2015年

10月

01日

健康管理を徹底していますか?

 10月1日から全国労働衛生週間が始まりました。管理部門としては運転者の健康管理について考えるよい機会です。

 

 運転者の高齢化が進み、健康問題が交通事故に結びつく例が多発していますので、健康情報の収集と管理・指導を徹底してください。

 

 最近は運転者の健康に起因すると思われる事故として、下記のように意識を喪失して死亡事故を起こしたり、運転者自身が亡くなる事故例などが数多く報道されています。

 

 睡眠障害や低血糖症など「運転に支障が生じる恐れのある病気」に関しては、事故の際に運転者が危険運転致死傷罪を適用される恐れがあることも視野に入れて指導を行いましょう。

 

■持病の管理が不十分で意識喪失か?──暴走事故が発生

●治療薬飲み忘れの疑い、

 歩道に突っ込む

 ──8月 東京都・池袋

 

 平成27年8月16日、東京都のJR池袋駅近くで歩道に乗用車が乗り上げ、歩行者5人が死傷した事故で、運転者の医師(53歳)にてんかんの持病があったことがわかり、警視庁は危険運転致死傷罪容疑で送検しました。

 

 運転していた医師は、専門医の診察を受けて「てんかん症状」を抑える薬を処方されて服用していました。主治医は服薬でコントロールすれば運転をしても構わないと指導していましたが、意識喪失発作を起こしているので、警察では、毎日の服薬を怠った疑いもあるとみて調べています。


●発作で意識を失い、ツーリ

 ング中の自転車をはねる

 ──8月 北海道・共和町

 平成27年8月19日北海道共和町で、ツーリング中の大学生9人が軽乗用車にはねられ重軽傷を負った事故で、軽乗用車を運転していた会社員(57歳)がてんかんの持病で通院中であり、運転中に発作による意識障害を起こした可能性があることがわかり、北海道札幌地検は危険運転傷害罪で起訴しました。

 

 会社員は数年前からてんかんを患い、発作を抑える薬を服用していましたが、主治医からは、自動車の運転を避けるように指導されていました。また、運転免許証の更新の際にはてんかんの持病を申告していなかったことも判明しています。


■突然の発作などによる運転者死傷事故も多発

●突然の脳内出血か?

 歩道に乗り上げ重体

 ──4月 東京都・世田谷 

 平成27年4月20日、東京都世田谷区の環状7号線で、ワンボックスカーが道路左側歩道に乗り上げ、歩行者の男性を2人はね、1人は意識不明の重体となりました。

 

 さらに運転していた男性(52歳)も意識不明の重体となりましたが、同乗者の妻は「夫が運転中に脳梗塞で意識を失った」と話していました。

 実際にこの男性は運転中に脳内出血した疑いが強く、警察では、疾病原因での意識喪失が事故につながったものとみています。


●急に喀血してガードレール

 に衝突、運転者死亡

 ──8月 福島県・須賀川

 

 平成27年8月6日、茨城県須賀川市の県道で、タクシーが道路左側のガードレールに衝突し、タクシー運転者の男性(64歳)が約1時間20分後に死亡しました。

 

 後部座席にいて軽傷を負った乗客の話では「タクシー運転者が運転中にせき込み、血を吐いた」ということで、運転者に目立った外傷はありませんでした。

 警察では疾病原因で意識を失い、事故に至った可能性が高いとみています。


■事業者には健康保持のための管理責任がある

●健診結果を踏まえた管理・指導の義務

 運転者の健康診断結果について、「結果は総務に任せきり」とか、「個人情報だから知るのは良くない」(※1)などと考えている管理者はいませんか。


 確かに、運行管理者や安全運転管理者が健康診断の検査データ等を詳しく知る必要はありません。しかし、「不整脈があり要検査である」「高血圧で治療の必要がある」といった運転者がいることを知るのは重要です。

 産業医や診断医に確認した上で、交通事故防止のため日常的な配慮をする必要があるからです。


 労働安全衛生法の規程にも、事業者は「健康診断の結果に基づき労働者の健康を保持するために必要な措置について医師の意見を聴取し、必要があるときは、労働者の就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければならない」と定められています。

 とくに事業用自動車では、「健康管理こそ安全管理」として重視するべきです。

●日常的には、簡単な声掛けから

 健康診断の結果を大げさに捉える必要はなく、ひとつの目安でしかありません。しかし、血圧が高いとか心臓に不安があるといったことを把握してマークしていれば、点呼時などに「最近、定期の心臓検査には行っているの」とか、「血圧の値はどうなの」といった声をかけることが可能になります。

 こうしたコミュニケーションの積み重ねが重要です。


 本人が不安を感じている場合、「実は、検査に行かなければと思ってはいるのですが、なかなか忙しくて……」と本音が漏れることもあります。そうした相談があったときこそ、業務を調整して、「では、来週に半休をとって検査に行ってきてはどうか」などと提案できます。


●信頼関係を築いて早めの相談を促す

 また、本人はそのときは快調で大丈夫だと思っていても、声をかけてもらうことによって「自分の体調について心配してくれているんだな」と感じとります。

 

 そこから管理者への信頼感が生まれて、調子が悪くなってきたときには早めに相談してくれるようになったり、定期的な薬の服用が必要といった情報を得ることもできるようになります。

 

 病気に関する専門知識がなくても良いので、こうした役割を果たすことが管理者に求められています。

 

●とくに注意を要する脳・心臓疾患の予備軍

 国土交通省発行の「運転者・健康管理マニュアル(※2)」によると、運転に影響する主な疾病として、脳血管疾患、心臓疾患、眼疾患、神経疾患、睡眠障害、呼吸器系疾患、消化器系疾患、感冒/アレルギー疾患、精神疾患などが挙げられています。


 特に運転者の死亡率が高い脳血管疾患・心臓疾患に関連する項目について健康診断で異常所見がある場合は、必要な検査を行う「二次健康診断」とその結果に基づいて脳・心臓疾患の発症の予防のために行われる「特定保健指導」を、受診者の負担なく無料で受けることができる仕組みがあります。

 

 具体的には、血圧・血中脂質・血糖値の全てに異常所見があり、しかも肥満度の高い人が対象になります。最近は若年者にも多いメタボリック症候群タイプです。

 該当者がいる場合は、ぜひこれらの無料診断・指導を活用しましょう。

 

 ( → 詳しくは、二次健康診断等給付の請求手続─厚生労働省─を参照)


●医師との情報交換をこまめに

 健康診断結果をもとに日常的な管理・指導をする場合は、医療関係者との情報交換も必要です。

 管理者が運転者と一緒に産業医などの相談を受けるよう奨励されています。

 

 なお、従業員が50人未満の事業所の場合、産業医の選任義務がないので相談する産業医はいないでしょうが、こうした企業であっても無料で指導を受けられる仕組みがあります。

 各地に設置された「地域産業保健センター」が利用できるのです(厚生労働省が所管)。

 同センターでは、医師等が原則として無料で異常所見に関する健康相談や個別訪問による面接指導サービスに応じています。

( →  最寄りの地域産業保健センターを探すには、各都道府県「産業保健総合支援センター」に問い合わせてください)

 

●主要疾病に対するスクリーニングの奨励

 トラック・バス・タクシーなどの職業ドライバーの場合、定期健康診断の項目とは別に、以下の様な主要疾病の早期発見に有効と考えられるスクリーニング検査の受診が奨励されています(運転者・健康管理マニュアル(※2)より)。

 とくにSAS(睡眠時無呼吸症候群)に関しては、このたび国土交通省がSAS対策のマニュアルを改訂し、スクリーニング検査の実施を呼びかけています。

※1 個人の健康診断結果等を扱う場合、個人情報の外部への漏洩について配慮する必要はありますが、事業者の義務として実施した従業員の定期健康診断結果を事業者が知ることについては、第三者への情報提供には該当しないので、問題はありません。
 さらに、専門医等から精密検査結果などの情報を収集する際には、以下のガイドラインを参考にしてください。
  →  雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項

※2 事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」平成22年発行、平成26年4月改訂

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