11月の運転管理 … 2014(平成26)年

■夜間事故・歩行者事故を防ぎましょう

 冬が近づき、日没が日に日に早くなっています。夏の間は夕方だった時間帯が夜間となり、夜間事故が心配な時期です。

 

 ドライバーには、早めのライト点灯はもちろん、日没後は上向きライトを基本に走行することを徹底してください。

 また、朝晩の寒さが厳しくなってきますので、高血圧などの既往のある運転者の健康管理にも配慮しましょう。

11月の安全運転目標
○夜間の横断歩行者
 
に注意しましょう
 

11月の管理重点目標
○上向きライトの励行
○冬を迎えた車両管理
 
の徹底

11月の健康管理目標
○血圧上昇に配慮する
(ストレスをためこまない) 

 


安全運転管理

 

  ■その他の管理・指導項目→       ■11月の管理ごよみ  

 

■11月の安全運転目標

■夜間の横断歩行者に注意しましょう

 夜間は歩行者、とくに高齢の横断歩行者と車が衝突する死亡事故が多発しています。

 よくある事故パターンとしては

 単路で横断歩道以外の場所を右から横断してきた

 横断後半の高齢者と衝突する

という事故が特徴的です(下図参照)

 高齢者の側からみると、左から来た車にはねられる形になります。

 

 このような事故が起こりやすい理由としては……

・高齢者から見て手前の車線を来た車であれば、85m程度の距離にきたとき横断を開始しても道路中央まで行けるので、はねられない(時速60キロで計算)。

・対向車線側を来た車の場合、130m以上距離が離れたタイミングで横断開始しても、横断後半で車に出会ってしまう。

・ドライバーから見て左からの横断者は発見しやすく速度調整をして回避しやすい。

 (公益財団法人 交通事故総合分析センター/ITARDAの分析による)

 

 高齢者は「まだ車は離れているから大丈夫だ」と思って横断を始めているようです。

 ドライバーとしては右側の歩道から横断しようとしている歩行者がいないか、警戒が必要です。対向車の通過後にはライトをすぐ上向きにするなどして、常に注意を怠らないことです。

※上図は「交通安全教育に役立つ高齢歩行者事故の分析」(交通事故総合分析センター/平成23年3月)

 の図を参考に編集部にて作図しました。

 また、夜間右折時などは横断歩道でも歩行者と衝突しやすくなります。

 車が右折待ちをしているとき、まだ歩行者が横断歩道の前半か横断を始めたぐらいの場所では、前を見ているドライバーから歩行者を確認できません。ライトは横断歩道の半分しか照らしていないからです。

 ライトの照射内にいる歩行者が横断を終えたのを見て、安心して右折を開始すると、右後方から来た歩行者と衝突する危険があります。

 横断歩道を横切る前に一時停止して、再度、左右を確認しましょう。

夜間は、道路の右側から横断してくる歩行者を見落とすケースが多い

高齢の横断歩行者の場合、横断歩道以外の場所で横断してくるケースも多い!

交差点を右左折するとき、ライトの照射外を横断してくる歩行者を見落としやすい



■11月の管理重点目標

■上向きライトの励行

 夜間事故が多発する時期です。ライトの正しい使用を徹底するように指導しましょう。夜間の走行用ライトは上向きが基本であり、下向きは対向車とのすれ違い時などにする臨時の減光措置です。

 下向きライトのままで走行すると照射距離が短いため死亡事故の危険が大きいことがわかっています。


 たとえば富山県警察本部の調査では、県内の過去4年間の夜間歩行者死亡事故のうち、車のライトが下向き時に94%が発生し、そのうち74%は上向きにすることが可能な状況だったということです。
 また、岡山県警察本部における夜間歩行者死亡事故の分析でも、100%が「ライト下向き」事故であり、上向きライトによる車両の死亡事故は1件もありませんでした。

 

 対向車や直前を走る車のドライバーの眩惑を防ぐ配慮は大切ですが、ライトは「下向きが基本」と勘違いをして走行しているドライバーもいますので、このような誤解を正し、通常は上向きにして走行するよう繰り返し指導しておきましょう。

タイヤ交換

■冬場を迎えた車両管理の徹底

  もうすぐに冬を迎えます。スリップ防止措置など冬場に向けた車両管理を徹底しましょう。

 

スタッドレスタイヤへの履き替えは早めに実施する

 ──スタンドなどの予約を確認、チェーン搭載も確認

凍結しやすい地域では冷却水等の仕様を変更する

 ──凍結を防止するために、適切な濃度のロングライフ

   クーラント(LLC)を使用

エンジンオイルの点検

 ──気温が下がると粘度が高く(硬く)なるので、早め

   に交換する

バッテリーの点検・液量補充

 ──低温で機能が低下するので、液量や比重をチェック

ウインドウォッシャ液のチェック

 ──液量や濃度を点検し、凍結しないように配慮をしておく

ブレーキの点検

 ──雪道・凍結路は大変滑りやすいので、微妙なブレーキングができるよう

   ペダルの遊び等を調整しておく。また、ブレーキペダル周辺の泥や砂の

   放置による錆がペダル戻り不良につながる事故報告もあるので注意。

 

■11月の健康管理目標

■血圧上昇に配慮する

 日に日に寒さが増していますので、血圧が高めな人は注意すべき時期です。

 寒くなると血管収縮がすすみ血圧が上がりがちですので、ドライバーの皆さんも、次のようなときには血圧上昇が起こりやすいことを自覚してください。

 

  • 混雑した道路で追越しなどをかけたとき
  • 無理な割込みなどをされ、カッとしたとき
  • マナーの悪い自転車の飛出しなどにあいドキッとしたとき
  • 暖かい車内から、急に寒い車外に出るとき
  • 早朝に仮眠から目が醒めたとき

 

 血圧が上がるようなストレスを感じたら、サービスエリアなどで血圧を測ってみるとともに、少し休憩して身体を休めましょう。

 とくに中高年のドライバーは、寒い時期に無理な運転操作をしないように気をつけましょう。

■日常的な高血圧への予防策
 血圧の上昇を抑えるためには、以下の点に注意しましょう。

塩分の摂り過ぎを抑える
 薄い味付けの食事に慣れ、加工食品やインスタント食品を避けましょう。
肥満を防止
 メタボリック症候群が高血圧へと結びつきやすいので減量しましょう。
適度な運動を続ける
 適度な運動が血圧を下げる効果を持ちます。日常的に継続しましょう。
ストレスをためない
 多忙で精神的な緊張が続くことが危険です。ときどき息抜きをし、適度に休憩してストレスをためこまないように心がけましょう

■その他の管理・指導ポイント

世界道路交通犠牲者追悼の日(11月16日)」の活動

2013年の世界交通犠牲者追悼の日ポスター
2013年の世界交通犠牲者追悼の日ポスター

■被害者を悼む気持ちを忘れないようにしよう

 世界道路交通犠牲者追悼の日は、毎年11月第3日曜日に実施されている国際的な交通安全の活動です。

 英国のNGO団体(RoadPeace)が1993年から活動を始め、その後、ヨーロッパを中心に支持が広がって、2005年以降は世界保健機関(WHO)が共同提唱する形で国際的な取組みとなっています。

 

 活動の趣旨は、交通事故の被害にあった犠牲者を「忘れない」で、交通事故被害による喪失感と痛みを社会でもっと認知しようと呼びかけることです。また、日夜交通事故の救済にあたる救急チーム、警察官、医療専門家へ謝意を表す日でもあります。

 

 悲惨な事故の経験をもつ事業所はもちろん、交通事故を起こしたことのない事業所も、こうした日を期して、犠牲者を追悼し何らかの事故防止活動をすることは意義深いと思います。

 

 詳しくは → こちらを参照


■11月の管理ごよみ──2014年/平成26年──

日  付 行 事 等

1日(土)~

30日(

エコドライブ推進月間──警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省で構成するエコドライブ普及連絡会は、11月をエコドライブの推進月間として積極的な広報を行いエコドライブ研修会などを通じて普及・推進を図っています。詳しくは、環境省のWEBサイトを参照

1日(土)~

30日(

・フォークリフト等の特定自主検査強調月間──荷役運搬機械や建設機械は資格を持つ検査者による年1回特定自主検査が必要。その啓蒙月間です(詳しくは、建設荷役車両安全技術協会のWEBサイトを参照してください)

1日(土)~

30日(

・過重労働解消キャンペーン(過労死等防止啓発月間)──厚生労働省が主唱し、著しい過重労働や悪質な賃金不払残業などの撲滅に向けた監督指導や電話相談などを実施します。
 ★長時間にわたる過重労働の防止 

 ★36協定の違反はないか? ★賃金不払残業がないか?

 ★若者の「使い捨て」はないか?

日(土)~

14日(金)

・「危険物の荷卸し時における相互立会いの推進」キャンペーン──石油連盟、全国石油商業組合連合会、  (公社)全日本トラック協会 タンクトラック・高圧ガス部会の共催。石油、高圧ガス等の荷卸し時に荷卸側・荷受側、双方の危険物取扱者立会いを徹する

3日(

文化の日──旧明治節、日本国憲法が公布された日

日(

・立冬

日()~

15日(土)

・秋季全国火災予防運動──消防庁が1950(昭和25)年から全国的に展開している運動で、火災の起こりやすい春(3月1日~7日)と秋の2度行われています。119番の日を起点とするため、秋はこの時期となります。

10日(月)

・いい点灯の日──おもいやりライト事務局」が企画する一斉点灯の実施日、11.10(イイ テン トウ)の語呂合わせから。「16時になったらヘッドライト一斉点灯」と呼びかけています。

11日(火)

・11月の製品安全点検日──経済産業省は毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。

11日(火)

自動車安全運転シンポジウム2014──高齢ドライバーの事故実態、運転行動、特徴把握

 主催:自動車安全運転センター

 会場:大手町サンケイブラザ3階

 基調講演:「高齢ドライバーの視野異常の実態」

      (金光義弘・川崎医療福祉大学特任教授)など

14日(金)

世界糖尿病デー──全国で1千万人近くの患者がいると疑われる糖尿病は交通事故防止の点からも重要な疾患です。低血糖症状による意識喪失事故を防止しましょう。

14日(金)

・過労死等防止対策推進シンポジウム──平成26年6月に制定された「過労死等防止対策推進法(平成26年6月27日公布、年内施行予定)」について、広く国民に周知を図るものです。

15日(土)

・七五三

16日(日)

・ 世界道路交通犠牲者追悼の日(毎年11月第3日曜日)  ──詳しくは「道路交通犠牲者の日」世界事務局の WEBサイトか、 イギリスのロードピースサイト(英文)を参照してください。

※The World Day of Remembrance for Road Traffic Victims

16日(日)

 

・第54回「正しい運転・明るい輸送運動」──平成27年1月10日(土)まで──全日本トラック協会主催

 詳しくは、 全ト協のWEBサイトを参照してください 。

19日(水)

・50回 全国陸上貨物運送事業労働災害防止大会

 於:メルパルクホール東京(東京都港区)

 詳しくは、陸災防ホームページを参照してください。

21日~ 12月12日(金)

・平成26年度(第2回)運行管理者試験 申請期間──ただし、インターネットによる申請は12月19日(金)まで。

 詳しくは、運行管理者試験センターのWEBサイトを参照

23日(

勤労感謝の日

24日(

・振替休日
………………  ……………………………………………………………………………

11月中旬

・平成26年10月末における交通事故発生状況公表(警察庁)

~12月中旬

・荷主等の事業場の荷役災害防止担当者への安全衛生教育講習会(陸災防各都道府県支部)

11下旬

・平成26年10月末の労働災害速報

 陸上貨物運送事業労働災害防止協会

 

 

 ◆11月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)

1日(土) 福岡 17:27 大阪 17:05

東京 16:46

15日(土) 福岡 17:16 大阪 16:54 東京 16:35
30日( 福岡 17:10 大阪 16:48 東京 16:28

★「おもいやりライト=早めの点灯
  運動に取り組みましょう!

 
秋は夜間事故の多発する時期です。早めの点灯を意識しましょう。たったそれだけの配慮で交通事故を減らすことができます。ぜひ習慣にしてください。

 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。11月10日までを目標期間として「いい点灯の日」活動が横浜の運動事務局の呼びかけに応じて全国で展開されています。


 ※詳しくは「おもいやりライト」のサイトを参照してください

 
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10月7日(月)

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