皆さん、坂道などで前車のスピードが遅くなったと感じたとき、進路変更や追越しが頭に浮かぶと思いますが、こんな状況で事故が起こりやすいことを意識していますか?
さる3月13日にも、東京湾アクアライン海底トンネル内の上り坂で、前方の大型タンクローリーを追い越そうとした観光バスが、進路変更の前に右のミラーで追越し車線を確認しているうちに前車に近づきすぎて、タンクローリーと追突する事故を起こしました。
追突の衝撃で30代のバスガイドが腰を骨折するなど16人が重軽傷を負っています。
進路変更のとき、隣車線の後方を気にしながら視線を前に戻すと、前車との距離が近づいていてドキッとした経験を持つ方もいると思いますが、とくに上り坂では注意が必要です。
タンクローリーなど車体の重い車は、坂の始まりからスピードが低下しがちですが、坂の途中で勾配が急になるとますます減速するため、少し目を離すとあっという間に車間距離が詰まります。
事故を起こしたバスのドライバーは、前車の速度がさらに低くなる危険を予測していなかったようです。なお、トンネル内は後続車との距離が判断しにくいので、ミラーを長時間見てしまうことも危険要因となります。
遅い車にいらだってもすぐに追越しをかけるのではなく、自分も少し減速して車間距離を保ちましょう。さらに、トンネルや坂など危険な場所は避けて、安全に進路変更できる場所まで待つことが肝心です。
(シンク出版株式会社 2013.3.18更新)
※編集部注/半年後、バス運転者は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の病歴があったことが判明し、「事故原因はわき見ではなく居眠りだった」と供述を変えています。このため千葉県警高速隊は同年9月に自動車運転過失傷害の疑いで運転者を逮捕しました。
実際の事故態様は上記の分析とは違いますが、上り坂での追越し時のわき見による追突事故は十分に有り得る状況ですので、記事は削除していません。
追突事故は車対車の事故では、最も多い交通事故のパターンです。
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事例をもとにドライバーが自分自身の運転行動を振り返り、「わき見」「思い込み」「漫然運転」による追突事故の発生危険度をチェックします。
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