2014年

7月

02日

日本交通心理学会第79回大会

 平成26年6月7日(土)~8日(日)にかけて、青森市の青森市民ホールにて日本交通心理学会第79回大会が開催されました。

 

 会期中はシンポジウム「運転者教育におけるコーチングの可能性」が開催されたほか、2日間にわたり24の研究発表が行われました。

 

 今回は、多彩な研究発表の中から

 ・回送・空車時におけるバス事故の危険性

 ・飲酒による道路横断行動の変容

 を取り上げて紹介します。

日本交通心理学会とは…
 日本交通心理学会は1975年日本交通心理学研究会として創立しました。交通に関わる諸問題について心理学を中心とした研究を行うことにより、交通事故の抑止とよき交通環境の建設に寄与することを目的としています。学会の認定資格である交通心理士は、地域や企業の交通安全のリーダーとしての役割を担っており、今後ますますの活躍が期待されています。            【学会のWEBサイトへ】

◆回送・空車時におけるバス事故の危険性

大阪大学大学院人間科学研究科の森泉慎吾氏によって発表された「回送・空車時におけるバス事故の危険性」の発表内容を紹介します。

 本研究は、バス運転士が回送時や、乗客のいない空車時に発生したバス事故の特徴から、乗客の存在とバス事故の関係を検証した。

 

 今回の研究では、関西圏を中心に営業する大手バス会社において2009年4月1日~2013年5月31日までに発生した1,647件の事故のうち、乗客のいた場合のみに起こる「車内事故」と乗客のいない場合のみに起こる「車庫内での事故」を除く1,292件の事故を分析対象とした。

乗客のいない走行距離の割合は低いにも関わらず、事故率は高い

 事故を分析してみると、乗客ありの事故は836件(65.8%)、乗客なしの事故は435件(34.2%)となり(21件は事故記録の不備により除外)、乗客ありの事故の割合が高いことがわかった。

 

 しかし、乗客なしで走行する割合は全体の15%に過ぎず、その走行距離の割合の低さを考えると、乗客のいない場合に発生している事故の割合は高いといえる(乗客なしの走行距離には、回送中だけでなく、営業中の空車の場合も含む)。

乗客のいない走行時の事故は、加害事故の割合が高い

 また事故の内訳を見てみると、乗客がいない時には乗客がいる時に比べて2.33倍加害事故を起こしていることがわかった。

 

 乗客なしの事故は435件だが、その内の318件は加害事故となっており、73.1%が加害事故になっている(乗客ありの場合の加害事故の割合は53.8%)。

ストレスから解放されることにより事故リスクが高まる

 乗客がいた場合には、乗客によるストレスがヒヤリハットの増加に繋がるといった先行研究もあるが、本研究では、乗客がいない(ストレスがない)場合にも、気の緩みなどにより、事故のリスクが高まることがわかった。

 

 運転士には、乗客がいない場合に事故リスクが高まることを認識してもらい、適切なストレスマネジメントを図る必要がある。

・共同研究者

中井 宏、臼井伸之介(大阪大学大学院人間科学研究科)

◆飲酒による道路横断行動の変容

マイクロメイト岡山株式会社の三宅宏治氏によって発表された「飲酒による道路横断行動の変容~歩行環境シュミレータを用いて」を紹介します。

 本研究は、飲酒にともなう行動の変容を、道路横断行動に焦点を当てて分析した。安全の確保のために不可欠な、身体バランスと左右確認動作に注目し、「歩行環境シュミレータ」を用いて実験を行った。

 

 実験に参加したのは市民ボランティアの男女19名(男性16名、女性3名)で、平均年齢は34.3歳であった。実験は2013年11月30日の11:00から24:00まで、マイクロメイト岡山のショールームで行われた。

 

 被験者は少量飲酒群(アルコール4単位以下)の9名と、多量飲酒群(アルコール5単位~10単位)の10名で構成され、飲酒前に閉眼片足立ちテスト(平衡機能検査)と、歩行環境シミュレータを使って左右確認動作頻度を測定した。

 

 その後、約2時間にわたり、好みのアルコールと食べ物を自由に飲食し、飲酒終了30分後に再度検査を行った。

飲酒後は平衡機能が低下し、奥側(左)車線の確認が減少する

 実験の結果、次の様な結果が明らかになった。

 

1・飲酒後は平衡機能が低下した

2・飲酒後は横断開始時の左右確認頻度が減少した

3・飲酒後は横断中の奥側(左側)車線の確認頻度が減少した

4・飲酒量による主効果は認められなかった

 

飲酒後に信号機のない道路を横断する危険

 以上のことから、飲酒後は身体バランスを崩すとともに、特に横断中に奥側(左側)に対する確認行動が減少する傾向が認められた。この傾向は、高齢者の横断事故にも見られ、飲酒によって、注意・認知・判断機能が低下するものとして留意すべきである。

・共同研究者

金光義弘、三野節子(川崎医療福祉大学・臨床心理学科)木村憙從(マイクロメイト岡山株式会社)

日本交通心理学会第79回大会データ 

 

・日時 平成26年6月7日(土)~8日(日)
・会場 青森市民ホール
・主催 日本交通心理学会
・共催 日本交通心理士会
・後援 一般社団法人 全日本指定自動車教習所協会連合会
・プログラム
<シンポジウム>
「運転者教育におけるコーチングの可能性」
講義担当:太田 博雄(東北工業大学)
演習担当:野藤 智(㈱ムジコ・クリエイト)
<研究発表>

・警察活動のリスク認知Ⅲ―人身交通事故の都市間比較―
・交通事故解析から見た交通安全のヒント
・回送・空車時におけるバス事故の危険性
・中高年ライダーの事故を減らすための「目線ワーク」
・自転車乗用者の歩道/車道通行についての意識
・ライディングスクール参加者の交通意識に関する探索的検討Ⅱ
・高速道路走行中の車間距離に対する車種の影響
・安全運転教育における実際の自動車運転とスクリーン平面上の運転動画のハザードに対する注視行動の比較に関する一考察
・技能検定員の検定コース運転時の注視行動
・運転者視点映像の周囲に提示したオプティカルフローが速度感覚に与える影響
・飲酒による道路横断行動の変容―歩行環境シミュレータを用いて―
・首都高速道路の交通安全対策と運転行動に関する研究
・交通安全の学習状況下における低学年児童の横断行動(1)

―学習前の確認行動の特徴―
・啓発看板の設置前後における障害者用駐車スペースの利用状況の変化
・免許停止処分講習の効果(1)-事前・事後の比較-
・免許停止処分講習の効果(2)-講習種による比較-
・運転適性検査作成のためのシミュレータの試作
・技能教習の各項目に対する教習生のとらえ方1

―教習前後の困難さのイメージの変化―
・技能教習の各項目に対する教習生のとらえ方2

―運転技能の自己評価と指導員評価の違いおよび入校から卒業までの自己評価の変化―
・技能教習の各項目に対する教習生のとらえ方3

―ドライビングシミュレータ上での衝突経験と危険予測教習の効果―
・感情コントロール教育がストレス反応と行動修正に及ぼす効果
・高齢ドライバーを対象とした高速道路の安全教育プログラムの実施

 

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