高齢歩行者が道路を横断している最中に事故に遭いやすいことはご存じのとおりです。高齢歩行者が事故に遭うときの行動特性などについては、いろいろな研究者が発表されていますが、今日は秋田大学の水戸部一孝教授の研究を紹介したいと思います。
まず最初にあげられているのが、「手前の車線を走行する車両ばかりを見ている」傾向が強いということです。歩行環境シミュレータを使った実験で、道路横断時の左右の確認比率と事故発生率を若年者と高齢者で比較したところ、事故に遭う高齢者は右側に注意が傾いていることがわかりました。
つまり、右側から走行して来る車両ばかり見ているということで、車両が左側から来る反対車線にはあまり注意をしていないことを示しています。これまでにも、道路を横断していて事故に遭う高齢歩行者は、手前の車線よりも、奥の車線で事故に遭うケースが多いことがわかっています。
その原因はやってくる車両のスピード感が分からないなどいろいろありますが、右側にのみ注意が向いていて、左側から来る車はあまり見ていないということも、大きな要因になっているということですね。ドライバーとしては、道路前方左側にいる高齢者にばかり注意を向けるのではなく、対向車線側から横断してくる高齢歩行者にも注意が必要だということです。
(シンク出版株式会社 2013.11.27更新)