2月の運転管理 …… 平成27年(2015)年

 2月は1年でも最も寒い時期です。スリップなど冬型事故の防止をはかってください。

  大雪や低気圧による強風などで、運行に支障が生じることもありますので、気象情報などの収集に努めることも重要です。

 

 また、寒さのため身体が硬くなって中高年のドライバーは体調を崩しやすい時期でもあります。

 インフルエンザ等の感染症予防も継続しましょう。

■2月の安全運転目標

■雪道・凍結路でのスリップ事故を防ごう

 雪道や凍結路では、普段以上に危険予測意識を高めて運転することが大切です。

 たとえば、トンネルなどを走行しているときは、入り口の天候がよくても、出口付近は吹雪いているといったことがあります。

 

 対向車のフロントガラスなどをよく観察して、そうした異変にもいち早く気づくことが、スリップ事故を防ぐ一助となります。

 何も考えずに漫然と走行するドライバーは、吹雪に驚いて急にブレーキを踏んでしまうことが多いのです。

 

 また、路面の雪が溶けているように見えても、ところどころ日陰部分だけ凍結しているといったことがよくあります。とくに夜間は黒く見えるので、単なる水たまりか凍結路面か判断がつかないこともあります。

 外気温度が1℃程度まで下がったら、路面温度は0℃を下回っている可能性もありますので、凍結を予測する意識をもちましょう。 


雪が溶けているように見える道路でも、

油断は禁物。ところどころ凍結していて、降雪路面よりかえって危険なこともある

外気温が1℃でも、橋や高架などでは、路面温度が0℃~-2℃程度まで下がっていることが少なくない


■スタッドレスタイヤでもスリップする

 スタッドレスタイヤを装着していても、ツルツルの圧雪アイスバーン状態で、急に強いブレーキを踏むとスリップすることがあります。

 

 雪道では、摩擦係数にあったブレーキ力でしか制動はかけられません。乾いたアスファルト路面の摩擦係数が0.8だとするとアイスバーン状態では0.1~0.2ですから、4分の1~8分の1以下のブレーキ力しかかけられないのです。

 無理な運転をしないように心がけましょう。 

こんな事故が起こっています
圧雪アイスバーンでスリップし歩道に乗り上げる

山口県美祢市脇見正面衝突

 1月1日午前10時ごろ、北海道夕張郡栗山町内の道を走行していた乗用車が、圧雪アイスバーン状態の路面でスリップして、路外に逸脱しました。

 車は道路左側の歩道に乗り上げ、自宅前に立っていた75歳の男性に衝突し、男性が死亡しました。

 

■事故の教訓
・スタッドレスタイヤでもブレーキは慎重に──スタッドレスタイヤといえども経年劣化で性能が落ちることがあり、路面の状態によっては万能ではありません。テレビコマーシャルのように、いつもピタッとスリップせずに停止できると考えるのは危険です。

 雪道走行に慣れた人も、停止するときなどは慎重に減速してください。

■2月の重点管理目標

■ヒヤリ・ハット事例を活かす

 職場のドライバー間で運転中にヒヤりとしたりハットした体験が共有されているでしょうか?

 

 管理者がリーダーシップをとって、ヒヤリ・ハット体験事例の収集と共有化をはかりましょう。

 事例を集めるといっても、ただ漠然とドライバーからの提出を待っていては、なかなか情報が集まりません。ですからテーマを決めて、事例を提出しやすい雰囲気を作ることが大切です。

 

 ある住宅資材の製造販売会社の事業所では、毎月、「交差点左折時」「右折時」「自転車とのヒヤリ・ハット」「バック時」「駐車場を出るとき」「休日のドライブ時」など、テーマを決めて情報を集めています。

■キーワードで事故防止の

 コミュニケーションを深める

 

「心不全」の報連相(ホウレンソウ)という言葉を知っていますか?

 心臓病の報告ではなく、最近、医療機関で使われている言葉です。少しでも医療事故を減らすために、ヒヤリ・ハット体験をきちんと伝達する方法として、このキーワードを使用してミーティングを行う例が目立っています。

 

 心・不・全は、仕事をするなかで

配なこと」「安に感じること」「安上で取り上げてほしいこと」の頭文字をとったものです。

 気になることを自分の胸の中に収めておかないで、ミーティングなどで積極的に情報提供して、対策を話し合う活動を促しています。

 

 ある運送会社の運行管理者から「さっそく自社の現場で取り入れている」という話を聞きました。病院での実践例を聞いて「事故防止の取組みについては何でも貪欲に真似しよう」と、毎月の安全会議の際に「心・不・全」報告はないですか?と呼びかけているということです。

 キーワードに即発され、「実は、気になっていたんですが」と、フォークリフトの事故に結びつきやすいヒヤリ・ハット事例が、たくさん出てきたという話です。

 Agency for Healthcare Research and Quality の資料より
Agency for Healthcare Research and Quality の資料より

【参考】

 「心不全」のネタ元はアメリカから輸入されたCUSという活動です。

 CUSは、アメリカ合衆国の医療品質研究調査機構(AHRQ)が、医療機関の安全対策「チームSTEPPS」という取組みのなかで提唱しているものです。医療現場でヒヤリ・ハットした事項の連絡を徹底する運動として、近年、日本の医療機関も取り入れています。

 

 CUSは、

 I am Concerned(心配です)

 I am Uncomfortable(不安を感じます)

 This is a Safety Issue!(安全の問題です)

の頭文字を取った活動です。

 看護師などが患者の様子や先輩・医師の指示に不安を感じたとき、勇気を持って進言することが重要と位置づけられています。

 

 最初は横文字のまま導入されていましたが、日本人にはわかりにくいということで、「心不全」というキーワードにして提唱している医療現場が増えています。  

■2月の健康管理目標

■生活習慣の改善をはかり

 体調を管理しよう

 2月は「全国生活習慣病予防月間」です。血圧や肥満、糖尿病などの心配がある人は、とくに気をつけましょう。

 

 寒冷期の2月は、12月、1月と並び最高血圧(全国平均)が年間でも最高水準になりやすくなります。気温が低いことに加えて、運動量が少なく運動不足になって、血圧が上がると考えられます。


 また、寒さに備えようと脂っこい食事を取り過ぎたりお酒を飲み過ぎる人が多くなり、血圧上昇リスクが高まります。寒い時期も、なるべく軽い運動を続けて食生活を見直す努力をしましょう。

■あなたの運動不足度は?

 下の項目に当てはまるものが多いほど、運動不足の可能性が上がります。運動不足がかさむと体力も落ち、生活習慣病にかかりやすくなります(日本健康運動研究所のチェックリストより)。

  1. 1日で、歩くのは合計60分以下
  2. 休日は家でゴロゴロしていることが多い
  3. 一度座ると立ち上がるのがおっくうに感じてしまう
  4. 上るときはエレベーターやエスカレーターを必ず使う
  5. どこへ行くにも基本的に移動は車

  

■その他の管理・指導項目

■27年度の安全運転管理計画の策定

 安全運転管理や運行管理を実行する部署内で話し合って、来年度の安全運転管理の計画を練っておきましょう。

 重要な点は、26年度の交通事故防止活動や指導のなかで実施できなかった点が何かを明確にして、今後の目標を明らかにすることです。

 

 多くの企業で多発しているのは、バック事故・出会い頭事故・追突事故ですが、これらが改善していないという事業所も多いのではないでしょうか。

 多発事故の対策がすすまない状態は「欠陥商品を放置することと同じである」と考えて、真摯に対策を練るように全社に働きかけましょう。

  宮城労働局発行の啓蒙資料より
  宮城労働局発行の啓蒙資料より

■冬季の転倒事故に注意!

 今年は雪が多く、先月に引き続き転倒災害に注意しましょう。宮城県など寒冷地の調査では、歩行中の転倒事故は降雪量に比例して増加し、とくに2月がピークとなっていますので、通勤の従業員や屋外で作業をする人に注意を促してください。

 

 冬季に事故が多発する札幌市の調査によると、転倒時の負傷部位でもっとも多いのは頭部で43%、次いで脚部の24%、腰部の15%などとなっています。負傷内容は年齢が上がるほど骨折の割合が高まります。中高齢層はとくに転倒防止の注意が必要です。

 

 雪の多い日は、通路に凍結防止機能付きマット等を敷いて、敷地内の凍結を防ぎましょう。通勤者や作業者には靴底が滑りにくくなっている冬靴を履くか、靴用の滑り止めアタッチメントを使うように指導することが重要です。

 また、屋外での作業時は、焦らず小さな歩幅でゆっくりと移動するように呼びかけてください。特に荷物を持っているときはバランスを崩して滑りやすいので、雪の中で1人作業をすることがないように気を配りましょう。  

■2月の安全運転管理ごよみ (2015年/平成27年)

日  付 行事等

 1日

 ~28日(土)

省エネルギー月間──政府は、暖房や給湯で電気や石油などのエネルギー消費量が増える2月を「省エネルギー月間」と定め、省エネルギーの推進を呼びかけています。

 1日

 ~28日(土)

・全国生活習慣病予防月間──日本生活習慣病予防協会が制定。過去に2月第1週を政府が「生活習慣病予防週間」と定めていましたが平成20年に廃止したことから、同協会が活動継承を目指して月間を制定し、広く啓発活動を行っています。

 1日

 下旬

・平成27年度「全国安全週間 スローガン募集」

──募集期限平成27年2月下旬(厚生労働省労働基準局安全衛生部)

 1日(
・テレビ放送記念日──1953(昭和28)年のこの日、NHK東京放送局から日本初のテレビ本放送が始まりました。

 2日

・交番設置記念日──1881(明治14)年のこの日、1つの警察署管内に7つの交番を設置することが定められまし た。その後、全国で「派出所」「駐在所」という名称に統一されましたが、「交番」という呼び名が定着し、国際的にもKOBANとして通用する言葉になって いることから、1994(平成6)年11月1日に「交番」を正式名称とすることになりました。

 2日(月)

・バスガールの日──1920(大正9)年、東京市街自動車の乗合バスに初めてバスガール(女車掌)が登場しました。初任給35円、当時としては破格の高給で話題になりました。
 3日(火)

・立春

 5日(木)

・笑顔の日──2(二)と5(コ)の語呂合わせで、いつもニコニコと笑顔になっていようという日。

 日(月)

・風の日──「ふ(2)く(9)」(吹く)の語呂合せから。春一番など強い南風が観測され始める季節でもあります。

 10日(火)

・2月の製品安全点検日

──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。

 11日(

・建国記念の日、初午

 12日(

・ヒヤリ・ハット活用セミナー──安全管理者向けの中災防のセミナーです(東京都港区 安全衛生総合会館)。詳しくはこちらを参照してください。
 14日(土) ・聖バレンタインデー

 16日(月)

 ~22日(

・アレルギー週間──(財)日本アレルギー協会がアレルギーの日をはさむ1週間、東京での中央講演会をはじめ、全国の支部で一般市民を対象に様々な啓蒙的催しを開催しています。

 19日(木)

・雨水

 20日(金)

・アレルギーの日──1995年のこの日、石坂公成・照子医師夫妻がIgE抗体を発見し、米国アレルギー学会で発表したのを記念して日本アレルギー協会が制定しました。

 24日(火)~

 27日(金)

・2015産業安全対策シンポジウム(主催・日本能率協会など

 於:東京都港区三田NNホール)

/24日「重大産業事故に学ぶ」「リスク&クライシス・コミュニケーション」/25日「産業安全をいかにして強化するか──保安力の評価と強化」「企業の安全文化と産業保安向上へのアプローチ」/26日「ヒューマンエラー1 改めてヒューマンエラーを考える」「ヒューマンエラー1 現場力・人間力でヒューマンエラーに立ち向かう」/27日「事故防止のための実践的安全教育」など……詳しくはシンポジウムのWEBサイトを参照してください。

   
 2月下旬 ・平成26年の労働災害の動向について厚生労働省
 2月下旬 ・平成26年中の交通事故発生状況警察庁
 2月下旬

・平成26年賃金構造基本統計調査結果=賃金センサスの発表 

 (厚生労働省

 

 

 ◆2月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)

 1日 福岡 17:49 大阪 17:27 東京 17:08
 15日( 福岡 18:02 大阪 17:40 東京 17:22
 28日(土) 福岡 18:14 大阪 17:52 東京 17:35

 

「早めにつけよう おもいやりライト
 運動に取り組みましょう!
 運転者の皆さん!早めの点灯を意識しましょう。それだけの配慮で交通事故を減らすことができます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯することを習慣にしてください。

 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。


 ※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください

 
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