荷主としての責任を自覚していますか

 最近、企業の働き方改革や長時間労働を是正しようという動きを報道でよく目にしま す。

 それらを受けて運転者の勤務実態を見直している安全運転管理者や運行管理者の皆さんもおられると思います。

 

 今回は、長時間労働や人手不足が問題となっているトラックドライバーについて、荷主として運送会社に仕事を頼む立場から、ドライバーの長時間労働に結びつくような無理な依頼や運行の指示をしていないか考えてみましょう。

■国土交通省が「荷主勧告」制度をアピール

 国土交通省は、以前から、荷主が労働時間等のルールを無視して指示・強要をした場合は、荷主の名前と事案の概要を公表する「荷主勧告」制度を設けてきました。

 

 しかし、荷主側の態度はなかなか改善されず、トラックドライバーの長時間労働是正のためには、荷主の自覚を強く促す必要があるということから、荷主向けパンフレットなどを配布して啓蒙に努めているほか、輸送安全規則を改正して貨物運送事業者の乗務記録に荷待ち時間等の記載を義務付けました(後述)。

 

 同省編集のパンフレット「荷主の皆様へ─ご存知ですか?トラックドライバーの労働時間のルールを」によると、荷主に対して以下の点が強調されています。

■労働時間のルール「改善基準告示」を理解しよう(厚生労働省基準)

 まず、荷主側も以下のようなドライバーの改善基準告示内容を理解しておくことを求めています。

 自社の社員ではないからと軽く考え、立場の強い荷主が運送事業者に対して無理な輸送依頼をすると、ドライバーは基準に違反した長時間運転・長時間労働を強いられることになります。

※「改善基準告示」の詳細は厚生労働省のwebサイトを参照  

■荷主勧告の対象となる行為

 次に、同省は荷主側がトラック運送事業者に対して、以下のように労働時間等のルールが守れなくなる行為を強要すると、荷主勧告の対象となることを強調しています(図示は代表的なケース)。

① 非合理な到着時間の設定

② 手待ち時間の恒常的な発生


③ やむを得ない遅延に対する

  ペナルティの設定

④ 積込み前に貨物量を増やすような

  急な依頼


 ↑※イラストは、国土交通省のパンフレットを参考に編集部で作成しました。

■荷主の主体的関与が判明すれば「荷主勧告」

 トラックドライバーの過労運転や過積載などの違反行為があり、上記のような荷主からのルール無視による指示や強要など主体的な関与が明らかになれば、貨物自動車運送事業法第64条にもとづき、下のように仕組みで「荷主勧告」が行われ、荷主の名前も公表されます。

 ↑※図は国土交通省パンフレット「荷主勧告が発動されやすくなります」より

【荷主勧告事例】─ 元請運送会社(荷主)に「警告書」

 乗務時間の基準に著しく違反し、改善基準告示を繰り返し違反していた札幌市に本社を置くトラック運送事業者に対して、北海道運輸局は、平成27年1月28日に「30日間」の事業停止処分という行政処分を科しました。

 

 これに関連して、札幌の運送事業者に業務を依頼していた元請け会社(京都の大手運送会社)に対しても、違反運転に対して荷主として一定の関与があったことがわかり、荷主勧告制度に基づいて「警告書」が即時発行されました。

■「協力依頼書」の即時発出制度も新設

 なお荷主勧告制度は、法令違反を犯したトラック運送事業者に対して行政処分が行われることを前提としているため、実際の発動までに時間がかかり、対象となる荷主が限られるなど制度が十分に機能していない面があります。

 

 そこで国土交通省では、平成29年4月より関係機関から運送事業者の法令違反情報があった(※)場合に、行政処分の有無にかかわらず、違反運行を行っていた際の積載貨物荷主を形式的に特定し、早急に荷主への注意喚起及び改善に向けた協力を依頼する「協力依頼書」を新たに発出することになりました。

 

※関係機関からの法令違反情報

  ・適正化事業実施機関が巡回指導などで得た違反情報

  ・高速道路6会社=道路管理者=による車両制限令違反等の情報 

  ・労働基準監督署などの監査によって得られた違反情報

■荷待ち時間等の記録を義務付け(29年7月~)

 さらに、同省はトラックドライバーの長時間労働改善を図るため省令を改正し(※)、荷主の都合により待機した場合、待機場所・到着・出発や荷積み・荷卸しの時間等を乗務記録に記載することを新たに義務づけました。

 荷待ちの実態を把握し、そのデータを元にトラック事業者と荷主の協力を促進したい意向があります。また、荷待ち時間を生じさせている荷主に対して荷主勧告等を行う際の判断材料とする目的もあります。

 ※「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正」──2017年5月31日公布、同年7月1日施行

 

■「乗務等の記録」に荷待ち時間等を追加(貨物自動車運送事業輸送安全規則 第8条関係)

 トラックドライバーが車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合、ドライバー毎に、

  • 集貨又は配達を行った地点(以下「集貨地点等」)   
  • 集貨地点等に到着した日時   
  • 集貨地点等における荷積み又は荷卸しの開始及び終了の日時    

等について記録し、1年間保存しなければならない。

 (※30分未満の荷待ち時間は省略しても可。運送事業者の都合により待機した時間は含めない)

■適正な取引の確保

(同 第9条の4関係)

 荷主の都合による集荷地点等における待機についても、トラックドライバーの過労運転につながる恐れがあることから、「輸送の安全を阻害する行為」の一例として輸送安全規則の条文に加えられました。 

 

  • 右図は、国土交通省の配布資料より抜粋。荷待ち時間がドライバーの長時間労働の一要因であることを示しています

警告書…荷主勧告には至らないが、実運送事業者の違反に関し荷主の関与が認められる場合に発出。荷主名は公表されない。

協力要請書…実運送事業者の違反に関し、荷主の明確な関与は認められないものの、違反の再発防止のため荷主の協力を要請する必要がある場合に発出。

協力依頼書…実運送事業者が違反運行を行っていた際の積載貨物の荷主を形式的に特定し、早期の段階で幅広く荷主への注意喚起及び改善に向けた協力を依頼。

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