2013年

9月

01日

派遣労働者のドライバーが腰痛を訴えた

■今回の相談

 先日、労働基準監督署から「御社では労災隠しをしているのではないですか?」と連絡がありました。実は、弊社では派遣会社から派遣されたドライバーを使用しているのですが、そのドライバーが腰痛を派遣元の会社に訴え、派遣元の会社が労働基準監督署に報告したようなのです。
 弊社としては、このドライバーが腰痛であった事実を把握していなかったのですが、このような場合、弊社は法的にどのような責任を負うのでしょうか。

■回答(清水伸賢弁護士──WILL法律事務所)

◆労働災害の保障制度

WILL法律事務所 清水伸賢弁護士

 労働災害は、企業の営利活動に伴って必ず発生すると言えるため、使用者に損害を補償させ労働者を保護する必要があるとして、労働災害の補償制度が立法化されています。

 

 労働基準法では、労働者が業務上負傷等をした場合に使用者に一定額の補償を義務づけており、これは無過失責任(使用者に故意や過失が無くても認められる責任)であり、補償額も定額化されています。そして実質的には、労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づく、いわゆる労災保険によって損害が補償されています。

◆通常の労働災害の場合

 通常、労働災害の場合、労働者に生じた損害は、労災保険によって補償されます。ただ、慰謝料や入院雑費、付添看護費用等は労災保険給付では支払われず、生じた損害が全てカバーされるわけではありません。

 

 そのため、労災保険による補償を超える損害については、使用者に請求することになり、使用者の行為が不法行為(民法709条)に当たる場合や、使用者に安全配慮義務違反があった場合には、使用者は損害賠償責任を負います。

 

 安全配慮義務とは、判例上認められてきたもので、雇用関係などの「特別な社会的接触の関係」に入った場合に、一方又は双方が、相手の生命や健康等を危険から保護しなければならない義務をいいます。通常の場合、まず使用者は、労災保険給付を利用して補償し、それを超える部分について賠償するということになります。

◆派遣労働者の労働災害

 派遣労働者の場合、労働者との雇用関係は派遣元にあります。そして実際に稼働するのは派遣先です。このように派遣労働者は、派遣元企業に雇用されながら派遣先の指揮命令に従って仕事をするわけですが、労務に起因した事故が発生すれば当然労災になります。

 

 労働基準法および労災保険法に基づく災害補償については、事故現場である派遣先ではなく、賃金支払い義務者である派遣元が行うことになります。また、派遣元に具体的に安全配慮義務違反が認められる場合には、派遣元は損害賠償責任も負います。

 

 ただ、派遣労働者を直接指揮命令して就業させるのは、派遣先であり、実際に現場で使用する機械や設備、車両等の設置や管理・運用を担当するのも派遣先であるといえます。

 

 そして、直接の雇用関係がなくとも、派遣先は派遣労働者に対し指揮命令もしており、「特別な社会的接触関係」に入ったと認められることが多く、このような場合には、派遣先は派遣労働者に対して、安全配慮義務を負うことになります。そのため、派遣元の労災補償給付で賄われない損害については、派遣先が別途損害賠償義務を負うことがあります。

 

 判例でも、直接の雇用関係にない元請会社の責任を認めたり、派遣先の安全配慮義務違反を認めたりする事例があります(いわゆる三菱重工業神戸造船所事件、テクノアシスト相模・大和製罐事件など)。

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