またはサインすることが求められています。これは点呼時の報告・確認事項でもあります。

 運転者が整備管理者にハンコをもらって初めて、点呼時にその事業用自動車で運行できることを運行管理者に報告できるのです。

■点検整備記録簿の保存も重要

 定期点検整備も重要です。自動車の使用者は定期点検基準に基づいて適正に点検・整備を行い、点検整備記録簿を保存する必要があります。

 青ナンバーの場合、点検整備記録簿が全く保存されていなかったり記録簿に記載がない事業所は、運輸局の監査・処分の対象となりますので、気をつけて下さい。

※注

【自動車の点検及び整備の義務

 ●道路運送車両法 第47条

 「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。

 

日常点検整備】

 ●道路運送車両法 第47条の2

 「自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。
 

整備不良車の運転禁止】

 ●道路交通法第62条
 「車両等の使用者その他車両等の整備に責任を有する者は、交通の危険を生じさせ、または他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等(整備不良車両)を運転させ、又は運転してはならない。」

 罰 則:3月以下の懲役または5万円以下の罰金
 法人等両罰 :5万円以下の罰金

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4月24日(水)

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