9月は「秋の全国交通安全運動」が実施されます。子どもと高齢者の事故防止を基本に、自転車との事故防止、飲酒運転の根絶などに取り組みましょう。
とくに事業所では、高齢者との交通事故防止指導に力をいれていきましょう。これからどんどん日が短くなり、秋以降は薄暮時や夜間の歩行者事故・自転車事故が多発します。歩行者や自転車の死亡事故の約7割~6割は高齢者の被害です。
管理面では、夏の疲れからくる体調不良などに十分注意して、健康で安全な職場づくりを目指してください。
■高齢歩行者の立場に立って考えよう
歩行中交通事故死者数の約7割が高齢者で占められるなど、高齢者の歩行中事故が多発しています。
こうした事故の多くが、高齢者とドライバーの意識のギャップから発生していると思われます。
高齢者が無謀な横断をするケースでは、車の速度をうまく判断できないケースがあります。一方ドライバーは、こんなところで横断して来ないだろうと考え、高齢者の動静に注意していないことがあります。
図は、イタルダ・インフォメーションNo.94(交通事故総合分析センター)より引用
■「車は止まってくれる」と考えがちです
また、交差点の横断歩道で被害にあう高齢者が多い点も特徴的です。
高齢者は「横断歩道は安全」と考え、車が止まってくれるものと考えています。しかし、運転者の側はそこまで歩行者のことを配慮せずに、「車が行けば、横断歩行者は待つだろう」といった考えでいて平気で横断妨害をする人も少なくありません。
運転者が横断しようとする歩行者を軽視して見落としても、敏捷な若者であれば車を避けられますが、高齢者はそのまま轢かれるケースが多いと思われます。
高齢者の立場に立って考え、「危険なタイミングでも横断してくるかも知れない」「当然、横断歩道を渡ってくるので止まるべき」という意識を持って事故を防ぎましょう。
図は、イタルダ・インフォメーションNo.100(交通事故総合分析センター)より引用
■交通安全運動への参加を促す
秋の全国交通安全運動が実施されます。重点項目を踏まえて、運動への参加指針を決定し、運動の資料や安全運転指導の教材などを配布しましょう。
ポスターや要綱は、内務省の交通安全対策資料ページからダウンロードできます。
・運動の基本テーマ「子供と高齢者の交通事故防止」
・運動の実施期間 9月21日(月)~30日(水)
・交通事故死ゼロを目指す日 9月30日(水)
・全国重点項目
(1)夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故
防止(特に、反射材用品等の着用の推進及び自転車
前照灯の点灯の徹底)
(2)後部座席を含めた、全ての座席のシートベルトと
チャイルドシートの正しい着用の徹底
(3)飲酒運転の根絶
※交通安全運動の詳細に関しては → 内閣府のWEBサイトを参照してください。
■応急救護措置の指導をしよう
9月9日は「救急の日」です。
運転者の皆さんは、交通事故の現場に出会った場合など、いざというときに現場で救命処置ができるでしょうか。自信があるという人は少ないかもしれません。
この機会に、応急救護措置講習の受講を検討してみてはいかがでしょうか。
最近自治体の消防局などでは、一般の救命講習の他にAED(自動体外式除細動器)の使い方なども講習してくれます。
一般の市民がAEDの正しい使い方を知って実践すると、救命率がぐんと上昇すると言われていますので、ぜひ受講したいものです。
消防局だけでなく各地の日本赤十字社、防災センターなどでも講習を実施していますので、相談してみるとよいでしょう。
■自覚症状をチェックしよう
運転中に健康状態が悪くなって事故に結びつくケースが多発しています。まだ残暑がきつく、夏バテの出やすい時期ですので、十分に注意しましょう。
自分の体調は自分が一番よくわかっていると思いがちですが、自覚症状があっても、少し時間がたって収まると「大丈夫」と感じて無理をすることがあります。
とくに、高血圧や糖尿病などの既往があり医師の治療などを受けている人は、ストレスのかかる運転時に体調変化のリスクが大きいので、以下のチェックリスト-1を参考にして、 自覚症状があれば軽視しないことです。無理に運転を続けないで、管理者に相談する必要があります。
また、持病のない人も、チェックリスト-2を参考にして、いつもの体調と違うと感じたら、相談してください。
※チェックリストは「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」国土交通省より引用
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
■労働衛生週間の準備を行う
全国労働衛生週間の準備期間として、職場の巡視活動を実施しましょう。喫煙場所ルールの確認など、健康リスクに関する巡視は重要ですが、防災チェックなども併せて見て回ると効果的です。
倉庫や駐車場所の5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)の確認、避難経路など通路の安全確保、防災グッズの収納場所、地震対策として設置物の固定などがしてあるかも見ておきましょう。
これらのチェックは、メーカーなどの製造現場では当たり前のことですが、流通系のオフィスや物流現場などでは、まだまだ確認ができていないことがあります。
■メンタルヘルス対策の推進
平成26年6月に公布された改正労働安全衛生法により、次の3点の推進が企業の労働衛生対策として求められています。
①ストレチェック制度の創設によるメンタルヘルス対策
②危険・有害な化学物質に対するリスクアセメントの実施
③職場における受動喫煙防止対策
また、平成27年7月24日には「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定され、過労死防止への努力も求められています。
「ストレチェックの義務付け※」は12月1日に施行されますので、労働衛生週間の機会をとらえて運転者のメンタル面でのケア、労働時間対策、パワハラ等の防止策に力を入れましょう(ただし、従業員50人未満の事業所について、ストレスチェックは当分の間、努力義務です)。
→※ 「ストレスチェック」についての詳細は、厚生労働省のwebサイトを参照してください。
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
■大型自動車は重点的な車両点検整備を実施
9月~10月は「自動車点検整備推進運動強化月間」です。
大型バスを運行するバス事業者や車輛総重量8トン以上の事業用トラックを50台以上使用する運送事業者は、大型自動車の重点点検を行い、その結果を報告するよう地元の運輸支局から注意喚起が行なわれます。
これ以外の事業者も自主点検に取り組みましょう。
とくに、点検整備ミスによる大型車のホイール破損・車輪脱落事故、ブレーキペダルの戻り不良による火災事故等が発生していますので、日常点検整備、定期点検時における以下のような重点チェックを促しています。
■重点点検項目 |
■点検箇所 |
タイヤ・ ホイール |
タイヤの摩耗・亀裂・残り溝等 |
ホイールナット、ボルトの緩み・損傷 |
|
エンジン | 燃料漏れ |
電気装置 | 配線接続部の緩み、損傷 |
ブレーキホース・バルブ | ブレーキ液漏れ、損傷及び取り付け状態 |
ブレーキ・ペダル |
ペダルの遊び、踏み込んだときの床板とのすき間等、 ペダルの戻りは正常か、泥・砂などの付着はないか |
※車両火災防止やホイールボルトのメンテナンスについては日本自動車工業会のWEBサイトも参照
■改善基準告示の遵守を徹底しましょう
国土交通省と厚生労働省がトラック運送事業の長時間労働改善方針を打ち出しているのを受けて、「トラック輸送における長時間労働と取引環境改善地方協議会」が、2015年7月から8月にかけて全都道府県で発足しました。
9月から本格的な活動が始まります。
トラックドライバーの長時間労働については、荷主都合による手待ち時間の改善や付帯業務への運賃の請求など、個々の自動車運送事業者だけでは解決できない課題があり、そのために官民で協力して活動をする協議会が発足しました。
一方で、国の方針を受けて、適正化実施機関の指導や運輸支局の監査などでは、労働時間のチェックがより厳しくなると予測されています。
労働時間を適正に保って改善基準告示を遵守するために、荷主や元請け物流事業者に対してどのように協力を求めていくか、運送事業者も真剣に考える時期にきています。
日 付 | 行 事 等 |
8月30日(日) |
・防災週間──防災に関する知識を普及・啓発するとともに、防災行動へと結びつける取組みが全国各地で行われ、異常気象時における通行規制図などが自治体から配布されます。 |
1日(火)~ 30日(水) |
・「全国労働衛生週間の準備期間」──来月1日~7日に実施される全国労働衛生週間の実効を上げるため、準備を行います。 平成27年度 労働衛生週間スローガン 「職場発! 心と体の健康チェック はじまる 広がる 健康職場」 ※詳しくは、中災防のホームページを参照してください。 |
1日(火)~ 30日(水) |
・「自賠責制度広報啓発運動」──国土交通省などが主唱。自賠責保険・共済の重要性について積極的にPRします。特にバイクユーザーが無保険で走行しないように注意喚起をしましょう。 |
1日(火)~ 10月31日 |
・自動車点検整備推進運動強化月間 ──9月~10月の2か月間、国土交通省が点検・整備の重要性を呼びかけています。 |
1日(火) |
・防災の日──関東大震災(1923年)を教訓とし、防災意識を高めるために1960年(昭和35年)に制定されました。 |
3日(木) |
・睡眠の日──「グ(9)ッスリー(3)」眠るからの語呂合わせです。日本人の睡眠時間は減少傾向にあり、日本睡眠学会では十分な睡眠が居眠り運転防止に不可欠と警鐘を鳴らしています。8月27日から9月10日までは睡眠健康週間(3月18日は春の睡眠の日)。 |
3日(木)~
12月まで |
・公共交通事故被害者等支援フォーラム──国土交通省が、公共交通事故(鉄道・バス等)により被害に遭われた方への支援対策を紹介するフォーラムを全国10箇所・各運輸局単位で開催します。最終開催は12月下旬の予定。詳しくは国土交通省のWEBサイトを参照してください。 |
8日(火) |
・9月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
9日(水) |
・救急の日(27年の救急医療週間は6日~12日) |
10日(木) |
・世界自殺予防デー──10日から16日までは自殺予防週間。悩みを抱えた人がいないかに気づき、援助が受けられるよう努力しましょう。労働時間の長すぎることがないように配慮することも大切。 |
20日(日) |
・バスの日──1903年(明治36年)のこの日、京都市で日本で初めてバス会社が本格的な乗合自動車の営業を開始したことに由来します。日本バス協会が「バスフェスタ」を開催します。 |
21日(月) |
・敬老の日(祝日) |
21日(月)~ 30日(水) |
・秋の全国交通安全運動──交通安全運動の推進要綱については内閣府のWEBサイトを参照してください。 |
22日(火) |
・国民の休日 |
23日(水) |
・秋分の日(彼岸中日) |
27日(日) |
・中秋の名月──旧暦8月15日 |
27日(日) |
・第30回全国フォークリフト運転競技大会 会場:埼玉県トラック総合教育センター(埼玉県深谷市黒田) |
30日(水) |
・交通事故死ゼロを目指す日 |
30日(水) |
・クレーンの日──クレーン協会等がクレーン等の安全規則を公布したことを記念し制定しました。 ※クレーン協会の平成27年度『クレーンの日』スローガンは 「しっかり点検 しっかり確認 互いに声かけ クレーンの安全」 詳しくは、同協会のホームページを参照して下さい。 ※また、ボイラ・クレーン安全協会も独自標語を制定しています。 「クレーン操作 あなたが 無事故の司令塔」
詳しくは、同安全協会のホームページを参照して下さい。 |
9月中旬 | ・平成27年8月末における交通事故発生状況公表(警察庁) |
9月中旬~ 12月中旬 |
・荷主等の事業場の担当者への安全衛生教育講習会 |
9月下旬 |
・平成27年8月末の労働災害速報(陸上貨物運送事業労働災害防止協会) |
~9月30日 |
・平成28年使用 交通安全年間スローガン 募集締め切り |
◆9月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(火) | 福岡 18:45 | 大阪 18:26 | 東京 18:10 |
15日(火) |
福岡 18:26 | 大阪 18:06 | 東京 17:49 |
30日(水) | 福岡 18:05 |
大阪 17:45 |
東京 17:28 |
「早めにつけよう おもいやりライト」
運動に取り組みましょう!
運転者の皆さん!秋の日はどんどん短くなってきます。早めの点灯を意識しましょう。少しだけの配慮で交通事故を減らすことができます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどに警戒することを習慣としてください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。
※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開し、JAFインターネットWEBサイトでライト点灯に関して様々な情報提供をしています。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください