貨物自動車運転者に対する指導・監督指針を改正──平成29年3月施行

■11項目から12項目に増やし、実技指導も強化

 国土交通省は、準中型免許が来年に創設(※)されることなどに関連して、「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」の一部を改正しました。

 平成28年4月1日に公布されましたが、 改正道路交通法の施行日(平成29年3月12日)に併せて施行されます。

 

 新たな指針は、指導監督の項目を従来の11項目から12項目に増やし、トラックの初任運転者について安全運転実技指導(20時間)を義務化するなど、運転者教育の強化を図っています。

 

 新たに12番めとして追加された項目は、「安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車の適切な運転方法」です。被害軽減ブレーキや追突事故防止装置、車間距離制御装置などの装備が進んでいますが、運転者にその機能を十分に理解させ、活用を促すことが目的です。

 

 このほか、トラックを運転する場合の心構えに「交通事故統計を活用し事故の影響の大きさを理解させる」、トラックの運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項に「規定に基づく日常点検の実施、適切な運転姿勢で運転することの重要性、それを怠ったことで事故が発生した際、事業者、運転者が受ける罰則、処分と措置、交通事故が加害者に与える心理的影響を説明することにより確認させる」を付け加える、健康管理の重要性に「ストレスチェック等に基づき精神面の健康管理の重要性を理解させる」──などとなっています。

 

■初任運転者指導は15時間、実技指導20時間を新設

 また、現行では座学6時間となっていた初任運転者指導が15時間に延長され、トラックの構造特性などの指導は実車を用いるほか、実際にトラックを運転させて安全な運行方法を体得させる「実技指導20時間」が新たに義務づけられます。運行管理者の負担もこれまで以上に大きくなることが予想され、社内教育体制の整備や外部教育機関の活用などが必要となってきます。

 

 国土交通省では、指針改訂に伴い「一般的な運転者への指導・監督マニュアル」について改訂を行う他、初心運転者向けのマニュアルを新たに制作する方針です。

 

 詳しくは、国土交通省のWEBサイト参照してください。

 

「貨物自動車運送事業者が運転者に対して行う指導及び監督の指針」改正概要
  項 目 改 正 後 の 追 加 内 容

トラックを運転する場合の心構え

・交通事故統計を活用し事故の影響の大きさを理解させる

トラックの運行の安全を

確保するために遵守すべき

基本的事項

・規定に基づく日常点検の実施及び適切な運転姿勢での運

転の重要性を、それを怠ったことによる事故が発生した際

に事業者及び運転者が受ける罰則、処分及び措置及び交通

事故が加害者等に与える心理的影響を説明することにより

確認させる

トラックの構造上の特性

・トレーラを運転する際に留意すべき事項及び貨物の特性を

理解した運転を理解させる

・トレーラにより、コンテナを運搬する事業者にあっては、

コンテナロックの重要性を理解させる

貨物の正しい積載方法 ・軸重違反を防止するための積載方法を理解させる
過積載の危険性

・法令に基づき荷主が遵守すべき事項、運転者等が受ける

過積載に対する罰則、処分及び措置を理解させる

危険物を運搬する場合に

留意すべき事項

・該当する事業者にあってはタンクローリーを運転する際

に留意すべき事項を指導する

・危険物に該当する貨物および運搬前の安全確認について

理解させる

適切な運行の経路及び当該経路

における道路及び交通の状況

(改正なし)

危険の予測及び回避並びに緊急時

における対応方法

・注意喚起手法として指差呼称及び安全呼称を活用する

・降雪が運転に与える影響、緊急時における適切な対応を

理解させる

運転者の運転適性に応じた安全

運転

・適性診断の結果に基づく個々の運転者の運動行動の特性

を自覚させる

交通事故に関わる運転者の生理

的及び心理的要因及びこれらへ

の対処方法

・医薬品の使用等による眠気及び飲酒の生理的要因による

事故の可能性を理解させる

・規定に基づき運転者の勤務時間及び乗務時間を定める場

合の基準を理解させる

健康管理の重要性

・ストレスチェック等に基づき精神面の健康管理の重要性

を理解させる

安全性の向上を図るための装置

を備える事業用自動車の適切な

運転方法 【新設】

・安全性の向上を図るための装置を使用した場合の適切な

運転方法を理解させる

【追加事項】上記内容について運転者に対する指導・監督を一年ごとに実施する

■「初任運転者に対する特別な指導の内容及び指導時間」の改正ポイント

  項 目 内 容 時 間

運転者が順守すべき事項、

トラックの安全な運転に関する事項

・一般的な指導及び監督の内容について指導を行う

・この場合、日常点検、トラックの車高、視野、死角、内輪差及び制動距離等トラックの構造上の特性、貨物の積載方法及び固縛方法等に関しては、実車を用いて指導する

15時間以上実施する

(現行は6時間)

安全運転の実技

 ・実際にトラックを運転させ、道路状況に応じた安全な運転方法を添乗等により指導する

20時間以上実施する【新設】

 *公布 : 平成28年4月1日

 *施行 : 道路交通法の一部を改正する法律(平成27年法律第40号)の施行日 =平成29年3月12日

※準中型免許を創設
 平成27年(2015年)6月、車両総重量3.5トン以上7.5トン未満の自動車の免許の受験について、18歳以上であれば運転経験を問わずに可能とする「準中型免許」を創設する改正道路交通法が公布されました(平成29年3月12日施行)。

 これらの動きに関連して国土交通省の施策としては、総重量7トン以上のトラックに運行記録計の設置が義務づけられた他(平成29年4月に完全実施)、貨物自動車の運転についての更なる安全対策を図るため、「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」では、免許取得後の研修の拡充などについて検討されています。

 

トラックドライバー向けの指導・監督資料については  → こちらを参照

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