今年の1月16日の朝礼話題で、寒冷地で車内にいる人が一酸化中毒になる危険について触れましたが、さる3月2日北海道中標津町で母子4人が亡くなった痛ましい事故は、まさに車内の一酸化中毒が原因でした。
状況は、皆さんもご存じだと思いますが、車で走行中に暴風雪に遭遇して立ち往生を余儀なくされて、車内にとどまっているときに一酸化中毒になったものです。
雪の「吹きだまり」が車の周囲にできてマフラーを塞ぎ、車外の排気ガスが逃げ場をなくして外気口から車内に入り込みました。
一酸化炭素中毒を防ぐには、雪がマフラーを塞いで排気ガスが車内に逆流するのを防ぐか、それが無理ならエンジンを切って排気ガスを出さないようにするしかありません。
あの状況下で、外に出て雪を掻くことができるかどうかわかりませんが、かといってエンジンを切って暖房を止めるのも難しいような気がします。だとしたら、唯一可能と思われる対策は、少しでもよいから窓を開けて換気をすることです。
風速10メートルを超す地吹雪が発生しているなかで、窓を開けることは勇気がいるとは思いますが、少しでも窓を開けて換気をしなければ助かる命も助かりません。
いずれにしても、寒冷地では雪で車内に閉じ込められても対応できるように、車内にカイロや寝袋などを準備しておくことの重要性を改めて教えてくれた事故でした。
亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げます。
(シンク出版株式会社 2013.3.8更新)
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