◆改正道路交通法が施行されます─準中型免許 等(2017年3月12日)

 平成27年6月17日に公布され、2年以内に施行されることになっていた改正道路交通法が、平成29年3月12日に施行されることが決まりました。

 

【今回の道路交通法改正ポイント

 1)準中型自動車免許の新設─車両総重量3.5トン以上、7.5トン未満

 2)高齢運転者への臨時認知機能検査と講習の実施──認知症を疑う違反に限る

1)「準中型免許」制度の新設──車両総重量7.5トン未満の貨物車

準中型免許

 準中型免許は、貨物自動車などに限定した新区分として新設され、車両総重量3.5トン以上7.5トン未満(最大積載量2トン以上4.5トン未満)のトラックが対象となった免許です。

 

 18歳以上であれば普通免許の経験がなくても取得できます(中型免許は、普通自動車免許を取得してから2年以上の経験が必要ですから、20歳以上でないと取得できません)。

 

 免許取得時の技能講習は、普通免許よりも7時間多い41時限となっています。

 

 なお、平成29年3月12日より前に普通免許を取得した場合は、現行の制度では5トン未満の貨物自動車を運転できますが、施行日以降は「5トン限定準中型免許」に移行してそのまま運転できます。

 改正の概要は以下の表を参照してください。

準中型免許が平成29年3月12日から施行

※この改正には平成19年6月1日以前に普通自動車免許を取得した8トン限定中型免許の運転者は影響を受けません。施行後もこれまで同様に、8トン未満の車まで運転できます。

 同様に平成29年3月11日までに改正前の普通自動車免許を取得した運転者も既得権保護として、5トン未満の車まで運転できます5トン限定準中型免許

   なお5トン限定準中型免許の運転者が車両総重量7.5トン未満の準中型免許に移行する場合は、改正法施行後に限定解除の審査を受ける必要があります。 

【準中型免許のポイント】

●準中型免許の取得方法は?

■ 通常は指定自動車教習所で技能41時限、学科教習27時限を卒業し、免許試験場で学科試験・適性検査に合格すればOKです。

●準中型免許を直接受検することは

■ 教習所で貨物車による教習を終えていない場合は、学科試験、適性検査の他に、取得時講習を受ける必要があります。

●準中型免許に初心者マークは必要か

■ 普通免許の保有経験がなければ、取得後1年間は初心者マークを表示する義務があります。
●初心者マークがあっても、保護対象外 ■ 普通自動車と違い中型自動車に近い車格の貨物車を運転するので、初心者マークをつけていても幅寄せ禁などの保護の対象外です。
●準中型免許の初心運転者講習は ■ 準中型免許を取得した日から1年間に違反をして一定の基準に達した場合は、初心運転者講習または再試験の対象となります。
●準中型自動車の反則金額などは? ■ 反則金や放置違反金などの額は、大型自動車と同額です(現行の中型自動車も大型と同額)。
●普通免許からの限定解除は ■ 現行(平成29年3月11日まで取得)の普通免許を保有している人は4時限の技能教習で限定解除ができます(要技能審査)。
●新普通免許を取得後の段階取得は ■ 平成29年3月12日以後に普通免許を取得した人は、教習所で技能教習13時限、学科1時限を受け、適性検査に合格すればOK。
●準中型自動車の積載量は

■ 準中型自動車の最大積載量は2トン以上4.5トン未満です。ただし、この範囲内でも車両総重量が7.5トン以上であれば中型自動車となります。

 

【準中型免許の教習時間】

 免許の取得方法 技能教習 学科教習
 ■最初から取得する場合  41時限     27時限  

 ■新しい普通免許を取得後に取得する場合

   普通免許取得  →  準中型免許取得

 普通免許   34時限+

  準中型免許  13時限

 普通  26時限+

  準中型 1時限    

 ■改正前の普通免許保持者が取得する場合

   5トン限定準中型免許  →  限定解除

 4時限の限定解除教習 

 (または、試験場で限定解除審査に合格)

2)75歳以上の高齢運転者への対策

臨時認知機能検査

■臨時認知機能検査などの実施

 75歳以上の高齢運転者が認知機能が低下したときに起こしやすい18の違反行為をした場合は、更新時に"認知症の恐れあり"とされていなくても「臨時認知機能検査」を受けることになります(18の違反は下欄参照)。

 

 そして臨時検査の結果、認知機能が低下している恐れがあると判断された高齢者に対しては、「臨時高齢者講習」が実施されます。

 講習は個別指導等により、認知機能の低下を自覚させ本人の状況に応じた安全な運転行動を指導するものです。

 

■第1分類の高齢者には臨時適性検査等を実施

 また、認知機能検査の結果、第一分類(認知症の恐れがある)と判断された運転者に対しては、公安委員会は臨時適性検査(専門医による診断)を行うか、医師の診断書の提出を命じることができるようになります。

 専門医による診断等で認知症が認められた場合は、免許の取消しか停止が行われます。

 

 なお、高齢運転者が上記の臨時認知機能検査や臨時高齢者講習を受けなかった場合も、免許の取消し又は免許の効力停止処分が実施されます。 

【臨時認知機能検査の対象となる違反行為】

 信号無視(点滅信号を含む)
 通行禁止違反(一方通行道路を逆行するなど)
 通行区分違反(逆走や歩道の通行など)
 指定横断等禁止違反(禁止場所で横断・転回するなど)
 進路変更禁止違反(黄線を越えてレーン変更など)
 踏切での違反(踏切前不停止/しゃ断踏切立ち入りなど)
 交差点右左折方法違反(徐行せず右左折する)
 指定通行区分違反(直進レーンから右折するなど)
 環状交差点安全進行義務違反(徐行しないなど)
 優先道路通行車妨害(交差する優先道路の車の通行を妨害)
 交差点優先車妨害(対向車の直進を妨げて右折するなど)
 環状交差点通行車妨害
 横断歩行者等妨害(横断歩道で一時停止しないなど)
 横断歩道のない交差点で歩行者横断を妨害など
 徐行場所違反(徐行すべき場所で徐行しない)

 指定場所一時不停止(「止まれ」標識で止まらない など)

 合図不履行(右左折などの際にウィンカーを出さない)
 安全運転義務違反(操作ミスなど)

【高齢運転者対策の改正点の概要】

臨時認知機能検査

■法改正のポイントは

 1 臨時認知機能検査の実施

 2 第1分類となった人は、全て臨時適性検査を受けるか医師の診断書を提出

 3 高齢者講習時間・内容が認知機能によって変わる

トラックドライバー向けの指導・監督資料については  → こちらを参照

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