運輸安全マネジメントの効果的な進め方─その6

■輸送の安全確保を図るための社内組織体制の構築

 会社の業務規模に応じた安全管理の組織体制をつくっていくことが大切です。

 

 100両以下の中小事業者の場合は、安全統括管理者の選任自体は義務づけられていません。

 しかし、従来から安全部長などの役職名で事故防止などの責任者がおられる事業所も多いと思いますので、その人を安全統括責任者として、社内の安全管理の徹底を図るように体制を整備しておくことが大切です。

 

 たとえば、次のような委員会組織を導入したり、職場のリーダーを安全スタッフとして意識づけるような働きかけをして、経営者が考える安全方針などが浸透する体制をつくりましょう。

 

■安全推進委員会を組織して取り組む

職場委員の選出
・ある運送事業者(車両台数56台)では、業務部長に、NASVA(自動車事故対策機構)の講習を受講してもらいカウンセラー資格を取得して、安全推進部長に任命、安全推進委員会をつくりました。

・委員は各職場から部長の研修を受けた運行管理者・係長クラスの中で選出しました。

安全パトロールの実施
・毎月委員会では安全情報を交換します。そのため月1回は、各現場で安全パトロールを計画的・組織的に実施しました。

社長に直接報告
・パトロールの結果を委員会で社長にも直接報告。社長は、自分の考えに基づく指導内容を指示して、現場での浸透を徹底します。


■安全統括責任者の人選も重要です

 規律・規範指導の適任者を選出
・運送会社K社では、安全統括専任者を一般公募し、陸上自衛隊航空隊長経験者を社長室長として採用しました。
・室長は、
規律や規範に厳しい自衛隊で永年培ったノウハウと事故調査等の経験もあり、ルール違反には厳しく、事故分析では理解しやすいように図解・グラフ等を駆使して説明するなど、安全の管理・指導レベルが強化されました。
・温厚で運転者思いの社長は、運転経験があることから運転者の気持ちを理解し、よく聞きいれるタイプです。役割をうまく分担して組織的な安全対策を行っています(
)。


 自動車メーカー出身の部長が本領を発揮
・運送会社S社は安全統括担当に自動車メーカー出身の業務部長を任命しましたが、メーカーでの在席経験を活かして、安全情報のデータベース化(事故種別、年度、支店、ドライバー毎にデータ把握)を図るなど、マネジメント実行の貴重な人材です

・同社は省エネ運転報奨制度があり、燃費基準を達成した運転者に報奨金を支給していますが、部長は経験を活かし車種・積載率による燃費補正値を設けて、平等に判定するシステムをつくったので、運転者にはとても好評です(※)。


安全統括に適した人材が社内で見つからない場合は、運輸安全マネジメント遂行のため、思い切って外部から適任者を採用することも検討しましょう。

※資料出処:運輸企業の組織的安全マネジメント手法に関する調査研究(国土交通政策研究所編)

★常に経営トップが関わる
・安全管理の組織といっても、常にトップの関与が重要です。「安全推進委員会に任せた」等と言ってトップが関わりをやめると、組織は形骸化します。

★権限・役割を明確にする
・統括の責任者やその下の安全スタッフまで、それぞれの役割を明らかにして、社長から権限を付与されていることを社内にアピールしましょう。




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