6月の運転管理 …… 平成27年(2015年)

■梅雨期の交通事故を防ごう

 6月はいよいよ梅雨入りです。雨の日が増えるだけでなく、台風の影響なども顕著になり、集中豪雨など異常気象に見舞われることが多くなります。

 スリップ事故や視界不良による歩行者の見落とし事故、追突事故などを防止するため、雨天走行時の安全運転指導を実施しましょう。

 

 また、6月は7月第1週に実施される全国安全週間の準備期間となっています。職場の安全点検を実施し、運転業務におけるリスクを洗い出して管理の徹底を図りましょう。

 

 なお、6月から改正道路交通法(悪質な自転車運転者への講習義務付け)が施行されます。自転車通勤の従業員などへの指導も行いましょう。

  

■6月の安全運転目標

スリップ事故に注意しましょう

 雨によるスリップが多発する時期です。車輪がスリップして路外に逸脱したり、対向車線にはみ出すことで事故が起こりやすくなっています。

 

・スリップ事故防止ポイント①──減速

 車輪をスリップさせないためには、まず路面状態に見合ったスピードに減速することが重要です。晴れた日よりも1割~2割、スピードダウンして走行しましょう。

 

・スリップ事故防止ポイント②──車間距離

 雨の日は停止距離も延びるので、少し多めの車間距離をとって、前車がブレーキを踏んでも落ち着いて対応しましょう。

 

・スリップ事故防止ポイント③──急な行動をしない

 急ハンドルや急な進路変更などもスリップの原因となります。雨の日はムダな進路変更など余計な行動を慎み、なるべく真っ直ぐ慎重に走行することが大切です。  

見落とし事故に注意しましょう

 雨の日は、見落としによる事故も多くなります。車の窓には水滴がついて周囲が見えにくく、歩行者や自転車も傘などのため車を見落としがちです。

 

・見落とし事故防止ポイント①──点灯

 車の存在を目立たせるため、雨で少し薄暗くなったら、昼間でも迷わず点灯しましょう。カーブミラーなどにもライトが映り、相手からの発見を早めます。

 

・見落とし事故防止ポイント②──確認を頻繁に

 とくに交差点の右左折時など横断してくる歩行者が見えにくくなります。「見落としているかも」と予測し、止まって確認する回数を増やしましょう。

 

・見落とし事故防止ポイント③──降りて確認

 濡れたくない心理が働き、車両後部などが見えにくいにもかかわらず、そのままバックしてしまいがちです。雨の日こそ、降りて確認が重要です。

  

■6月の重点管理項目

■全国安全週間に向けてリスク管理を見直しましょう

 6月は、7月第一週に実施される「全国安全週間」の実効を上げるための準備期間となっています。それぞれの職場で、労働災害防止の重要性を認識し、安全活動の着実な実行を図るのが目的です。

 業務や通勤に関連して発生する交通事故も労働災害です。事故リスク管理の徹底を図りましょう。

 

 平成27年度の全国安全週間のスローガンは、

 『危険見つけてみんなで改善 意識高めて安全職場』

となっています。

 全員による「危険箇所」の発見と改善が重要テーマですが、交通事故防止に関しては、場所としての事故多発箇所だけでなく、運転者のかかえる危険の発見が重要ポイントです。

 

 具体的なリスク管理のための点検ポイントとしては、次のような事柄があげられます。

運転者の適性リスクを管理
運転者の健康リスクを管理
運行のリスクを管理
車両のリスクを管理

適性検査でリスクの

 高かった運転者の指

 導内容のチェック

 

・運転経歴証明等によ

 る違反リスクの高い

 運転者への指導内容

 チェック

健康診断でリスクの

 高かった運転者の健

 康管理のチェック

 

・糖尿病患者の治療に

 よる低血糖リスク

 どのチェック

・大雨など異常気象時

 の運行制限基準の内

 容をチェック


・通学路など時間帯に

 よる歩行者専用道路

 の通行禁止の周知・

 徹底

・タイヤの空気圧、残

 り溝など足回りの点

 検整備チェック

 

・燃料、停止表示器材

 の搭載チェック

 

不正改造チェック


  

■6月の健康管理目標

健康増進のため適度な運動をしましょう

  健康診断で、メタボリック症候群や生活習慣病の恐れがあると指摘された人はいませんか。運転者には、太り過ぎの人や高血圧、高血糖、高脂血症などの予備軍が多いようです。

 

 最近の医学研究では、生活習慣病の予防や治療には食生活の改善も必要ではあるものの、運動習慣の形成が極めて重要であることがわかってきました。

 とくに、今年4月に厚生労働省がコレステロールの摂取をいくら控えても実際には効果がないことを公表し、話題になりました。摂取量を控えても高コレステロール体質の人は、体内でコレステロールを増やす作用が働くということです。

 コレステロール値の高い人は、食事による摂取量を減らしても意味がないので、数値を下げるため、日常的なウォーキングなど適度な運動習慣を身に付けることが必要とされています。

 

 また、オーストラリアの心臓病研究グループによると、運動療法などにより最低3%程度でも減量を目指すと、将来の心臓病などのリスクが低減する効果があるとされています。

熱中症を防ぎましょう

  最近、熱中症により救急搬送される人が増加しています。

 熱中症予防強化月間は7月ですが、すでに気温が30℃近くになる6月から急増する傾向があり、平成22年6月中の全国熱中症傷病者搬送件数は、2,276件でしたが、平成26年6月は4,634件と5年で倍増しています(消防庁調べ)。

 搬送されるの人は高齢者が多いとはいえ(全体の約4割)、一般成人も37%と決して少なくありませんので、炎天下で働く人は注意が必要です。

 

【熱中症予防のポイント】

 ●車室内温度、倉庫内温度等をこまめにチェック! 

 ●28°Cを超えないように、エアコンを使う

 ●のどが渇く前に水分補給!

 ●のどが渇かなくてもこまめに水分補給!

 ●車外での作業は涼しい服装で日よけ対策も!

 ●無理をせず、適度に日陰で休憩をとる!

 ●日頃から栄養バランスの良い食事と体力づくりをする

  (「消防庁/熱中症予防リーフレット」を参照しました)

  

■その他の管理・指導項目

【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】

■改正道路交通法の一部施行──6月1日

自転車運転者に講習を義務付け
講習の受講を拒否すると罰則があります

 ──違反を繰り返す自転車運転者に講習を義務づけ

 

 平成27年6月1日から、危険な違反を繰り返す自転車運転者への講習が義務づけられることになりました。

 平成25年に公布された改正道路交通法のうち最後に残っていた内容が施行されます
 危険な違反とは、たとえば「信号無視」「一時不停止」「踏切不停止」「酒酔い運転」など交通に危険を及ぼす以下の14項目の違反をさします。

 これらの違反を3年以内に2回以上繰り返す自転車利用者に講習の受講を義務づけます(14歳以上が対象)。受講命令を無視した未受講者には罰金刑(5万円以下)が適用されます。

 1 信号無視

  8 交差点優先車妨害等  

 2 通行禁止違反    9 環状交差点の安全進行義務違反
 3 歩行者用道路における義務違反  10 指定場所一時不停止等
 4 通行区分違反  11 歩道通行時の通行方法違反
 5 路側帯通行時の歩行者通行妨害  12 ブレーキ不良自転車運転
 6 遮断踏切立入り    13 酒酔い運転
 7 交差点安全進行義務違反等  14 安全運転義務違反

 

【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】

経路選択の重要性を意識させよう

 事業用自動車運転者への「指導・監督の指針」(11項目)のなかに、「適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況という項目があります。

 6月は、台風の接近などによる異常気象が懸念され、まさに経路の選択と経路上の道路・交通状況の把握が重要ですので、指導を強化してください。

 

 具体的には、以下のような点を指導しましょう。

 

・ヒヤリ、ハットした体験を重視する

 経路上で運転者が、ヒヤリとしたりハットとした体験をお互いに出し合って、経路上の危険を具体的にイメージすることが重要です。

 とくに雨の日などは、

「学校の近くで、カッパを着た高校生の自転車が、突然安全確認をせずに飛び出してきた」

「交差点右折時に、傘をさした歩行者が横断してきたのを見落としそうになった」

といった危険情報があれば、それを共有して危険予測などをすることが極めて有益です。

 

・安全に通行できると設定した経路を守る

 通常から、荷主や管理者の指示した経路を守る必要がありますが、とくに雨天時は細心の注意をもって順守するように指導を徹底しましょう。

 雨の日に、経験の浅いドライバーが渋滞した幹線道路を避けて、アップダウンの多い山道を抜け道に使いスリップした事例があります。ベテランでも雨の山道走行は危険ですが、とくに若い経験のないドライバーが勝手に指定経路を外れて、スリップしやすい危険な道路を走行しないように指導してください。

 また、雨の強い日に、転落しやすい堤防道路などを抜け道に使うのも要注意です。

 

 なお、山道などに経路が指定されている場合は、雨の日は経験の浅いドライバーを配置しないといったことも危機管理上は重要です。

  

■6月の安全運転管理ごよみ (2015年/平成27年)

日  付 行 事 等

 1日月)

 30日火)

・全国安全週間準備期間

 7月1日から実施される安全週間の実効を上げるため、6月は準備期間として安全活動の総点検を行いましょう。

■平成27年度 安全週間スローガン

 「危険見つけてみんなで改善 意識高めて安全職場

 詳しくは厚生労働省中央労働災害防止協会サイトを参照。

 1日月)

 30日火)

 

不正改造車を排除する運動強化月間──毎年6月は、危険、迷惑な車の不正改造の取締りを特に厳しくする強化月間です。街頭検査などが実施されます。

 1日月)

 30日火)

 

環境月間──6月5日の環境の日(世界環境デー)を含む1か月間は、「環境月間」となっています。エコライフ・フェア2015など各地で環境イベントが実施されます。

 1日月)

 7日(日)

・がけ崩れ防災週間──国土交通省が制定。がけ崩れによる災害防止に関する意識啓発や情報提供を強化します。

 1日(月)

・改正道路交通法の施行──悪質な違反を繰り返す自転車運転者に講習を義務づけなど──詳しくはこちらを参照。

 

・世界環境デー環境の日・World Environment Day

 日(土)

・ワイパーの日──日本ワイパーブレード連合会が制定しました。安全な視界確保のため年1回のワイパー点検を奨励しています。

 日(土)~

 7日(日)

・日本交通心理学会 第80回大会

 会場:早稲田大学東伏見キャンパス(東京都西東京市東伏見)

 詳しくは、同学会のWEBサイトを参照してください。

 7日(日)

13日(土)

・危険物安全週間

 ──消防庁が制定し、毎年6月の第2週(日曜日から土曜日までの1週間)、ガソリン等の危険物の自主保安体制の確立を呼びかけています。

 平成27年度 推進標語

 「無事故へと 気持ち集中 はっけよい」

  詳しくは(財)全国危険物安全協会のWEBサイトを参照。

 9日(火)

・6月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。

 11日(木)

・入梅

 ~12日(金)

運行管理者試験(平成27年度第1回)の申請期間

 ──インターネットによる申請は6月22日(月)まで

 ──試験日2015年8月23日(日)

 ──詳しくは、運行管理者試験センターwebを参照)

 20日(土)~  21日(日)

・第51回日本交通科学学会総会・学術講演会

 会場:秋田大学(手形キャンパス/60周年記念ホール)

 詳しくは、同学会のWEBサイトを参照してください。

 20日(土)~

 7月19日

・「ダメ。ゼッタイ。」普及運動──麻薬・大麻・危険ドラッグ等の薬物乱用を防止するため、広報・啓発活動が全国的に展開されます。

 20日(土)~

 9/10(木)

交通安全ファミリー作文コンクールの募集

 (募集締切は9月10日──詳しくは、内閣府のWEBサイトを参照)

 21日(日)

・父の日(6月第3日曜日)

 22日(月)

・夏至

 25日(木)

・指定自動車教習所の日──全日本指定自動車教習所協会連合会が制定。1960年のこの日、改正道路交通法が施行され公安委員会が指定した自動車教習所を卒業すると運転免許取得時の技能試験が免除される制度が定められました。「625ムジコ=無事故」の語呂合わせにもなっています。

   
 6月1日~

 9月30日

・夏の省エネキャンペーン──エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、省エネキャンペーンが行われます。
 6月上旬 ・全国トラックドライバー・コンテスト実施要綱の公表(全ト協)
 6月中旬 ・平成27年5月末までの交通事故発生状況警察庁

 6月下旬

・平成27年3月分 トラック輸送情報国土交通省

 

 

 ◆6月の日没時間国立天文台天文情報センターによる)

 1日(月) 福岡 19:23 大阪 19:06 東京 18:51
 15日( 福岡 19:30 大阪 19:13 東京 18:58
 31日(水) 福岡 19:33

大阪 19:15

東京 19:01

 

「早めにつけよう おもいやりライト
 運動に取り組みましょう!
 運転者の皆さん!早めの点灯を意識しましょう。少しだけの配慮で交通事故を減らすことができます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどに警戒することを習慣としてください。

 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。


 詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください

 

 また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開し、JAFインターネットWEBサイトでライト点灯に関して様々な情報提供をしています。

 ※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください

 
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