最近、ある町の警察署の交通課長とお話をする機会がありましたが、そのとき、「管内で最近、自転車への追突事故が相次いで発生しています」という言葉が気にかかりました。トラックなどが路肩を走行する自転車を見落として追突する事例が多いそうです。
町といっても田んぼの多い地域で、歩道を歩く人の姿はほとんどなく、自転車は歩道を走行したほうが安全なのですが、「絶対に自転車は車道を走るべき」と勘違いしている人がいるということです。一時期、東京などにおける自転車の危険走行や歩行者事故の報道が多かった影響でしょう。
道路交通法には、自転車が通行できる歩道が標識で定められていることや、状況によって安全を確保するためには標識のない歩道も走行できると明記されています。
そこで、交通課長は自転車利用者への指導で「車の存在が怖いなと感じたときは、歩道を走行してください」と強調しているそうです。ただし、自転車利用者は歩道に上がったとき歩行者の通行を妨げないよう配慮することが大切です。
一方、四輪車が自転車に追突する原因としてもっとも多いのは、わき見(43%)ついで漫然運転(21%)、判断ミス(19%)の順となっています(交通事故総合分析センターの分析による)。
「交通量がないのでわき見しても大丈夫」「歩道があるので自転車は車道にいないだろう」といった思込みで自転車に対する注意が疎かになる例が多いと指摘されています。
車を運転する人は、車道上を走行する自転車の存在を常に意識して、追突事故を起こさないように気をつけて下さい。
(シンク出版株式会社 2014.5.7更新)
小冊子「軽く考えていませんか?自転車事故!」は、自転車事故の代表的な事例を6つ取り上げ、ドライバー、自転車利用者双方にどのような過失があったかを考える形式になっています。
事故の原因と過失の大きさを知るとともに、双方の不安全行動が事故に結びついていることを理解することができます。
ドライバーはもちろん自転車利用者の教育にも最適の教材となっています。