2013年

1月

15日

想定外の事故を防ぐには

「想定外」と言う前に考えてみよう

 大地震などで行政や電力会社の「想定外」という弁解に批判の声が浴びせられ、「想定していなかった」という言葉は安全の担当者にとっては禁句のようです。実際には、事故は大抵の場合「想定の外」からやってくるので、事故が起こって初めて想定が甘かったと気づくことが多いのですが。
 しかし、以下の事例をみると、想定外と言い訳をする前に管理者としてすべきことがないか、考えておきたく思います。

■マニュアルの想定外で事故が起こる

フォークリフト安全指導

 以前、「マニュアルの落とし穴」について紹介したことがあります。トラックの荷台にフォークリフトで荷物を積むときドライバーの手が挟まれる事故の例でした。


 このとき、「フォークリフトオペレーターとドライバーが相互に声掛けをする」というマニュアルの規定に落とし穴があったため、事故が起こったと紹介しました。

 現場で、実際にはフォークリフトの方から合図の声を掛けることが常識化していましたが、その合図を騒音などのためドライバーが聞き落とすために、挟まれ事故が発生していたのです。


 そこでマニュアルを改定し、「ドライバーの方から合図を出す」と具体的に書き換えました。このことで、ドライバーの声がはっきり聞こえるまでフォークリフトを動かせないので、ドライバーの挟まれ事故が激減したそうです。
 しかし、そのマニュアルを守っていても、また事故が発生しました。

■言葉の行き違いが危険を誘発する

フォークリフト安全教育

 今度は「聞き間違い」つまり言葉のコミュニケーション不足による事故です。
 あるドライバーが荷物の端に手をかけた状態で「OK」とフォークリフトに合図を出しましたが、ドライバーにはまだ荷物が十分に縁まで寄っていないように見えたので、「OK… もう10センチ寄せて」という意味で合図を出した積りでした。

 しかし、フォークリフトオペレーターは、ドライバーの「OK」の合図を「リフトを降ろしても 大丈夫!のOK」の合図だと勘違いしてそのまま荷物を下ろしたため、手がパレットと荷台の間に挟まれたのです。


 普通、これほど細かいことを作業マニュアルに書くのは難しいでしょうが、「声を掛ける」とか「OKの合図を出す」と言っても、その現場や作業の性格で細かい技術的な基準があるということです。
 管理者が机上でマニュアル内容を詳細にするだけでは事故は防げませんので、現場の作業者が事故の事例に学びながら、どんな事故が想定されるのかを日常的に話し合い、コミュニケーション不足を防ぐべきだと思われます。

■「想定にとらわれるな」と繰り返し指導して、子どもたちの命を救う

「想定外」についてはこんな話もあります。
 一昨年の3月には東北で多くの人々が津波で命を失いましたが、釜石市では、小中学校の全生徒 2,926人のうち、学校を休んでいたなどの5人を除く全員が津波から逃れたといいます(生存率は99.8%)

 

 「釜石の奇跡」として全世界で報道されたので、ご存知の方も多いと思いますが、子どもたちの命を救ったのは、群馬大学の片田敏孝教授(災害社会工学)などの指導により2004年から続けられていた、徹底した”防災教育”の賜物です。
 その教育には、防災の知識だけでなく次の“避難の3原則”を身につけさせる指導がありました。

 避難の3原則
   ① 想定にとらわれるな
   ② 常に最善と思うことを尽くせ
   ③ 率先避難者になれ

 私たちは①番目の「想定にとらわれるな」から学ぶことが大きいと思います。大人たちの津波による死者を居住地区別に調べたところ、市の発表した津波の浸水ハザードマップの外側の「浸水は何とか免れる」とされた地区での死者が多数にわたることがわかりました。

 

 しかし、子どもたちは、たとえハザードマップの外側にいた子も、全員が高台まで逃げようと必死で走りました。

 釜石市の小中学校における防災教育では、繰り返し「相手は自然だから何が起きても不思議はない。ハザードマップで浸水しないと示されているからといって安全だと思いこむことは大きな落とし穴」と教え、実際にハザードマップを見せながら「これを信じるな」と伝えたそうです。


 大人はともすれば、既存の知識にとらわれて、ハザードマップを調べるところで「自分は準備した」と安心してしまい、「まさか……」と考えがちです。

 しかし、災害や事故の背因はまさにその「まさか」にあります。子どもは頭が柔らかく、素直に教育されたことに従う従順さを持ちあわせていました。

■「まさか」と思わずに実態の確認を

 私達の業務は「ルールを守る」という前提ですすんでいますが、こと安全に関してはそれでは通らないことがあります。


 「マニュアルを逸脱する従業員などいるわけない」という管理者の気持ちが、事故を見えなくすることがあります。ある食品会社の工場では、フォークリフトが回りの人と事故を起こすのを防ぐため、フォークリフトの動力が入っている間は、周囲の人間はリフトの3m以内に絶対近づかないという規定を作成し、現場に厳守を誓わせたそうです。


 しかし、実際には、工場と全く関係ない事務の職員が初めて現場に入ることがあり、それが事故に結びつきました。事務員は、フォークリフトの職員に連絡事項があったので、「3m以内」に近づくしかありませんでした。また、他社からの訪問者も、その人なりの常識にしたがって行動します。「回りにいる人は安全のルールを守ってくれる」と作業者が思い込むことこそ危険だったのです。
 管理者もマニュアルを逸脱する人が「必ずいる」ことを想定しましょう。そして、守られにくいマニュアルの項目があれば、そのルール自体に問題があるので、むしろルールを変えたほうがよいと判断すべきでしょう。

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