事故速報の対象に「健康起因事故」が追加されました

■「脳疾患・心臓疾患及び意識喪失に起因する事故」に限る

 さる5月18日に、国土交通省は自動車事故報告規則の関連通達である「自動車事故報告書等の取扱要領」を一部改正し、今後、運転者の健康状態に起因する事故のうち、「脳疾患」「心臓疾患」及び「意識喪失」に起因すると思われる事故については、自動車事故報告書に加えて「24時間以内の速報」を行うよう定めて通達しました


 トラック・バス・タクシーなど事業用自動車を運行する事業所では、事故速報対象の一覧表を改定し、これらの事故が発生した場合は速報を怠らないように留意しましょう。

 

 今回の改正の背景には、最近、健康起因による事故が多発していることが社会問題化し、国土交通省も事故防止に力を入れているという側面があります。

 昨年3月には、夜行バスのドライバーが運行中に意識を失い北陸自動車道のサービスエリアで死亡事故が発生しました。

 また、今年の3月にも京都市内で乗合バスのドライバーが運行中に意識を失い、異変に気づいた乗客が駐車ブレーキを作動させ、間一髪で惨事を免れた事故が発生しています。トラック運転者の業務中の疾病原因による死亡事故も目立っています。

 運転者の高齢化が進んでいますので、今後ますます健康問題がクローズアップされることは間違いありません。

 

 とくに事業用自動車の健康起因による事故では、脳疾患・心臓疾患などが多数をしめることから、同省では速報を呼びかけるとともに、下に掲げる別表2のような調査事項を地方運輸局を通じて報告することを求めています。

 

事業用自動車運転者の健康起因事故

(上図は、「運行管理者のための安全指導12か月/2015年4月発刊」より)  

別表2 運転者の健康状態に起因する事故の調査事項

1.事業者
 
(1)氏名又は名称及び住所

(2)営業所の名称及び住所

(3)事業の種類

(4)営業所の運転者数及び車両数

2.事故等の概要 (1)発生年月日

(2)発生場所

(3)道路の状況 ①道路名 ②幅員 ③勾配 ④道路の形態等

(4)車両      ①登録番号 ②車名 ③型式 ④年式

(5)運転者 ①氏名 ②年齢 ③経験年数 ④採用年月日 ⑤選任年月日

(6)事故等の状況(当日の運行状況を含む)

(7)損害

(8)推定原因

(9)事故処理の状況

3.当該運転者に

  関する事項

(1)健康状態の把握状況 ①健康診断の受診状況

             ②要注意事項精密診断(検査)の状況

             ③加療の状況

(2)勤務等の状況    ①最近1ケ月間の勤務状況

             ②乗務調整等勤務上の配慮の状況

(3)当日の点呼執行者及び関係者の所見等

4.当該事業者所属

 運転者に係る事項

(1)健康管理の指導状況

(2)健康上の要注意者の状況
(3)健康上の要注意者に対する管理状況
(4)健康上要注意者の勤務における配慮の状況

5.当該事業者における

  健康状態に起因する

  事故防止対策の現状

  と今後の改善

 

6.当該事業者における
  同種事故の発生状況
  (過去3年間)

 

 

■【参考】速報を要する事故の一覧(太字は今回追加分)

 (自動車事故報告規則第4条第1項に基づく表 今回通達をもとに改定して編集部が作成)

① 貨物自動車運送事業者
 ●2人以上の死者を生じた事故
 ●5人以上の重傷者を生じた事故
 ●10人以上の負傷者を生じた事故
 ●自動車に積載された危険物、高圧ガス、毒物・劇物、火薬類、可燃物の飛散、漏えい事故
  (自動車が転覆し、転落し、火災を起こし、又鉄道車両、自動車その他の物件と衝突し、
   若しくは接触したことにより生じたものに限る)
 ●酒気帯び運転を伴うもの
 ●運転者の疾病等により運転の継続ができなくなったもの
  (脳疾患、心臓疾患及び意識喪失に起因すると思われる場合に限る)
 ●その他社会的影響が大きいと認める事故
 (例:事故に関し、報道機関による報道があったとき又は取材を受けたとき等) 
② 旅客自動車運送事業者
 ●自動車が転覆し、転落し、火災を起こし、又は鉄道車両(軌道車両を含む。)と衝突し、
  若しくは接触した事故
 ●1人以上の死者を生じた事故
 ●5人以上の重傷者を生じた事故
 ●旅客に1人以上の重傷者を生じた事故
 ●10人以上の負傷者を生じた事故
 ●酒気帯び運転を伴うもの
 ●運転者の疾病等により運転の継続ができなくなったもの
  (脳疾患、心臓疾患及び意識喪失に起因すると思われる場合に限る)
 ●その他社会的影響が大きいと認める事故
 (例:事故に関し、報道機関による報道があったとき又は取材を受けたとき等)

■運行管理者の皆さん、運転者指導は万全ですか


 運転者に健康の自己管理を促すことは、指導・監督の指針に含まれた重要項目の一つです。

 

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 各教材の中には、指導・監督の記録ができる用紙が含まれていますので、運転者氏名を記名したものをコピーして保存すれば、監査のときなどに提出できます。

 

 ぜひ、ご活用ください。

 

 詳しくは、こちらを参照


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