交通事故の判決を見ていますと、通常は検察が求刑した刑よりも軽い判決が言い渡されることが一般的です。
しかし、最近では裁判員裁判の導入により、市民感情がそのまま判決に反映されることが多くなり、どちらかと言えば厳しい判決が言い渡されるケースが多いように感じます。
なかには、検察側の求刑以上の判決が出ることもあります。
さる11月8日、神戸地裁で開かれた裁判員裁判で、酒を飲んで車を運転して帰宅途中に赤信号を無視して交差点に進入し、ミニバイクに乗っていた2人を死傷させて逃げた女性(43歳)に対して、検察側の求刑(懲役15年)を上回る懲役16年の実刑判決を言い渡しました。
裁判長は「不合理な弁解に終始し、反省の態度が見られない」と量刑理由を述べるなど、被告の態度にも言及していますし、裁判員を務めた女性も「命の重さを考えると、交通事故の量刑は軽すぎる。危険運転致死傷罪を適用しやすくするべきだ」と述べるなど、安易な気持ちで運転して交通死亡事故を起こした人に対する世間の目は厳しいものがあります。
改めて「車を運転することは、一歩間違えれば人を死傷させる危険もあるので、絶対に安易な気持ちで運転してはいけない」ということを教えてくれた判決ではないかと思います。
(シンク出版株式会社 2012.11.27更新)
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