4月には春の全国交通安全運動が実施されますが、この機会に新年度の交通安全計画を明らかにして、運転者指導を本格的にスタートさせましょう。
特に、今年度は道路交通法の改正が予定され、一定の疾病のある運転者対策や、自転車事故防止のための新たな規定が設けられます。
自転車に関しては、交通事故に占める割合が高どまりして、対策が急がれているため、警察の指導もより厳しくなることが予測されます。運転者だけでなく自転車利用者を含めた事故防止活動を展開してはいかがでしょうか。
■4月~5月に急増する自転車事故
例年、春になると自転車利用に適した季節になり、自転車の通行量が増えてきますが、それに比例して自転車関連事故も急激に増える傾向にあります。
特に5歳以下の幼児や6歳~11歳の小学生でその傾向が強く現れています。
この時期の自転車事故防止指導は重要です。まずドライバーに対しては、自転車との間で発生しやすい事故パターンを理解させておきましょう。
■交差点で確認なしに飛び出す自転車に注意
・交差点での出会い頭事故が多発
四輪車対自転車の事故では、交差点での出会い頭事故が53.1%と半数を超えています。続いて、右折時、左折時衝突がそれぞれ12.3%と目立ち、8割近くが交差点で発生していることがわかります。(「平成24年中の交通事故発生状況/警察庁」より)
・3分の2は自転車の法令違反あり
自転車事故のうち、自転車(第一当事者及び第二当事者)に法令違反のなかったケースは全体の35%にとどまり、残りの3件に2件は自転車利用者にも法令違反があります。
主な違反としては
●安全運転義務違反──わき見、漫然、安全不確認、ハンドル操作ミス
●一時不停止 ●交差点安全進行違反 ●信号無視 などです。
ドライバーにも漫然運転など危険行動があるのは事実ですが、一方で自転車の危険な行動が多くの事故を引き起こしていることをよく自覚し、自転車が交通ルールを守らない危険を予測する必要があります。
■悪質自転車利用者には講習を実施
また、自転車を利用する従業員に対しても、自転車の事故が重要な問題になっていることをよく理解させ、自転車安全利用五則などを指導しておきましょう。
今国会(第183回)に提出された道路交通法改正案では、自転車利用者対策として、以下のような項目が盛り込まれています(改正案が可決されれば、自転車の路側帯左側通行などは25年中の施行が予測されます)。
●危険な自転車利用者に講習を実施──信号無視・しゃ断踏切立入等を繰り返す自転車の運転者に対し、危険な運転を防止するための講習を受けさせる。講習を受けない者には罰則を適用。
●ブレーキのない自転車の運転禁止──警察官は街頭でブレーキがない(効かない)恐れのある自転車を検査することができ、運転停止を命じることができるようにする。また命令に従わない自転車運転者への罰則を設ける。
●路側帯通行は左側通行のみ──現行では、自転車が路側帯を通行できる場所では、双方向通行が可能だが、左側通行の原則に則り路側帯も道路左側のみ通行できることにする。
↓ 政府のインターネットテレビ
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
■春の全国交通安全運動に参加
4月6日から15日まで「全国交通安全運動」が実施されます。活動のテーマや重点目標を職場に周知するため、配布物、掲示物をチェックしましょう。また、社内報(メールマガジン)や社内ネットの掲示板などにも交通安全運動のポイントを明記しておくことが大切です(運動の概要については、 こちらを参照)。
・基本テーマ=子どもと高齢者の交通事故防止
・運動の全国重点
(1)自転車の安全利用の推進
(特に、自転車安全利用五則の周知徹底)
(2)全ての座席のシートベルトと
チャイルドシートの正しい着用の徹底
(3)飲酒運転の根絶
(交通事故死ゼロを目指す日=4月10日(水))
運動期間中には、地域の交通安全協会や安全運転管理者団体、トラック協会などが主体となった街頭安全指導が行われます。
こうした活動に積極的に協力するとともに、機会をとらえて地域の生活道路や通学通勤路などの状況を調査してはいかがでしょうか。
街頭指導をリードする警察官や団体職員などと情報交換をすることで、見通しが悪く子どもや自転車などが飛び出しやすい交差点、過去に右左折などで人身事故が多発した場所などを知ることもできます。
なお、シンク出版では、春の全国交通安全運動のオリジナルポスター(運転者向け)を作成しましたので、ご希望の方はダウンロードしてご活用ください。
ダウンロードは → こちら
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
・新入社員の特別指導を実施
自動車運送事業者(バス、タクシー、トラック)では、新たに雇入れたドライバー(初任運転者)に対して、特別な指導を行うことが法律で義務付けられています(下表を参照)。
国土交通大臣が認定する適性診断(初任診断)を受けさせる義務もあります。
特別な指導のうち「安全運転の実技」を自社内で実施することは難しい場合は、自動車教習所に相談するか、地域の事業者団体(トラック協会など)に相談してみましょう。
なお、この指導は乗務開始前に行う必要がありますが、トラックの場合、やむを得ない事情があるときには例外的に乗務開始後1か月以内となっています。しかし、乗務が始まるとそのまま指導なしにいってしまう可能性が高いので、できるだけ採用時に実施するように努めましょう。
「初任運転者への特別な指導」の内容 | 時 間 |
① 事業用自動車の安全な運転に関する基本的事項 |
①~④で合計6時間 以上実施する ⑤に関しても、可能 な限り実施する |
② 事業用自動車の構造上の特性と日常点検の方法 | |
③ 交通事故を防止するために留意すべき事項 | |
④ 危険の予測及び回避 | |
⑤ 安全運転の実技指導 |
日 付 | 行 事 等 |
1日(月)~ 30日(火) |
・未成年者飲酒防止強調月間(国税庁)──未成年者の飲酒防止を徹底するため、毎年4月にはポスターや各種媒体を通じて集中的に広報が行われます。飲酒運転に関連した資料も配布されます(詳しくは 国税庁のwebサイトを参照) |
1日(月) | ・「高年齢者雇用安定法(一部改正)」施行──高年齢者の継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければなりません。詳しくは厚生労働省のWEBサイトを参照。 |
6日(土)~ 15日(月) |
・春の全国交通安全運動─「子どもと高齢者の交通事故防止」
(内閣府) |
7日(日) |
・世界保健デー──世界保健機関(WHO)の設立記念日。世界各国で健康的な生活について考えてもらうためのさまざまなイベントが開催されます。 |
7日(日) | ・労働基準法公布記念日──1947年(昭和22年)のこの日、労働基準法が公布されました。 |
8日(月) |
・タイヤの日──日本自動車タイヤ協会が制定。ドライバーにタイヤへの関心を高め、空気圧のチェックなどの啓蒙推進活動を行なっています(タイヤ協会のwebサイトを参照)。 |
9日(火) | ・4月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
10日(水) | ・交通事故死ゼロを目指す日(内閣府) |
12日(金) | ・国際交通安全学会──第34回(平成24年度「研究調査報告会・学会賞贈呈式」 |
15日(月)~ 21日(日) |
・科学技術週間──毎年4月18日の「発明の日」を含む1週間は「科学技術週間」と定められています。 |
18日(木) | ・よい歯の日──4月18日の語呂合わせから日本歯科医師会が制定。丈夫な歯をいつまでも保ってもらおうとの願いがこめられています。 |
20日(土) | ・穀雨──24節気の一つ。田畑の準備が整う頃、それに合わせて穀物の成長を助ける春雨の降る時期とされています。 |
29日(月) | ・昭和の日 |
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25年4月~ | ・第12次労働災害防止計画の開始──平成25年4月~平成30年3月までの5年間を計画期間とし、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画(平成25年3月8日公示/厚生労働省) |
4月上旬 |
・事故防止対策支援推進事業等の申請受付開始(国土交通省) |
4月中旬 |
・平成25年3月末までの交通事故発生状況発表(警察庁) ・平成25年度 全国安全週間のスローガン、実施要項発表 (厚生労働省) |
4月下旬 |
・平成25年度 貨物自動車運送事業安全性評価事業の申請書類の配布(都道府県トラック協会) |
◆4月の日没時間 (国立天文台天文情報センターによる)
1日(月) | 福岡 18:39 | 大阪 18:19 | 東京 18:02 |
15日(月) |
福岡 18:49 |
大阪 18:30 | 東京 18:14 |
30日(火) | 福岡 19:01 | 大阪 18:42 | 東京 18:27 |
6時~7時に日没です。
まだ明るいと思っても、5時には点灯をしましょう!
「おもいやりライト」のWEBサイトも参照してください。