最近の乗用車には、助手席エアバッグが標準装備されていますが、車種によってエアバッグの解除装置がついていることをご存知でしょうか?
これは、助手席に妊産婦やチャイルドシートを乗せたときエアバッグが作動すると、胎児が大きな圧力を受けたり、乳幼児がバッグに押しつぶされる危険があるので、解除できるようにしているのです。
ただし、運転席やサイドエアバッグと装置が連動し容易に解除できない車種もあり、西欧先進国ではエアバッグのある助手席へのチャイルドシート装着を禁止する条例を設けている国もあります。
妊婦や乳幼児を助手席に乗せる場合、エアバッグ作動を解除しましょう。解除できない車であれば、助手席には乗せないように気をつけてください。
なお、我が国では健康保持上で懸念がある場合、妊産婦はシートベルト装着を免除されていますが、装着したほうが母子とも事故死亡率は低いという統計があり、先進国では義務化されています。日本産科婦人科学会も正しい方法でシートベルトを装着することを奨励し、交通の教則でも正しく着用することが母子を守るとされています(※)。
もし、妊娠中の女性の方がシートベルトをつけないまま助手席に座り、エアバッグだけが作動した場合は大変に危険です。同乗するときは後部座席に座って、シートベルトを正しく着用するように心がけましょう。
(シンク出版株式会社 2015.2.23更新)
※右は、日本産科婦人科学会のアドバイスを踏まえて作成された妊娠女性むけのシートベルト着用啓発ポスター
※交通の教則(交通の方法に関する教則)より
(3) 妊娠中のシートベルトの着用
妊娠中であつても、シートベルトを正しく着用することにより、交通事故に遭つた際の被害から母体と胎児を守ることができます。
ただし、妊娠の状態は個人により異なりますので、シートベルトを着用することが健康保持上適当かどうか、医師に確認するようにしましよう。
妊娠中は、事故などの際の胎児への影響を少なくするために、腰ベルトのみの着用は行わず、腰ベルトと肩ベルトを共に着用するとともに、大きくなった腹部をベルトが横切らないようにするなど、正しくシートベルトを着用することが必要です。
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