「ハンドル」か「ブレーキ」か危険回避の正しい判断を

 危険な場面に遭遇したとき、あなたならどうやって危険を回避しますか?

 

 アクション映画のように、巧みなハンドル操作で縫うように危険を次々と回避できれば言うことはありませんが、現実の交通場面はそう簡単ではありません。原則的には、まずブレーキで速度を落とすことが重要です。

 先日も、ハンドル操作で危険を回避しようとして、逆に大きな人身事故を起こした事例がありました。さる3月6日午後1時20分ごろ、東京都立川市の都道を走行中のトラックが、前方に車線変更してきた車を避けようとして、慌てて急ハンドルを切ったために、対向してきた福祉施設の送迎大型バスと正面衝突しました。この事故でバス側の5人が重軽傷を負いました。

 トラックの直前に割り込んだ車にも責任はあります。しかし、このときトラックドライバーがブレーキを踏んでいれば、事故を回避できたかも知れませんし、もし割り込んだ車に追突していても物損事故で済んだ可能性があります。同方向に進んでいる車同士は速度差が少ないので、正面衝突と比べると追突事故の衝撃は少なくなるからです。

 状況によってはハンドルで逃げるほうが安全なこともありますが、事前に危険予測を行い「相手がこんな行動をしたらこちらの安全な方向に回避しよう」といった構えができている場合に限られるでしょう。

 とくに歩行者など弱い相手に衝突した場合、車の速度を落としておくことが衝撃を弱めるために極めて重要ですので、ブレーキをまず第一の危険回避手段と考えましょう。

 

(シンク出版株式会社 2014.3.18更新)

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