昨年5月、大阪市中央区で学童保育の指導員に付き添われ、3人の児童と縦1列で歩道を歩いていたところに、乗用車(66歳・男性)が奥にある路地に入ろうと歩道を横切る際に児童の列に突っ込み、当時小学1年生の女児が死亡するという事故がありました。
さる9月27日、大阪地裁で開かれた裁判で、自動車運転過失致死罪に問われた運転者に対して、大阪地裁は「目視という最も基本的な注意義務を怠り、厳しい非難を免れない」として禁錮2年(求刑禁錮2年6月)の実刑判決を言い渡しました。
この判決のなかで注目されることは、大阪地裁が「歩道を歩行者の聖域」と表現したことです。
「歩行者の聖域ともいうべき歩道を通行する際には、運転手には万全の注意義務が課せられる。被告人はわずかな注意を払えば危険を回避できたのにそれを怠っており、厳しい非難は免れない」と述べています。
しかし、現実の交通社会のなかでは、歩道は歩行者優先だとわかっていても、「歩行者の聖域」とまで思っているドライバーはほとんどいないのではないでしょうか。
道路交通法では、歩道を横切る際には歩道の手前で一時停止を義務づけられていますが、実際に一時停止をしている車はほとんど見かけません。それほど歩道に対する意識が甘いということだと思います。
「歩道は歩行者の聖域」
この言葉を胸に刻み込んでハンドルを握ってください。
(シンク出版株式会社 2013.9.13更新)
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