「歩行者の交通事故」をテーマにした研究発表会2

信号交差点では高齢歩行者の信号無視の割合が高い

 信号交差点の横断歩道を歩行している際の高齢歩行者の夜間事故を見てみると、死亡事故は交差して走ってくる直進車との事故が44.9%と最も多く、重・軽傷事故では、右折車との事故が約60%であることがわかりました。


 また交差して走ってくる直進車との死亡事故(800人)を法令違反別に見てみると、運転者の信号無視が16%であったのに対し、高齢歩行者の信号無視は67.5%にも上りました。

 

 高齢歩行者の信号無視が多い理由として、故意の信号無視のほか、赤信号に気付かずに横断したり、青信号で横断を開始したが途中で赤信号に変ったことなどがあげられます。

 

 右折車と高齢歩行者との重軽傷事故においては、高齢歩行者に人的事故要因はほとんどなくなく、事故原因の大半は運転者の「発見の遅れ」となっています。
 右折時に高齢歩行者の発見が遅れる理由として、運転者は対向直進車に意識を奪われるあまり、横断者の発見が遅れ、また高齢歩行者は右折車には気付いているものの、止まってくれるだろうという意識が働いているものと思われます(下図参照)。

免許を保有していない高齢者への安全教育が課題

 また参加者から、事故にあう高齢歩行者が免許を保有しているか否かで、どれくらい事故率に差が出るのかとの質問がありました。


 それに対し、舟山氏は信号交差点での横断歩道横断時、横断歩道以外の単路横断時の事故のいずれも、約85%が免許を保有していない高齢歩行者が事故にあっているというデータを紹介し、今後、高齢者への交通安全教育をすすめていく上で、免許を保有していない高齢者にどのように交通安全教育をすすめていくかが課題であると述べました。

高齢歩行者事故防止のポイント

 舟山氏はこれらの研究結果から運転者、高齢歩行者に対して、次のような安全ポイントを示しました。

──運転者の留意点

◯単路走行中には…
 ・道路の左側だけではなく右側から横断してくる歩行者に注意(特に夜間)。
 ・対向車線に停止車が連続しているとき、その陰からの横断歩行者に注意。
 ・信号交差点の近くでは信号に注意が向くので横断歩行者を発見しにくい。

  よって特に慎重に運転することが大切。

 

◯交差点通過時には…
 ・交差点直進時は、信号無視の歩行者や青信号で道路を渡りきれず

  横断歩道上に取り残された高齢者に注意。
 ・交差点右折時は、対向車両の動きに気を取られやすいので、右折先

  横断歩道の安全確認は、右折開始前に必ず行なう。

──高齢歩行者の留意点

◯単路横断時には…
 ・夜間は、車の速度や距離感覚を見誤りやすい。

  横断前に近づいてくる車が見えた場合は横断を開始しない。
 ・横断開始時と横断の後半では交通状況が大きく変わるので、

  横断の途中に再度周囲の状況(特に左方)を確認する。

 

◯信号交差点横断時には…
 ・信号無視等の法令違反をしない。また、歩行者用信号が青信号の後半や

  点滅時は横断を開始せず、次の青信号まで待つ。
 ・交差点の横断歩道を青信号で渡る時でも、優先意識を持ちすぎず

  安全確認を励行。特に右左折車に注意する。

第14回財団法人交通事故総合分析センター
交通事故調査・分析発表会データ

 

・日時   平成23年10月3日(月)13:00~16:45
・会場   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
・主催   財団法人交通事故総合分析センター
・後援   警察庁 国土交通省 内閣府
・プログラム
 1.今発表会の趣旨説明および交通特性と歩行者交通事故特性の関連性の分析
 2.団塊世代の歩行者事故の将来予測
 3.高齢歩行者 道路横断中事故の分析
 4.人口、車両台数、インフラ等と 歩行者事故の発生
 5.人対車両事故における車両タイプと歩行者の傷害に関する分析
 6.子どもの飛び出し事故の事例分析

 

 研究発表会の論文集は(財)交通事故総合分析センターのWEBサイトにおいて公開されています。

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4月26日(金)

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