今月の運転管理/令和7年6月(2025年6月)

雨天時の事故防止


 

 日本気象協会の発表によれば、今年も5月中旬から6月中旬にかけて、梅雨入りとなりそうです。

 

 雨のシーズンには、スリップ事故を警戒しましょう。

 

 運転管理面では、点検を確実に実施させてください。

 

 健康面では、熱中症対策を怠らないようにしてください。

6月の安全運転管理(令和6年)

6月の安全運転目標

雨によるスリップを
警戒しよう

6月の重点管理目標

点検・整備を
確実に実施しよう

6月の健康管理目標

熱中症を
警戒しよう


その他の管理指導項目    運行管理者の皆さんへ    6月の安全運転管理ごよみ

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6月の安全運転目標──運転者の皆さんへ

雨によるスリップを警戒しよう

濡れた路面では簡単にスリップします

 雨の日はスリップに注意して運転する必要があるのはもちろんですが、濡れた路面では、タイヤは運転者が思うよりも簡単にスリップしてしまうことに注意が必要です。

 

 まずは、カーブの手前などでは、速度を落としてハンドルを緩やかに操作することを意識してください。

 

スリップするのは四輪車だけではない

 雨天時にスリップしやすいのは、四輪車だけではありません。

 

 周囲を走行する二輪車や自転車も、路面標示やマンホール等の上ではスリップしやすいことを頭に入れておきましょう。

 

 雨天時は、自車のスリップに注意するだけでなく、前後や左右を走行している二輪車や自転車などの転倒も警戒しながら走行してください。 

バイクのスリップ事故

 雨の日は自分が想像する以上に

滑りやすいことに注意しよう


雨の日の夜間は歩行者の見落としに注意

 

 雨の日は、雨滴がフロントガラスや運転席横の窓につくと、ワイパーで拭っているとは言え、やはり外の視界が狭くなってきます。

 

 そのため、歩行者の見落としに注意してください。

 

 さらに怖いのは、夜間の道路横断者です。

 

 前方を照らす車の前照灯は、対向車の眩惑を防ぐ目的で少し左に偏っていますので、右側の照射範囲が相対的に小さくなっています。

 

 それにくわえ、ヘッドライトが濡れた路面に乱反射するとまぶしさが増し、さらに見えにくくなるため、歩行者を見落としがちとなります。

 

 雨の夜はとくに、右側への注意を高め、速度を落として走行しましょう。 

雨の夜間運転

雨の夜間は、視界が悪化するため

見落としに注意が必要です


下の項目をチェックし、すべてハイとなることを目指してください

・雨天時はカーブ付近での自車や他車のスリップを予測しておく

・雨が降ってきたら、前後の車間距離を意識して運転するよう心がけている

・雨の日は「濡れたくない」心理から、歩行者も危険行動をしがちと予測する

・雨が降ってきたらハンドル操作を穏やかにするよう心がけている

・夜に路面が濡れているときは、停止線や横断歩道の見落としに注意する

・雨の日はカーブミラーも見えにくいので、交差点での確認を慎重にする

・低気圧が接近しているときには豪雨だけでなく突風にも注意する

・雨の高速道路では速度規制に注意し、減速して車間距離を多めにとる

・雨の日は、右から横断する歩行者の見落としに注意する

 ハイ・イイエ

 ハイ・イイエ

 ハイ・イイエ

 ハイ・イイエ

 ハイ・イイエ

 ハイ・イイエ

 ハイ・イイエ

 ハイ・イイエ

 ハイ・イイエ


  

6月の重点管理目標──管理者の皆さんへ

点検・整備を確実に実施しましょう

確実な点検でトラブルを防止

  

 車両管理面では、雨天時に備えてタイヤ・ブレーキなど足回りや、ワイパー・ライト等の点検・整備をしっかり実施しておきましょう。

 

 日本自動車タイヤ協会の発表によると、点検を実施したタイヤの約半数に整備不良がありました。なかでも、空気圧不足が多くを占めていました。

 

 そこで、タイヤの管理では、空気圧チェックと残り溝の確認、トレッドの傷などがないかを重点的に確認させてください。

 

 また、雨天時には視界の確保が重要です。そのため、ワイパーの作動状況と合わせて、拭きムラを確認しましょう。拭きムラが目立つようであればゴムの交換も実施してください。

 

 

タイヤ空気圧は自然低下する

 タイヤの空気圧啓蒙チラシ

日本自動車タイヤ協会のWEBサイトより)


  

6月の健康管理目標──従業員の皆さんへ

●熱中症を事前に防ぎましょう

雨の日にも熱中症は起こります

 

 みなさんは、「梅雨型熱中症」という言葉を聞いたことはありますか?

 

 人間は、暑いと汗をかいて体の熱を逃がそうとしますが、湿度が高いと汗が蒸発せず、熱が体にこもり、体温が下がらなくなり、熱中症のリスクが高まるそうです。

 

 熱中症と聞くと炎天下での作業を思い浮かべがちになりますが、実は湿度の高い日でも、熱中症に対する警戒が必要であることを理解しておきましょう。

 

 事業所等では、雨の日であってもエアコンを適切に使用するほか、こまめな水分補給を呼びかけてください。

 

 

 


  

その他の管理・指導項目

■全国安全週間に向けて安全の総点検をしよう

6月は安全週間の準備期間です

 

  7月に実施される全国安全週間の前に6月は準備期間として、事業所全体で安全に関する総点検を実施しておきましょう。

 

 道路における交通災害の防止は重要ですが、構内や作業現場でも事故が発生しています。誘導担当の作業員がフォークリフトやトラックにひかれたり、運転者が荷台や車両の天井から転落するといった事故が発生しています。

 

 墜落・転落事故やフォークリフト事故防止のための情報を集めて、この機会に管理・指導を徹底しましょう。

 

 また、物流現場や製造工場の出荷場所、流通業の配送拠点などでは、ロールボックスパレット=「カゴ台車」による労働災害が多発しています。

 

 ロールボックスパレットが原因となって荷物の下敷きになるなどの労災事故も発生していることに留意しましょう。

★2025年の全国安全週間スローガン

   多様な仲間と 築く安全 未来の職場

 ・実施期間/7月1日から7月7日まで

 ・全国安全週間の実効を上げるため、6月1日から6月30日までを準備期間とする

  

事業用自動車の運行管理者の皆さんへ

■点呼とアルコールチェックは厳正・確実に!

 日本郵便で発生した点呼不備事案について、同社は調査結果と再発防止対策をWEBサイト上で公表しています。

 

 点呼やアルコールチェックが実施されていなかったことについて、批判は免れることはできません。

 

 そこで挙げられていた原因は次のようなものでした。

 

  •  周囲もやっていないから、自分もやらなくていい
  • 点呼は面倒だから管理者がいるときのみやっていた
  • 業務繁忙の時は 行わなかった
  • 勤務時間中に飲酒をする 社員がいるはずはない

 

 これらの理由は、誰もが考えてしまうようなことです。しかし、ここで手を抜いてしまうと、事故や違反の発生につながります。

 

 点呼やアルコールチェックは「法律で決まっているから」ではなく、事故防止の「最後の砦」であると考え、厳正に、そして確実に実施してください。

 

■6月は、「不正改造車を排除する運動」の強化月間です!

 国土交通省では6月を『不正改造車を排除する運動』の強化月間として、ポスター及びチラシなどの啓発とともに、全国で街頭検査が計画されています。

 とくに次に示すような悪質な改造については整備命令が発令され、これに従わないときには厳しい処分が行われます。

 

  1. 基準不適合マフラーの装着/消音器の取り外し
  2. 灯火類の色の変更
  3. タイヤ及びホイールの車体外へのはみ出し
  4. 運転者席・助手席の窓ガラスへの 着色フィルム等の貼付
  5. 基準外ウイングの取り付け
  6. 荷台さし枠の取り付け・燃料 タンクの増設
  7. 速度抑制装置(スピードリミッター) の解除・取り外し

 不正改造者が整備命令に従わない場合には50万円以下の罰金が科せられますし、不正改造を実施した者は6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。

不正改造車を排除する運動

国土交通省配布の「不正改造排除PRチラシ」より


  

令和7年6月の安全運転管理ごよみ(June/2025.6)

日  付 行 事 等

 1日)~

 30日

・全国安全週間準備期間

 6月は、7月1日から実施される全国安全週間の実効を上げるための準備期間です。総合的な安全管理の総点検を行いましょう。

 ■2025年度 安全週間スローガン 

   「多様な仲間と 築く安全 未来の職場

 詳しくは厚生労働省中央労働災害防止協会サイトを参照。

 1日)~

 30日

不正改造車を排除する運動強化月間──毎年6月は、交通の安全確保と公害を防止するため、車の不正改造の取締りを特に厳しくする強化月間です。違法マフラー等悪質な不正改造の排除に向けた街頭検査などが実施されます。

 1日)~

 30日

・環境月間──6月5日の環境の日(世界環境デー)を含む1か月間は、「環境月間」となっています。

 1日)~

 7日(土

・がけ崩れ防災週間──国土交通省が制定。がけ崩れによる災害防止に関する意識啓発や情報提供を強化します。地震や大雨被害のあった地域はもちろん、土砂災害特別警戒区域に指定されている地域では、日頃から警戒が必要です。

 2日 

 8

・危険物安全週間 ──消防庁が制定し、毎年6月の第2週(日曜日から土曜日までの1週間)、ガソリン等の危険物に対する自主保安体制の確立を呼びかけています。

 ■2024年度 推進標語

 「次世代へ つなごう無事故と 青い地球

  詳しくは(財)全国危険物安全協会のWEBサイトを参照。

 5日(木 ・世界環境デー環境の日・World Environment Day
 5日(木
・東名あおり運転事故から7年──2017年6月5日、パーキングエリアで注意されたことに腹をたてた運転者が、ワゴン車に対しあおり運転を繰り返し、東名高速道路の追越車線に停車させ、そこにトラックが追突、ワゴン車の運転者夫婦が死亡する事故が発生しました。運転者は危険運転致死傷罪で懲役18年の刑を言い渡されました。警察庁は「あおり運転」に対する取締りを厳しくする方針を明確にし、政府はあおり運転の厳罰化のため、道路交通法・刑法の改正案を国会に提出しました。
 5月31日(土) 

 6(金

・禁煙週間──5月31日の世界禁煙デーから6月6日までの1週間。世界中で禁煙やタバコと健康に関するキャンペーンが行われます。詳しくは厚生労働省のWEBサイトを参照してください。

 6日(金)

・ワイパーの日──日本ワイパーブレード連合会が制定しました。安全な視界確保のため年1回のワイパー点検を奨励しています。

 6日(金)

・砂川市一家5人死傷事故から9年──2015年6月6日、北海道砂川市の砂川の交差点で、飲酒運転の車両2台がスピードを競うために赤信号に進入、一家5人の乗る軽ワゴン車に衝突し、4人が死亡、1人が重傷を負いました。時速110キロを超える速度で衝突するなど、悲惨な大事故となり、2016年11月10日、札幌地裁は危険運転致死傷罪で求刑通り運転者2名に懲役23年の判決を言い渡しました(その後、札幌高裁がいずれも控訴を棄却し判決が確定)。

 11日(水)

・入梅(暦の上での梅雨入り)

 15

父の日(6月第3日曜日)

 18日(水

・北海道八雲町トラック衝突事故から1年──2023年6月18日午前11時55分ごろ、北海道八雲町の国道5号で養豚業者の大型トラックが対向車線にはみ出し都市間高速バスと衝突、双方の運転者とバスの乗客ら計5人が死亡し12人が重軽傷を負いました。トラック運転者は前日から体調不良を訴え、事故直前には心筋梗塞発作を起こしていました。当日、安全運転管理者は不在で健康観察等も書類のみで自己申告など、ずさんな管理実態が明らかになり、安全運転管理者と上司が業務上過失致死傷の疑いで書類送検されています。

 20日(金

 7月19日(土)

「ダメ。ゼッタイ。」普及運動──麻薬・大麻・危険ドラッグ等の薬物乱用を防止するため、厚生労働省と公益財団法人 麻薬・覚せい剤乱用防止センター、都道府県による広報・啓発活動が展開されます。
 21日(土

・夏至──北半球ではこの日が1年のうちで最も昼の時間(日の出から日没まで)が長くなります。

 24日(火

・池袋危険ドラッグ暴走事故から10年──2014年6月24日、池袋駅西口付近の路上で、暴走したRVが歩行者に突っ込み7人が死傷する事故が起こりました。RVの運転者は脱法ハーブを吸った直後に運転し、意識が朦朧とした状態で事故を起こしました。この前後に同種の事故が多発、事故当時は法規制にかからない「脱法ドラッグ」も多数ありましたが、同年7月15日に指定薬物の省令が改正され取締りが強化されました。

 25日(水)

・指定自動車教習所の日──全日本指定自動車教習所協会連合会が制定。1960年のこの日、改正道路交通法が施行され公安委員会が指定した自動車教習所を卒業すると運転免許取得時の技能試験が免除される制度が定められました。「625ムジコ=無事故」の語呂合わせにもなっています。

 25(水)~

 27(金

・安全工学シンポジウム2025(日本学術会議 総合工学委員会)

 日本学術会議(東京都港区六本木7-22-34)ならびにオンライン配信(ハイブリッド開催予定)

  詳しくは、同シンポジウム事務局のWEBサイトを参照してください。

 28(土

八街市児童5人死傷事故から3年──2021年6月28日、千葉県八街市で飲酒運転の白ナンバートラックが下校児童の列に突っ込み児童2人が死亡し、3人が負傷しました。運転者の男からはアルコールが検出され業務中の飲酒による事故であることが判明、日常的に飲酒運転を繰り返していたこともわかりました。2022年3月25日、千葉地裁は、危険運転致死傷罪で男に懲役14年の実刑判決(求刑懲役15年)を言い渡しました。当時、白ナンバー(安全運転管理事業所)にアルコール検知義務がなかったことから、政府は道路交通法施行規則を改正、安全運転管理者によるアルコール検知等が義務づけられました。

 28(金

 7月8

平成30年7月豪雨発生から6年──2018年6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に北海道や中部地方を含む全国的に広い範囲で集中豪雨が発生。台風7号および梅雨前線等の影響によるもので、死者224名、行方不明者8名、負傷者459名にのぼる被害がでました。

   

 9月

・「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」期間 

 厚生労働省が主唱する今年の熱中症予防対策キャンペーンは、2025年5月1日から9月30日まで。政府全体の取組みである熱中症予防強化月間の7月を重点取組期間としています。環境省・気象庁による「熱中症警戒アラート」(熱中症の危険性が高まった警戒呼びかけ)も参照。  

 6月下旬~

 9月上

・交通安全ファミリー作文コンクールの募集

(応募締切は9月上旬──詳しくは、警察庁のWEBサイトを参照)

 6月1日

 9月30日

・夏の省エネキャンペーン──エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、省エネキャンペーンが行われます。

4月~7

・貸切バスに対する事業者講習会及び街頭監査を実施──バスの繁忙期を迎えて、輸送の安全を確保することが求められているため、国土交通省では、運行管理者等を対象とした事業者講習会を開催するとともに、全国一斉に該当監査を実施しています。

 監査実施場所は観光施設(駐車場)、高速道路SA、主要駅、空港、旅客船埠頭等

 6月中旬 2025年5月末までの交通事故発生状況発表(警察庁
 6月下旬

2025年5月分 トラック輸送情報国土交通省

 

 ◆6月の日没時刻 国立天文台 暦計算室による)

1日(土 福岡 19:23

大阪 19:06

東京 18:51

札幌 19:07

15日(土

福岡 19:30

大阪 19:13

東京 18:58

札幌 19:16

30日(日 福岡 19:33

大阪 19:15

東京 19:01

札幌 19:18

早めのライト点灯で事故防止
「早めにつけよう おもいやりライト運動に
 取り組みましょう!

 6は21日の夏至前後が1年で最も昼間の時間が長くなる時期です。全国で日の入り時刻は午後7時台となり、夕方が長く明るく感じます

 一方で、梅雨前線が北上してきて、雨の日が多くなり、1日中ずっと薄暗いといった日も少なくありません。雨の日は、迷わずにライトを点灯して、自車の存在をアピールしましょう。

 

 また晴れ間がある夕方には、自転車や二輪車などでツーリングをする人が増える時期でもあります。薄暮時には見落とす危険が増しますので、ライトで警戒を与えることは重要です。

  

 あなたが点灯することで歩行者や自転車などからもあなたのクルマが確認しやすくなります。 

「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯をドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。


 詳しくは、おもいやりライトのサイトを参照してください

 

 JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
 JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。

 ※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください

 

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5月13日(火)

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