日本は海や川が多いので堤防が至る所にありますが、その多くは道路を兼ねています。堤防道路には、ガードレールがなかったりセンターラインがない場所も多いのですが、何て道路整備が悪いんだ!と腹を立てて走行している人はいませんか。
でも、それは堤防の責任ではありません。本来、堤防は川や海の水が浸入しないように河岸や海岸に沿って土砂を盛り上げた構造物で、第一の目的は治水です。その上を道路として借用しているに過ぎないので、贅沢は言えません。河川等を管理する事務所に責任と権限があり、警察や道路管理者も勝手に道路整備できません。
たとえば、堤防にあまり深い杭などを打つと堤防の構造が弱くなったり浸水の原因になります。ガードレールなどを作ると、その基礎部分に雨水などが染みこんで崩れやすくなったり堤防本体に亀裂が入る恐れがあるので、特別な工事が必要になります。ですから透水性舗装なども実施しづらいのです。路面が濡れない透水性なら雨の日にスリップが減るのですが、水が染みこんで堤防が浸水性になっては困ります。
このように、道路としての最新安全対策をあまり期待できないので、堤防道路を走行するには十分な注意が必要です。信号や交差点がないから飛ばせると考えるのは危険です。対向車との正面衝突事故が起こりやすいのです。大型車は、すれ違いの危険と堤防の構造に負担をかけるという両面で利用を遠慮してください。さらに、雨の日は滑ると転落の危険もあるので、堤防は避けるべきです。
また、堤防道路でも交通量の多い橋の手前などには信号があります。漫然と走行しないで、常に「危ない道路だ」という意識を持ち、速度を落として走行してください。
(シンク出版株式会社 2014.4.25更新)
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