運転に必要な情報のほとんどは、視覚を通じて得ることができますが、注意しなければならないのは、見たものがすべて正しいとは限らないということです。
その代表的な例が「錯視」です。
「錯視」とは、俗に「目の錯覚」とも呼ばれているもので、誰が見ても、またその現象を知っていてどんなに目を凝らして見ても、事実とは違って見える現象と言われています。たとえば、図のAとBは同じ長さなのですが、Bのほうが長く見えると答える人が多いと思います。
交通場面で代表的な例をあげれば、バイクと大型トラックが同じ位置にいても、車体の小さいバイクは遠方に見えるというものです。
交差点を右折する際に、直進してくるバイクの位置が遠くに見えるために、右折を開始したところ意外と接近して来ていて事故を起こしそうになることがありますが、これは「目の錯覚」によって判断ミスをした結果なのです。
この他、運転席の高いトラックと運転席の低い乗用車では、前方にいる車との車間距離が違って見えます。
前方にいる車が同じ距離にいても、トラックからは遠くに見えますが、乗用車からは近くに見えます。
そのため、トラックは車間距離を詰めて走行しても、まだ余裕があると錯覚してしまうのです。この錯覚は、トラックが追突事故を起こしやすい一因ともなっています。
この他にも、錯視する場面はいろいろありますが、それによって危険な状況を生じないようにするには、「ゆとり」を持った運転を心がけることが必要です。
(シンク出版株式会社 2013.4.11更新)
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