フォークリフトの路上作業について教えて下さい

■今回の相談

 先日、会社の倉庫前の路上で作業していたフォークリフトが歩行者と接触し、ケガを負わせてしまいました。
 弊社のフォークリフトにはナンバーが付いていないので、一般道路は走行できないと思うのですが、実際にはトラックへの積み込みの際など、路上にでなければ仕事になりません。
 こういった場合、被害者への賠償責任以外にも責任を問われるのでしょうか?

■回答(清水伸賢弁護士──WILL法律事務所)

◆被害者への賠償責任

WILL法律事務所 清水伸賢弁護士

 会社の業務で作業をしていたフォークリフトが事故を起こし、第三者に損害が生じた場合、会社は運行供用者責任、及び使用者責任に基づき、損害を賠償する責任を負います。


 なお、フォークリフトの場合、構内作業のみに使用し、公道を走行することを前提としないものについては、ナンバーを取得しないことがあります。このようなフォークリフトは、公道を走行することは許されませんが、自賠責保険への加入を強制されるものではありません(自賠法10条)。


 しかし、ナンバーがついていないフォークリフトの場合でも、事故が生じた場合には会社は運行供用者責任を負うことになります。判例を見てみても、友人の父が経営している板金工場内だけで使用中のフォークリフトを無断運転中に生じた事故につき、その友人の父親の運行供用者責任を認めた事例があります(最高裁第三小法廷平成5年3月16日)。


 自賠責保険に加入することが義務づけられていないからといって、運行供用者責任を負わないことになるわけではありません。また、会社の業務中に第三者に対して損害を加えているため、いずれにせよ会社は使用者責任を負わなければならないことになります。

◆複数の法に抵触する恐れがある

 設問のように、ナンバーを取得しないフォークリフトを公道で使用し、荷役作業をしているような場合、そのような行為自体について、被害者への賠償責任以外に会社に罰則が適用される可能性があります。


 通常、刑事罰は違反者自身に適用されるものですが、一定の場合、その行為者を罰するほか、会社にも罰則が適用される場合があります。これを両罰規定といい、実際には会社や使用者に罰金刑が科されることになります。


 細かい規制がいくつかありますが、以下では各法律上、問題となりうる点について検討します。

1・道路運送車両法上の問題

 まず、ナンバーを取得していないフォークリフトで公道を走行していることについて、小型特殊自動車に該当しないフォークリフトは、自動車登録ファイルへの登録が必要であり、ナンバープレートを取得せず、あるいは表示せずにフォークリフトを公道で走らせた場合には、走らせた者に対する罰則があります(同法108条1項、109条1項など)。そしてこの違反については、会社にも罰金刑が与えられます(同法111条)。
 但し、フォークリフトは本来、構内で使用することを前提として作られているものもあるため、車種によってはナンバープレートを取得できないものもあります。

2・道路交通法上の問題

 また、ナンバープレートがあったとしても、原則として荷役作業については、公道で行うことはできません。荷台を備えていないフォークリフトは、最大積載重量の規定がなく、制限外許可条件違反として罰せられます(同法118条1項2号、123条)。
 「所轄警察署長の許可を得た場合」はこの限りではありませんが、許可を得ていない場合には、移動距離や時間の多少にかかわらず、フォークリフトでの公道においての作業はできないと考えておくべきです。

3・労働安全衛生法

 なお、フォークリフトは、最大荷重が1トン以上の場合は、一定の資格者以外は操作してはいけないとされています(同法61条)。
 また、最大荷重が1トン未満の場合は、特別教育を受けた者以外に操作させてはいけないとされています(同法59条第3項)。
 本問の場合、必ずしも事情は明らかではありませんが、以上のように、資格や条件がなく、フォークリフトを操作してはならない者が操作していた場合も、会社に対して罰則の適用があります(同法119条、122条)。

今日の安全スローガン
今日の朝礼話題

3月29日(金)

サイト内検索
運行管理者 安全運転管理者 出版物 教材

──新商品を中心に紹介しています



──ハラスメント、ビジネスマナー教育用DVDを好評発売中です

運行管理者 指導監督 12項目 トラック 貨物運送事業所
交通安全 事故防止に役立つリンク集
安全運転管理.COM 交通安全 事故防止 安全運転管理 運行管理 教育資料 ドライバー教育 運転管理

当WEBサイトのコンテンツの利用、転載、引用については「当サイトのご利用について」をご覧ください。

弊社WEBサイト、出版物においては「普通自転車」を「自転車」と表記しております。

詳しくはこちらをご参照ください。