滑りやすい路面で、少し強めにブレーキを踏むとタイヤがスリップして、車体をコントロールできなくなった経験は、誰にでもあると思います。
これは、タイヤと路面とのグリップ力(摩擦力)が低くなっているためですが、グリップ力はスリップ率によって変化します。
ブレーキを強くかけると、タイヤの回転数は減少しますが、自動車は慣性の法則によって前進を続けるために、タイヤは引きずられる状態で路面との間をスリップするように転がるようになります。
このように引きずられる度合いを「スリップ率」といいます。
右上の図は、スリップ率とグリップ摩擦力の関係を示したものですが、一般的にスリップ率が10~20%のときにタイヤが路面をグリップする力が最大になり、それ以上のスリップ率では低下してしまいます。
したがって、ブレーキは単に強くかければよいというものではありません。どのような路面状況のときにもスリップ率が10~20%になるようなブレーキングを心がけることが大切になります。
雪道などでブレーキをかけるときに、ホイールをロックさせずにブレーキをかける、いわゆるポンピングブレーキが推奨されているのは、この原理を応用したものです。
ちなみに、ABS(アンチロックブレーキシステム)は、スリップ率10~20%の範囲で制御するように機械的にコントロールするように設計されたものです。
※スリップ率とは、車体速度と車輪の回転速度の差を車体速度で割った数字
※グリップ力は、摩擦係数と垂直荷重の積で、摩擦係数が高いほど摩擦力が高まる
(シンク出版株式会社 2013.4.30更新)
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