遠くに気を取られると近くを見落とす

 

 皆さんは、少し離れた信号が青色なのを見たとき、「何とか青信号の間に通過したい」といった気持ちになりませんか?

 そう感じるのは通常の心理ですが、遠くの青信号などに気を取られていると、すぐ近くの状況を見落とす危険があります。

 

 さる5月18日午後3時頃、神奈川県横浜市の京急富岡駅前の道路で、横断しようとした小学2年生の男児が、やってきたワゴン車にはねられ死亡しました。

 車を運転していた会社員(30)は過失運転の現行犯で逮捕されましたが、「道路の先の方を見ていて、男の子に気がつかなかった」と供述していますから、典型的な見落とし事故と思われます。

 

 人間の視野は左右110°くらいあって広いようですが、実際に色や形などがしっかりと見えているのは中心視野の左右10°程度の範囲です。離れた場所の信号や標識・看板などをじっと注視すると、中心視以外の周辺視野はぼんやりとしか見えなくなります。

 そこで、視界の端にいる身長の低い子どもやお年寄りなどの姿を見落としやすくなるのです。さらにワゴン車はボディの死角が比較的大きいので、近くいる子どもを見落とす危険性が高まります。

 

 とくに駅前など視るべき情報が多い場所では、「歩行者に注意しよう」という意識を強く持って視線を常に動かしていないと、誰でも見落とし事故を起こす危険があります。

 このことを肝に銘じて、速度が出ていなくても油断しないように気をつけましょう。

 

(シンク出版株式会社 2021.5.24更新)

■「鳥の視点」で事故に結びつく危険を発見しよう

 交差点事故を起こさないためには、運転席からは見えない(見えにくい)危険を見つけ出すことが大切です。

 そうした危険を発見するには、運転席の上空から見渡す鳥のような視点を持って、全体の交通場面をイメージする力(メタ認知能力)が必要となります。

 

 新刊小冊子「交差点を鳥の目で視ると隠れた危険が見えてくる」では、交差点の6つの運転場面を提示して、隠れた危険をイメージできるかを考えるとともに、それぞれ俯瞰図で交差点の危険を見ながら解説を読んで理解する構成となっています。

 

 メタ認知能力を高めるための教材としてもご利用いただけますので、ぜひ事業所での交差点事故防止教育にお役立てください。

 

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