2015年

7月

15日

落下物の落とし主の責任

■今回の相談

先日、高速道路を走っていましたら、道の中央に脚立と思われる落下物が落ちていました。ギリギリ避ける事ができたのですが、弊社の車も脚立を積んで走行することが多いものですから、これを機会に積載物の固縛について再教育しようと考えています。そこでお聞きしたいのですが、万が一、積載物を落下させて事故を引き起こした場合にはどういった責任に問われるでしょうか?また、積載物を落下させた場合の対処も教えていただけますか?

■回答(清水伸賢弁護士──WILL法律事務所)

 積載物を落下させた場合、その落下物を原因として起きた事故等の責任は、落下させた者にあるとされます。この場合の責任は、大きく刑事責任と民事責任に分かれます。

◆刑事責任

 道路交通法違反75条の10では、貨物の積載について、自動車の運転手は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、貨物の積載の状態を点検し、必要がある場合においては、積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならないと規定しており、運転者は同義務を守らなければなりません。


 同義務に違反した場合には罰則が定められており、故意に行われた場合には3月以下の懲役又は5万円以下の罰金の刑に処されることになり(同法119条1項12号の3)、過失であった場合でも10万円以下の罰金となります(同法同条2項)。

 ほとんどの場合、積載物を落下させた段階で、転落や飛散を防止するための措置が講じられていなかったと考えられるため、落下物が生じた時点で罰則の適用があると考えていた方がよいでしょう。


 また、自分の車からの落下物によって交通事故が生じた場合に、通報等をしないまま放置してその場から離れてしまうと、その行為自体がさらに罰則の対象となります(道路交通法72条、117条第1項、第2項など)。


 さらに、その落下物が原因で、後続車が事故を起こし、けがをしたり死亡したりした場合には、自動車運転過失致傷罪や同致死罪という罪が成立する可能性もあります。

◆民事責任

 落下物に後続車がぶつかったり、落下物が原因となってさらに交通事故等が生じたりした場合、積載物を落下させた者は生じた被害について損害賠償責任を負うことになります。会社の従業員が業務中の運転の際に積載物を落下させて他人に損害が生じた場合、会社もその責任を負うことになります。


 ただ、高速道路における落下物に衝突するという事故態様の場合、積載物を落下させた者には当然落ち度はありますが、道路上の落下物に気づかずに衝突した後続車自身にも前方不注視等の落ち度が認められることが多いため、損害賠償額は過失相殺されることが多いといえます。


 その落下させた者と衝突した後続車の過失割合は、概ね6:4程度であると言われているようです。


 もちろん、事案の内容によりますので、前方を注視するなどの義務を守っていても落下物への衝突が不可避であったような場合には、落とした者の責任が大きくなるでしょうし、落下物があったとしても、衝突した方の不注意の程度が高かった場合には、大幅に過失相殺されることもあります。

◆積載物を落下させた場合の対応

 積載物を落下させてしまった場合は、速やかに道路緊急ダイヤル(#9910)か、道路を管理している会社や110番等に連絡し、後続車への警告措置や落下物の回収をしてもらうことになります。


 上記のように、落下物を生じさせた時点で道路交通法違反として罰則が適用されますが、その点はやむを得ないと考え、これ以上被害が広がらないように最前の対処を行うべきです。その後の速やかな対応によって、結果的に立件等をされずに落下についての責任を免れることも考えられないわけではありません。逆にその場から逃走してしまうと、事故が生じる危険が排除されず、また落下物や目撃証言等で落とした者として特定されてしまうと、重い罪で逮捕等されることもあります。


 ただ、だからといって高速道路において自分自身の手で落下物を回収する行為は危険であり、さらに事故が生じるおそれがあるため、行うべきではありません。


 また、自分以外の先行者が落下物を生じさせた場合、後続車として落ちているのを発見した場合も、できるだけ速やかに各所に連絡すべきです。この場合、連絡した後続車には責任が問われるものではありませんが、落下物を放置することによる危険を速やかに除去するために必要な措置は採るべきといえます。


 そして何より、自動車に積載物がある状態で運転するときは、まずは走行中に積載物が落ちないようにきちんと固縛しておかなければなりません。上記のとおり、積載物を落下させること自体が法律に違反するのであり、第一になすべきことは、やはり落下物を生じさせないようにすることといえます。

(執筆 清水伸賢弁護士)

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