ハンズフリーによる通話のリスク2

◆法律の抜け道よりも安全運転を考える

 以上のように、運転中のハンズフリー機器を使用しての通話の場合、道路交通法に違反することにはならず、また安全に運転するために必要な交通に関する音や声が聞こえない状態でなければ、条例にも違反しないという場合もあります。


 各都道府県の条例に該当するかどうかの基準は、厳密にいえば必ずしも明確ではなく、確かに摘発されるかどうか曖昧な場合があることは否定できません。


 しかし、そもそもこれらの制限は、携帯電話の通話等によって運転者の注意力等が阻害され、事故が発生することが多いことから課されているものです。それは例えハンズフリー機器を使用した場合であっても、同様です。


 また、自分は通話をしていても集中力が途切れないとか、この程度の音であれば安全運転に必要な音や声を聞くことができる、などと考えるような人は、自己の能力を過信しているだけであり、そもそも安全運転に対する意識が低いと言わざるをえません。


 そのため、安全運転のためには、法律や条例の抜け穴を探して、摘発されるかどうかや、罰則があるかどうかを検討したり、あるいは法律違反や条例違反とならない運転中の携帯電話の使用方法を検討したりするのではなく、まずは運転中に通話等をしないでおく方法を検討すべきであり、会社であれば従業員に運転中の通話をしないように指導して徹底させるべきです。


 質問のように、業種によっては会社がハンズフリー機器を支給するような場合もありますが、このような場合でも、会社が通話しながらの運転を奨励しているとみなされてしまえば、会社の責任が重くなることも考えられます。そのような事態にならないよう、会社としても運転中の通話等を避けるような方法を検討し、指導を行うことが必要でしょう。

(執筆 清水伸賢弁護士)

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