乗用車や小型トラックなどのブレーキを操作する力は、油圧装置などによって増幅されています。しかし、それだけは安全に車を止める力として十分ではありませんので、アシストする装置として倍力装置が備えられています。
ブレーキサーボやブレーキアシスターなどいろいろな名称がありますが、このブレーキ倍力装置はエンジンの力を利用しているので、エンジンを切ると急にブレーキペダルは重たくなり、効きが悪くなります。
今から2年前になりますが、2010年6月、静岡県内で「赤信号でエンジンを切るのがエコドライブ」と信じていた運転者が、下り坂で乗用車を停止させた際にエンジンを切ったところ、車が動き出して前にいた車7台と接触する事故がありました。
エンジンを停止させると、油圧に伝わる力も弱まりますから、よほど大きな力で踏み込まなければブレーキが効かなくなります。運転者は、そのことに気づいておらず下り坂でエンジンを切ったために、車を止められなかったのです。
なお、バスや大型トラックなどに備えられているエアブレーキは、エンジンを止めてもエア圧が低下していない限りはよく効きますので、大きな力でブレーキを踏まないという止まらないという心配はありません。
(シンク出版㈱ 2012.10.17更新)