最近、悲惨な事故が続いており、ニュース報道で「自動車運転過失致死傷罪」や「危険運転致死傷罪」などの言葉を聞くことが多くなりました。この言葉の違いについて、説明したいと思います。
今日は、「自動車運転過失致死傷罪」について、お話します。
以前は、過失によって人身事故を起こした場合には、刑法の「業務上過失致死傷罪」に問われていました。この罰則は、最長5年の懲役・禁錮刑または最高100万円以下の罰金でした。
ところが、交通事故の被害者や遺族などから、悲惨な交通事故の罰則があまりにも軽すぎるという声があがり、平成19年6月に刑法が改正され、「自動車運転過失致死傷罪」が新設されました。
これは、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者」を対象にしており、罰則も最長7年の懲役・禁錮刑または最高100万円以下の罰金に引き上げられました。現在では、自動車運転による人身事故のほとんどに適用されています。
ここで言う自動車とは、道路交通法上の自動車と原付車が該当し、道路以外の場所で起きた事故も含まれます。
軽車両である自転車の場合には、「自動車運転過失致死傷罪」の適用対象外であり、自転車で悪質な加害事故を起こした場合には、「重過失致死傷罪」が適用されます。
明日は、「危険運転致死傷罪」についてお話します。
(2012.6.6更新)
軽い気持ちの不安全な運転行動が、高い事故の代償を生みます
安易な気持ちから生じる不安全な運転行動が、事故を誘発したり大きな過失責任を生じさせることがあります。
本誌は6つの事例について、運転者の過失責任の割合を自分なりに考えて回答する、参加型の教育教材となっていますので、「こんな運転行動が大きな過失責任を生むのだ」といったことをより深く理解することができます。