2011年10月の運転管理

■「運転と健康」をテーマに指導しよう

10月 運転管理

 

 10月1日から始まる全国労働衛生週間の機会に、「運転と健康」の関連性について指導するとともに「健康管理」の重要性を見直しましょう。

 

 安全運転を確保するためには、ドライバーの健康が必要条件です。

■運転者の健康管理は万全ですか
 最近は道路や車に対するハード面での事故防止対策が進展して、最高速度違反や飲酒運転などの重大違反も減少傾向にあり、交通事故の主な原因は、運転者のうっかりミスなどヒューマンエラーとともに心身の健康問題がクローズアップされています。


 健康問題では、まず、ドライバー自身の健康状態への自覚と日常生活での管理が重要です。さらに、薬剤の副作用なども軽視できなくなっています。


 そして、深夜運転などをするドライバーに対しては、健康を維持するための指導がきちんと行なわれているか、生活時間に応じた服薬の指導などがされているかなど、個別のきめ細かい管理・指導が必要となっています。

 

居眠運転の危険を訴える欧米のWEBサイト
居眠運転の危険を訴える欧米のWEBサイト

■欧米では健康問題が事故防止の重要なテーマ
 欧米ではドライバーの疾病や睡眠不足によるパフォーマンスの低下が交通事故の大きな原因を占めるとして、各種の対策がとられています。


 フィンランドでは、死亡事故の約1割はドライバーの体調変容によるとの分析結果が出ており、健康指導を重視していますが、日本では健康起因事故の実態が知られていないことなどから、まだまだ取組みが遅れていると指摘されています。

 

 英国では、SRVA(Sleep Related Vehicle Accident) =「睡眠不足の影響で眠気が発生し交通事故を起こしたのではないか」という考え方を基に、睡眠関連の事故調査をすることが義務づけられていますが、ある地域では一般道路で16%、高速道路では20%も睡眠問題に起因する事故が発生していることがわかり、居眠運転防止キャンペーンを展開しています。

 

運転者の健康管理

■個別の疾病を管理・指導
 運転者が運転中に心身の不具合を生じたり、眠気や意識を失うなどの症状を起こす原因はさまざまであり、個別の問題点にどう対処するかが重要です。

 ドライバーの健康診断結果等もファイルに入れて引き出しにしまい込んでしまうと「見えなく」なりますので、毎日管理者が目にする書類に明記しておく必要があります。


 たとえば「示達簿」「点呼簿」や「ドライバー台帳」には、健康問題に特に注意すべきドライバーがいれば「高血圧・服薬中」とか「糖尿病・血糖値注意」「SAS・眠気注意」などと明記しておきましょう。

 

 そして、朝礼・点呼での観察結果などと照らしあわせて、「調子はどうですか」「運行期間中の薬は持ちましたか」などドライバーに声をかけて自覚を促しましょう。

 

安全運転イエローカード
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■休み明けの体調不良に注意
 また、職業ドライバーの事故を分析した調査では、事故は休み明けに多いというデータがあります。休日明けは身体の機能が低下状態になるとされ、ドライバーのミスや漫然運転は週の半ばより明けの日に多いという分析です。

 

 アルコール検知器の酒気帯びチェックで酒気残りが出るのも休み明けが目立つと言われます。これは、業務が続く平日には酒量を控えていたドライバーも、休日前に気が緩んで深酒をしてしまい、これが休み明けにも残ってしまうケースが多いからだと考えられます。


 このため、ある運送会社では各運転者のシフトを調べて、点呼簿には休み明けの運転者に黄色いマーカーで印をつけて点呼者や配車担当者がすぐわかるようにし、体調不良がないか重点的にチェックし、少し気になるドライバーがいる場合は、上図のようなイエローカードを渡して指導するように配慮しています。

◆重点推進事項

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・車両点検整備の徹底

 車両の点検整備を確実に行うことは、安全な運行を確保をすることはもちろんですが、エコドライブにもつながります。

 たとえば、タイヤの空気圧は1か月で約30~50kpa減少すると言われており、空気圧が低いまま走行すれば当然燃費が悪くなります。エコドライブを実践するためにも、点検整備を徹底して実施することが大切であることを強調してください。
 また、大型車では、相変わらず落輪事故が多発していますので、ホイールボルト、ナットの取付状況などを重点的にチェックしましょう。

・ライトの早目点灯指導

 「秋の日はつるべ落とし」と言われるように、あっと言うまに日が暮れていきます。夕暮れ時に、「まだライトを点灯しなくても大丈夫だろう」と点灯せずに運転していると、気がついたときには周囲が相当暗くなって見えにくくなっているということが少なくありません。
 したがって、薄暮時の早目のライト点灯を促すため、日没時間を掲示し「日没30分前に点灯」と、はっきりと点灯時間を示して指導してください。

・行楽期の事故防止指導

 この時期は気候もよく、家族や友達同士でレジャードライブに出かける機会も多くなりますので、レジャードライブでの安全運転を指導しておきましょう。レジャードライブ中の事故については、無理なスケジュールからくる居眠り運転などが多いので、渋滞時間を見こした「ゆとりのある運行計画を立てる」ことを指導しましょう。

・冬用タイヤへ交換準備

 10月中旬から末にかけては、強い寒気が日本の上空に流れ込み急激に冷え込むことがありますので、スタッドレスタイヤ履き替えに注意を促す必要があります。

 昨年(2010年)は、10月18日に北海道上川町でトラックが橋の上でスリップしてガードレールに衝突し3台を巻き込む事故が発生。また山梨県でも、10月28日に路面凍結による大型トレーラのスリップ横転事故が国道141号で発生しています。

 11月ではもう遅いという地域もあります。天候に注意し、早めに整備工場やガソリンスタンドにタイヤ交換予約などをしておくことが大切です。

 

◆10月の管理ごよみ (2011年/平成23年)

1日()~

7日(金)

・全国労働衛生週間

──平成23年度スローガン「見逃すな 心と体のSOS みんなでつくる健康職場」

──詳しくは厚生労働省中災防のWEBサイトを参照

1日()~

31日(月) 

・自動車点検整備推進運動強化月間

──詳しくは国土交通省のWEBサイトを参照

1日()~

31日(月) 

・体力つくり強調月間

9日(

・寒露

・トラックの日

 ──「トラック」の「ト(10)」と「ク(9)」を取って全日本トラック協会が1992年(平成4年)に制定。各地の協会でトラック輸送への理解を深め安全を推進する各種行事を開催。

10日(月)

・目の愛護デー

・体育の日

12日(水)

・国際防災の日(国連が制定/毎年第2水曜日)

・安全・安心なまちづくりの日 

12日(水)~

14日(金)

・産業安全運動100年記念・第70回(平成23年度)

 全国産業安全衛生大会2011 in東京

 会場 総合集会(12日)東京国際フォーラム

    分科会(13,14日)東京国際フォーラム、

    よみうりホール他

 テーマ  「『安全文化』は構築できるか~企業の危機管理のあり方を考える~」──詳しくは中災防のWEBサイトを参照

14日(月)

・第3回関西疲労懇話会

 会場 大阪産業創造館6F(会議室A・B)

 講演 「運転者の過労状態と過労運転」

    ―労働科学研究所所長 酒井一博先生 他

 ──詳しくは㈱産業疲労特定検診センターのWEBサイトを参照

21日(金)

・あかりの日

──1879年(明治12年)10月21日、米国の発明王トーマス・エジソンが世界で初めて実用性の高い白熱電球を発明したことにちなんで制定

22日()~

24日(月) 

・全国トラックドライバー・コンテスト(2011年)

 会場 自動車安全運転センター・安全運転中央研修所

──詳しくは全日本トラック協会のWEBサイトを参照 

24日(月)

・霜降
27日(月)

・第47回全国陸上貨物運送事業労働災害防止大会

 会場 徳島市 あわぎんホール

 ──詳しくは、陸上貨物運送事業労働災害防止協会のWEBサイトを参照

27日(木)

・文字・活字文化の日

・読書週間(11月9日(水)まで) 

30日( ・マナーの日

 

◆10月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)

1日( 福岡 18:04 大阪 17:43 東京 17:26
15日( 福岡 17:46 大阪 17:25 東京 17:07
31日(月) 福岡 17:28 大阪 17:06 東京 16:48
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3月21日(木)

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