従来、地震によって津波が発生したときに、避難のために車を使うと渋滞を招いて、かえって逃げ遅れる恐れがあると言われ、車を使うことは推奨されませんでした。
ところが、東日本大震災発生の際に車で避難した人に理由を尋ねたところ、「車で避難しないと間に合わなかったから」「家族で避難しようと思ったから」「安全な場所まで遠くて、車でないと行けないと思ったから」などが、多数を占めていました。そこで、大震災の教訓を生かして、避難のための手段として車を使用することも検討され始めています。
内閣府の中央防災会議が昨年7月にまとめた報告書では、徒歩避難を原則としながらも、徒歩避難が困難な高齢者等や避難所が遠い場所にある場合等では、地域の事情によって車による避難も容認しました。
今年の6月、宮城県亘理町では津波警報発令を想定して、住民らが約600台のマイカーで一斉に内陸部の避難所に向かう防災訓練を行い、全国的に注目を集めました。ただし、このときの訓練では最長180mの渋滞が発生したということで、車による避難も難しい面があることを改めて印象づけました。
津波警報が発令されたとき、車を使用するかしないかの判断は、住んでいる地域や家族構成などにもよる思いますが、いずれにしてもいざというときに備えて、避難方法を考えておく必要がありそうです。
(シンク出版株式会社 2013.9.10更新)
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