類似の判例19(1件多数死亡事故)

◆名神高速ブラジル人7人死亡事故で禁錮2年6月

 (2007年7月12日大阪高裁判決

 同じく、外国人労働者が7人死亡した事故の判決ですが、会社の過労運転指示や運転者に睡眠障害の自覚がなかったこと等が量刑に影響を与えています。

ブラジル人7人死亡 居眠運転事故
現場図は判決文を参考に作図

主原因は、SASの影響ではなく「過労運転」としたが、事業所の責任にも言及


 名神高速道で2005年11月13日、ブラジル人7人が死亡した居眠運転による多重衝突事故で、業務上過失致死傷罪に問われた運転者(41)に対し、大津地裁は 2007年1月26日、禁錮3年(求刑禁錮4年)の判決を言い渡しました。

 判決に対して運転者側は控訴しましたが、大阪高裁も禁錮2年6月の実刑判決(2007年7月12日)を言い渡しています。

 

 大型トラックがその前に発生した追突事故で停止中の車の群れにつっこみ、路肩に横転していたワゴン車などに次々と衝突したものです。

 運転者については、事故後に医師より重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断され、弁護側は「事故直前に予兆なく眠るマイクロスリープ状態に陥り、事故を回避する責任はなかった」と無罪を主張しました。

 

 しかし、地裁判決では「睡眠に陥ったことにSASが影響した可能性は否定できない」としつつも、事故直前の6日間は休みがなく、車内で不規則な仮眠を取る生活が続いていたことを挙げ、居眠りの大きな原因は「極度の過労状態で運転したこと」としました。

   ただし、「運転者が過労状態に陥ったのは、勤務先の指示に従った結果によるものであって、この点は個人の責任というよりも会社の責任によるところが大きいなど、酌むべき事情も認められる」として、量刑を判断しています。

 

(※最高裁判所ホームページ、 下級裁判所判例集/事件番号 平成17(わ)875[業務上過失致死傷]の判決文を参照しました)

 

──7日間の事業停止と243日車の使用停止処分

 なお、京都南労働基準監督署は2006年7月、事故を起こした運転者に違法な時間外勤務をさせていたとして、勤め先だった京都府宇治市の運送会社と同社の配車係長を労働基準法違反の疑いで書類送検しました。

 その後、国土交通省・近畿運輸局も運送会社に対し監査を実施、2007年2月に、貨物自動車運送事業法輸送安全規則違反に関わる行政処分として、7日間の事業停止と、以後81日間は営業用の大型トラック3台を使用停止にする処分を命じました。

 

◆鹿沼のクレーン暴走事故では、懲役7年の実刑

 (2011年12月19日宇都宮地裁)

 鹿島のクレーン車事故では、幼い子どもが6人も亡くなったことで社会的批判が厳しく、免許の不正取得などもあり、懲役7年の量刑となりました。

鹿島クレーン車暴走 6名死亡

「自動車運転過失致死罪」の上限を判示

 2011年4月、栃木県鹿沼市でクレーン車を運転中にてんかんの発作で意識を失い、小学生6人が死亡した事故の刑事裁判で、2011年12月19日宇都宮地裁は、「発作の予兆がありながら運転した過失は特に悪質で重大」と指摘し、元運転手の被告(26)に対し、求刑通り自動車運転過失致死罪の法定刑上限である懲役7年を言い渡しました。

 

 判決で裁判長は、

・てんかんの持病を隠して免許を取り就職したこと

・3年前にも発作に伴い重傷事故を起こし執行猶予中だった

などの点を挙げて「被告は身勝手で自己中心的」と非難し、「持病が事故原因ではない。持病に真摯(しんし)に向き合わず運転の危険性を軽視したのが原因だ。心からの償いを」と説諭しました。

 

 また「てんかん患者一般に与える影響が懸念される」と言及し、てんかん患者の運転に対する偏見を戒めました。

 被告側、地検側双方が控訴しなかったため、刑が確定しました。

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