2013年

1月

31日

交通事故の判例ファイル22(自転車の過失割合が大きい例)

 最近、交通事故裁判例集を見ていると、自転車がらみの判決例が多いことに気づきます。自転車の危険行動が近年社会問題化して、警察庁なども検討を続けていますが、民事訴訟にも影響が現れているようです。

 今回は、自転車が四輪車と衝突して被害を受けた事故のなかでも自転車の過失責任が大きく問われた事例を紹介します。

■被害自転車の過失を6割と認定

自転車並走事故

──並進してきた自転車の危険を考慮

(岡山地裁 平成21年7月16日判決)

 これは、並走していた自転車の危険を重くみた判決例です。

 幅約6mの道路を中学生(12歳男子)の自転車が通学中、友達の自転車と2台並んで道路右側を並走していたところに対向車の大型トラックがやってきました。トラックドライバーは自転車を避けようとして少し右側にハンドルを切りましたが、自転車はすれ違い時にふらついてトラックと接触、トラックはそのまま自転車を数m引きずって停止しました。

 

 この事故で、中学生は下肢に重傷を負い、障害等級10級程度の後遺障害が残ったため(労働能力の20%を喪失)、治療費・逸失利益・慰謝料などを合計して、総額約2,460万円の損害額が認められました。
 しかし、一方で双方の過失を以下のように勘案し、
●トラック側──自転車2台の並走を認めた段階で、ふらつき倒れる危険を予見できた。右にハンドルを切ったのは危険を予測した行為と言えるが、それだけでは不十分で、ただちに徐行すべきだったが徐行しなかった過失がある。
●自転車側──道路の左端によって走行すべきところを右側通行し、さらに並進した大きな過失があるため、ふらついて衝突した。
 その結果として、
 自転車側 6割トラック側 4割 の過失相殺を認め、

 損害賠償額は984万円に減額されました。

【事故例・判決例が示唆すること】
●「自転車が危険」と感じたら、徐行・停止して安全を確保する
 危険な自転車の行動にイライラするドライバーは多いでしょう。この事故のトラックのように避けようとして事故に遭うケースも少なくありません。
 「当たったら自分の負け」と自らに言い聞かせて、少しでも危険を感じたら「徐行」または「停止」してやりすごす態度を徹底しましょう。
 判例にも見る通り、ドライバーの行動が評価されても過失ゼロとはなりません。自己防衛のために自転車を避ける行動を常に意識しておきましょう。

●「自転車も車両」を徹底しよう
 自転車は道路交通法上は「軽車両」とされ、車両の一部です。ですから、原則として左側通行が義務づけられています。また並進も禁じられています。被害者となっても、こうした過失を重く見られて損害賠償額を大きく減額される可能性があることを肝に銘じましょう。

(*交通事故民事裁判例集 第42巻第4号 898ページより引用)

■一時停止を無視した自転車の過失を5割と認定

自転車一時不停止

──見通しの悪い交差点で自転車が飛出し

(名古屋地裁 平成22年11月15日判決)

 一時停止を無視した自転車の過失を5割と認定した判決例です。

 信号のない見通しの悪い交差点で、小学生(8歳男子)の自転車が一時停止をしないで前方の確認をしないまま飛び出し、折から交差道路をやってきた普通トラックと衝突しました。

 この事故で小学生は脳外傷を負い、高次脳機能障害などの後遺障害が残り(6級相当、労働能力喪失67%)、治療費・逸失利益・慰謝料・装具代などで総額約5,893万円の損害額が認められました。
 双方の過失は以下のように判断されました。
●トラック側──優先道路とはいえ、住宅街の中にある市道で交差車両がくることに何ら注意を払わず、漫然と交差点に入ったため、衝突寸前まで小学生の自転車に気づかなかった。前方を注視して急ブレーキを踏めば事故は回避できたと思われ、著しい前方注意義務違反の過失がある。
●自転車側──左側通行をしていたが、見通しの悪い交差点で一時停止すべき場所で停止を怠り、前方の注意をしていなかった過失がある。しかし、8歳の児童であるため、運転者の方に高い注意義務が課せられていたと言える。
 結果として、
 自転車側 5割トラック側 5割 の過失相殺を認め、

 損害賠償額は2,946万円に減額されました。

【事故例・判決例が示唆すること】
●「見通しの悪い交差点」では優先側でも警戒を怠らない
 見通しの悪い交差点では自転車との出会い頭事故が多発しています。漫然と走行して衝突し相手がけがをした場合、四輪車側の責任が重くみられます。
 たとえ、自車線側に一時停止がかかっていなくても、自転車の飛出しなどを意識して、場合によっては徐行しましょう。

●自転車も「一時停止」を守ろう
 交差点での一時停止を守らない車やバイクが多く、出会い頭事故の要因となっていますが、自転車も同罪であり、過失を重く問われます。この事例でも重篤な後遺障害を残したにもかかわらず、約3,000万円という多額の損害額が減額されています。

(*交通事故民事裁判例集 第43巻第6号 1436ページより引用)

【参考】──歩道上の自転車対歩行者事故は、原則として過失相殺なし


 平成20年(2008年)の道路交通法改正により、自転車の歩道通行ができる要件を明確にし、車道走行のルールを厳格化しましたが、自転車と歩行者等の人身事故が多発していることから、東京、横浜、名古屋、大阪など主要4地裁の交通事故専門裁判官は平成22年3月に法曹雑誌で誌上討論(※)を行い、「歩道上の事故は原則、歩行者に過失はない」とする「基準案」を提案しました。


 横浜地裁の裁判官が、歩道上は道路交通法で自転車の走行が原則禁止され、通行できる場合も歩行者の安全に注意する義務があることが明記されているので、「歩道上事故の責任は原則として自転車が負うべき」と主張し、他の3地裁にも基本的に認められたものです。


 自転車利用者が幼児・高齢者の場合もありますので責任能力には限界があります。4地裁の提案基準はあくまで「目安」であり、今後も検討が必要とされ、必ずしも一律に適用されているわけではありません。とはいえ、歩道上では自転車の責任を重く判断する一つの根拠になると見られています。

 ※法曹時報 62巻3号

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