まだ残暑の強い月ですが、新学期が始まり秋の行事も多いので、歩行者と遭遇する機会が多くなります。その一方で、日が短くなり夕暮れ時の危険などが増加する時期です。
秋の全国交通安全運動は「子どもと高齢者の事故防止」を基本テーマに実施されますが、このような危険性を考えてのことです。
積極的に運動に参加するとともに、事業所でも事故防止指導に力を入れましょう。
■脇見・漫然運転による歩行者事故が7割
子どもや高齢者の事故の大半は歩行中に発生しています。
歩行者の事故被害を調べた交通事故総合分析センターの資料(※)によると、歩行者死亡事故は車が直進中に多発しています。
また、ドライバー側の要因として最も多いのは漫然運転と脇見運転で、この2つが7割を占め、あと2割が安全不確認となっています(下図参照──※イタルダインフォメーション№94)
■歩行者側の違反も約7割!
しかし、直進時の事故では歩行者側にも問題があり、死亡事故の約70%には、歩行者の法令違反が有ることがわかりました。
歩行者法令違反の内訳では「車両の直前・直後の横断」や「横断歩道外横断」、「信号無視」などの横断に関する違反が73%を占めています(右図)。
ドライバーに対しては、前方をよく注意して、対向車の通過直後や横断歩道以外の場所などで危険な横断をする歩行者が「いるかもしれない」と危険予測をすることが重要であると指導しましょう。
( 図をクリックすると拡大→ )
さらに歩行者の法令違反を年齢層別に比較した資料をみると、「車両の直前・直後の横断」や「横断歩道外横断」「斜め横断」は特に65歳以上の割合が多く80%を超えています。
一方、「飛出し」は15歳以下の割合が多くなっています。
また「酩酊、徘徊、寝そべり等」は16〜64歳の割合が多くなっています。
このように、歩行者の年齢によって危険行動にパターンがありますので、ただ「歩行者に気をつけろ」といった指導ではなく、ドライブレコーダーの映像などを活用し、歩行者の危険行動をイメージさせるような訓練を繰り返し実施しましょう。
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
■秋の全国交通安全運動の実施
交通安全運動の実施要綱やポスターなどを配布し、どのようなテーマで運動を展開しているのか、周知しましょう。
●実施期間 2012年9月21日(金)から 30日(日)
●基本テーマ 「子どもと高齢者の交通事故防止」
●重点項目
・夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止
・全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの
正しい着用の徹底
・飲酒運転の根絶
また、事業所で多発している事故の実態に即した活動を展開しましょう。たとえば、バック事故が多発している場合は、
●バック事故「ゼロ宣言」
①乗り込む前に必ず車の周りを確認しよう!
②始動前にブレーキペダル位置を確認
③不安があれば誘導を頼む
などをアピールしていきましょう。
■薄暮早めの点灯を励行
秋口は夕刻から夜間の早い時間帯に事故が多発しています。早目の点灯で自車を目立たせることに努めましょう。
また、ライトの照射外を横断する歩行者や自転車が非常に発見しにくく、とくに下向きライトでは、40m先の車道上しかよく見えません。
ライトの向きは上向きを基本にして、なるべく遠くの危険を早期に発見するように努めましょう。
・異常気象時の運行体制再点検
台風シーズンとなりますので、強風・豪雨など異常気象時の運行体制を確認しましょう。気象情報に基づく運行の中断や中止、迂回路の指示などを的確に行えるよう、安全担当の管理者が確認することはもちろんのこと、営業所の管理職などにも再度指導しておきましょう。
強風・高波で車が横転する事故がこの時期はよく発生しますので、海岸・高架道路などの走行にも注意が必要です。
・熱中症予防対策の継続
9月も残暑が厳しく、最高気温が猛暑日(35℃以上)を記録する日があり、また、気温が30℃未満でも湿度が高まると危険があります。引き続き、作業・ 荷卸・運転時の熱中症予防を呼びかけましょう。夏場(7月~9月)における熱中症の救急搬送者は過去3年の中で、最も多くなっていますので、9月も警戒が必用です。
・大型自動車は重点的な点検整備を実施
9月~10月は自動車点検整備推進運動強化月間です。大型バスを運行するバス事業者や50台以上のトラックを使用する運送事業者は、大型自動車の重点点検を行い、その結果を報告するよう地方運輸局から注意喚起が行なわれます。
とくに、大型自動車では「タイヤホイールナット、ボルトの緩み・損傷」の点検が強く呼びかけられています。ホイール・ボルトの折損による車輪脱落事故などが発生しているからです。
( → 詳しくはこちらを参照)
また、平成21年10月より点検整備未実施事業所への行政処分が強化され、
■ 日常点検の未実施は──
<初違反>:警 告 ~5日×違反台数 <再違反>:5日 ~15日×違反台数
■ 定期点検整備の未実施は──
<初違反>:警 告 ~10日×違反台数 <再違反>:5日 ~30日×違反台数
──と厳しくなっています。
・点呼記録簿、点検記録簿の確認を
事業用自動車の監査が強化されています。点呼記録、点検の記録、指導・監督の記録などの整備ができているか確認しましょう。賃金台帳や乗務記録などを参照してチェックすると、点呼記録の不正などはすぐにわかってしまいます。
たとえ短い時間でもよいので、毎日の点呼・点検を重視し、記録を正確にとるなど日々の積み重ねが大切です。
8月30日(木)~ 5日(水) |
・防災週間──9月1日の「防災の日」を中心とした防災週間。災害時の避難方法を確認し、ヘルメット・非常用食料など災害用備品がどこにあるか確認し整理しましょう。 |
1日(土) |
・防災の日──関東大震災を教訓とし、防災意識を高めるために1960年(昭和35年)に制定。 |
1日(土)~
30日(日) |
・「全国労働衛生週間の準備期間」 (※10月1日から7日まで実施される労働衛生週間の実効を上げるため準備を行う。なお、平成24年のスローガンは、「心とからだの健康チェック みんなで進める健康管理」。 ※詳しくは、 中災防のホームページを参照。 |
1日(土)~ 30日(日) |
・「自賠責制度PR期間」──国土交通省などが主唱。自賠責保険・共済の重要性について積極的にPRする。 |
1日(土)~ 30日(日) |
・健康増進普及月間──生活習慣病を予防し、健康保持と増進を図るため、厚生労働省が制定。ドライバーの睡眠時間や飲酒習慣などのチェックを実施する。 |
1日~10月
31日(水) |
・自動車点検整備推進運動強化月間 ── 毎年9月、10月の2ヶ月間、国土交通省は点検・整備の重要性を呼びかけている。 |
3日(月) | ・睡眠の日──「グ(9)ッスリー(3)」眠るからの語呂合わせ。 |
7日(金) | ・白露──二十四節気の一つ。大気が冷えてきて、朝夕の心地よい涼風を感じ始めるころ。 |
9日(日)~ 15日(土) |
・救急医療週間──救急の日(9日)を中心に、救急医療を啓蒙する各種活動を展開する。 |
11日(火) |
・製品安全点検日 ──毎週、第2火曜日は、火二(ひに)注意/経済産業省 |
17日(月) |
・台風到来の特異日──統計上、台風が日本列島に上陸する回数が多い日。 |
17日(月) |
・敬老の日(祝日) |
20日(木) |
・バスの日── 1903年(明治36年)のこの日、京都市で日本で初めてバス会社が本格的な営業を開始したことに由来。 |
21日(金)~
30日(日) |
・秋の全国交通安全運動 ──運動の要綱については内閣府のホームページを参照。 |
22日(土) | ・秋分の日(彼岸中日) |
30日(日) |
・交通事故死ゼロを目指す日 |
30日(日) |
・クレーンの日─ 1980年、9月30日にクレーン等安全規則を公布したことを記念したクレーン協会等が制定。 ※平成24年度『クレーンの日』スローガンは「初心にかえり しっかりチェック 慣れをいましめ クレーン安全」 詳しくは、同協会のホームページを参照して下さい。 |
30日(日) |
・中秋の名月──旧暦8月15日 |
30日(日) |
・交通安全年間スローガン(標語)の募集締切り |
30日(日) |
・第27回全国フォークリフト運転競技大会 ──主催: 陸上貨物運送事業労働災害防止協会/於:埼玉県トラック総合教育センター |
9月中旬 | ・平成24年8月末における交通事故発生状況公表(警察庁) |
9月下旬 |
・平成24年8月末の労働災害速報(陸上貨物運送事業労働災害防止協会)
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◆9月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(水) | 福岡 18:44 | 大阪 18:25 | 東京 18:09 |
15日(水) |
福岡 18:25 |
大阪 18:05 | 東京 17:48 |
31日(金) | 福岡 18:04 | 大阪 17:44 | 東京 17:26 |
秋の日はつるべ落とし。日没時刻は急激に早くなっています。
関東では4時台に、九州でも5時台に点灯を!