自転車の業務使用に関する注意点を教えて下さい

■今回の相談

 弊社では、近場の配達や集金などで自転車を利用しています。最近では、自転車でも歩行者にケガを負わせた場合、高額の損害賠償が発生すると耳にするので、会社としても何かしらの対応を考えています。
 自転車には安全運転管理者を専任して指導にあたるといった制度等がありませんが、保険はもちろんのこととして、車と同じように車両台帳などを用意する必要があるのでしょうか?他にも、自転車の業務利用に関するリスクマネジメントのアドバイスをお願いします。

■回答(清水伸賢弁護士──WILL法律事務所)

◆自転車の業務利用に関する基本的な考え方

WILL法律事務所 清水伸賢弁護士

 自転車は、道路交通法上の「軽車両」とされ、原則としては車道を走らなければならず、飲酒運転等をした場合には罰則の適用もあります。ただ、使用にあたって資格や免許が必要なものではなく、誰でも気軽に利用できる乗り物であり、自動車に比べると制約が少ないといえます。また一般的には、加害者が自転車の場合の事故は、自動車の場合に比べ、生じる被害の程度が低いといえます。

 

 しかし、自転車が自動車に比べて法律上の制約等が少なく、比較的被害が生じる可能性が低いといっても、いざ事故を起こして被害が生じてしまった場合、被害の程度によっては、自動車の事故と同じ程度の責任を負うことがあることを理解しておかなければなりません。


 自転車事故によって、歩行者などに死亡や傷害といった被害が生じた場合には、民事上の損害賠償責任はもちろん、過失致死傷罪や重過失致死傷罪が適用されて、刑事罰を受けることもあります。

◆会社が負うべき責任

 自転車の場合、自動車損害賠償保障法の適用がありませんので、従業員が自転車で事故を起こした場合でも会社に運行供用者責任は生じません。しかし、業務で使用している以上、被害が生じた場合には、使用者責任を負います。通勤も含めて自転車の業務使用をする場合には、自動車を使用する場合と同じ責任が生じる可能性があることを理解しておく必要があります。


 そのため,会社の対策としては、自転車の業務での使用を認めない場合には、禁止規程を設けて周知させるなどして明確に禁止しておくべきですし、自転車の業務における使用を黙認したとみなされないようにしておく必要があります。


 会社が自転車の業務における使用を認める場合には、会社に使用者責任が生じる可能性をふまえ、後記のような種々の対策をすべきです。

◆自転車事故でも高額の損賠賠償が生じる

 従前までの裁判例でも、加害者が自転車で、被害者が歩行者の場合の事故などで、加害者が被害者に対して数千万円を超える高額の損害賠償責任が認められた事例は多くあります。また、自転車の事故で歩行者が死亡した場合に、重過失致死罪が適用されて実刑判決が出た事例もあります。


 従業員の自転車事故について、会社の使用者責任を正面から認めた裁判例は見当たりませんが、裁判例が認める使用者責任の法律構成からすれば、今後、自転車事故の場合に会社の使用者責任が認められる可能性は否定できません。

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