7月の運転管理 …… 平成27年(2015)

■安全意識に活を入れましょう

 7月は暑さが強まり、運転者の疲労やうっかりミスが増える時期です。折しも第1週には全国安全週間が実施されますので、皆の安全意識に活を入れるよい機会です。

 また、地元の交通安全団体などが夏の交通事故防止運動(交通安全県民運動)などを実施する時期ですので、こうした活動に参加することで、従業員全体の交通安全意識高揚を図ることも考えましょう。

 

 なお、荷役作業やフォークリフト作業を行う職場では、労働災害にも注意したい時期です。

 安全週間における危険箇所・危険作業の点検を徹底してください。

  

■7月の安全運転目標──ドライバーの皆さんへ

危険箇所での安全確認を徹底しましょう

 今月第1週は全国安全週間です。ドライバーとしても、自分の行動範囲のなかで危険な場所はないか、不安全行動をしてしまいそうな状況はないかをチェックして、安全確保に努めましょう。

 

・経路上の危険箇所を意識する──通勤や業務でよく使う道は、ともすれば慣れから危険を意識しなくなる可能性があります。もう一度、新鮮な目で危険箇所がないか、危険な状況に陥る危険がないか考えてみましょう。通勤経路などは通勤マップを元にヒヤリ・ハットした体験がないかチェックしてください。

 

・安全確認の徹底を意識する──ヒヤリ・ハット体験などを募集すると、危険箇所としてよく提出されるのは、見通しの悪い交差点や駐停車車両のため死角の多い場所、狭い生活道路、夕方になると急に車や自転車が増える場所などです。

 こうした場所では、慌てずに安全確認を愚直に行うことが重要です。危険ポイントでの安全確認はワン・ツー・スリーなどリズムをつけて確実に実施するように努めましょう。

  

疲れる前に休憩しミスを防ぎましょう

 頭では確認しようと考えていても、運転の疲れがたまってくると、確認がすッぽ抜けることが多くなります。普段ならしっかりと止まってから見る場所で、減速するだけでスーッと出てしまうことがあるのです。

 

 とくに、気温が高く日差しの強いこの時期は短時間運転であっても油断は禁物。暑さから集中力を欠きやすいということを意識して、早めの休憩が大切です。

 サービスエリアや道の駅に入って、広い場所で休憩すると、自分が思ったより疲れていたということを実感するでしょう。

 特に午後の時間帯はどんな人でも心身のパフォーマンスが落ちますので、休憩回数を増やして水分を補給するなど、暑さの影響を最低限に抑えるよう努力してください。


 右の図は、24時間の概日リズムによる人間の脳の意識水準の変化を示しています。

 午後の時間帯は誰でも水準が落ちますので、それだけミスや失敗が増える可能性があることを自覚して運転しましょう。


  

■7月の重点管理項目──管理者の皆さんへ

■夏の交通事故防止運動に積極的に参加

 7月は夏休みが始まり、レジャー運転などで交通量が増加することもあり、各都道府県の交通安全協会や安全運転管理者団体、事業者団体などが警察本部と連携して交通事故防止運動を展開します。

 

 こうした公的な安全活動に協力するだけでなく、地域参加のボランティア活動として

 

 ・従業員による交差点での立哨安全指導

 ・地元自治会との交通安全懇談会

 ・事業所周辺道路のカーブミラー清掃

 ・周辺道路脇の雑草草刈りによる視界確保

 ・無事故無違反コンクールへの参加

 

などがあげられます。

 自社が地元の交通安全に貢献する姿勢が従業員の安全意識を醸成します。

  

■全国安全週間に沿った活動を実施

 全国安全週間(1日~7日)に沿って、総合的な安全活動を実施しましょう。

 本年度のスローガンは

危険見つけてみんなで改善 意識高めて安全職場です。

 

 下の表はある企業の活動例です。「国民安全の日」以外はとくに決まった日はありませんが、それぞれの日にテーマを決めると取り組みやすいということです。事業所の規模や実態に応じて参照してください。

 

  活  動  例

1日

(水)

国民安全の日

 社長・所長などトップが安全宣言をして、安全週間の目的と意義をアピールする。また、無事故・無違反運転を続けるドライバー、フォークリフトオペレーターやゼロ災職場への表彰を実施する。

2日

(木)

設備、作業場の危険点検の日

 車両・フォークリフト・重機等の点検整備を徹底し、駐車場、会社出入り口、通勤経路などの危険箇所のチェックを実施する。

3日
(金)

安全作業手順確認の日

 各職場で、車両の一方通行、一時停止・徐行箇所、フォークリフト作業手順、荷台からの転落防止措置など、安全面での規則、手順の確認を行う。

4日

(土)

安全教育の日

 ヒヤリ・ハット体験や事故事例を元に安全教育を行う。グループによる討議も重要。夏休みの対子ども事故防止指導、車内事故防止指導等も合わせて実施する。

5日

(日)

家族の安全を考える日

 家族と一緒に生活環境のなかでの安全・事故防止について考えさせる。また、災害時の避難場所や連絡方法などを話し合っておく。マイカーやバイク・自転車などの保険の付保の確認や点検を実施することも大切。

6日

(月)

非常時対応訓練の日

 非常時・災害時、大事故発生時の対応について訓練を実施する。消火訓練や救護訓練だけでなく、ヘルメットや関連機器点検、車両の発炎筒・三角表示板などをチェック。

  7日

 (火)

● 安全大会の日

 これまでの労災事故・交通労働災害などの実態を知らせて事故事例なども紹介し、準備期間(6月)中の安全点検の報告などを行う。また、職場や協力会社における安全活動、QC活動による改善事例などの発表を実施する。

  

■7月の健康管理目標──従業員の皆さんへ

快適な睡眠で健康を維持しましょう

 暑くなり、寝苦しくて睡眠が十分にとれないということも多いでしょう。以下のような工夫をして睡眠環境を整え、快適な眠りを確保することが安全運転には重要です。

 

  • ぬるめの入浴がベター

    ── 疲れをとろうと、寝る前に熱い風呂に入ると、かえって寝つきが悪くなることがあります。夜には自然と体温が下がり、眠りの準備が始まっているのですが、無理に熱い風呂で長湯をして体温を上げると、準備を妨げてしまいます。ぬるめのお湯にするか、早めに入浴を済ませましょう。

  • 音楽や読書などでリラックス

    ── 日中にストレスがあると、脳の情報系の興奮がたかまって頭がさえた状態になり、覚醒から睡眠への移行がうまくいきません。仕事のトラブルなど、気になることがありイライラしているときは、気晴らしになる本を読んだり、好きな音楽を聴いたりするなどしましょう。

  • 夜食や寝酒に注意しましょう

    ── 寝る前の夜食は、睡眠を妨げるので、なるべく避けることが大切です。 酒には催眠作用がありますが、最近の研究から、寝酒は睡眠剤や精神安定剤などと比べて、癖(くせ)になりやすく、酒の量を徐々に増やさないと眠れなくなります。

  • 寝室の環境をチェックしましょう

    ── 夜中の騒音や窓から入るネオンの光は、安眠を妨げます。 寝室自体を改善できない場合は、耳栓やアイマスクを使うのもよいでしょう。

    ── また、寝る前に強い光をあびると入眠する時間が遅れます。寝る直前1〜2時間は、必要以上の明るい照明を避けましょう。

 

(※ 公益財団法人「健康・体力づくり事業財団」のホームページを参考に構成しました)

  

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熱中症を予防しましょう

 7月は、熱中症予防強化月間です。熱中症予防でもっとも重要なポイントは、水分と塩分の補給です。

 とくに重要なのは、水分で、

 

 ●のどが渇く前に水分補給!

 ●のどが渇かなくてもこまめに水分補給

 

ということが、強調されています。

 「のどが渇く」ということは、水分が不足しすでに軽い「脱水症状」が始まっているサインです。

 

 人間の身体は約60%が水分でできています。そして、身体の水分の約5%が不足するだけで、熱中症や脱水症状などの症状が現れます。さらに、10%を失うと筋肉痙攣や循環不全などが起こり、脳梗塞や心筋梗塞なども発生しやすくなります。

 身体中の水分の20%を失うと死に至ると言われ、たかが水と馬鹿にできません。

 (※右上は厚生労働省主導による「健康のため水を飲もう」推進委員会作成のリーフレット)

!熱中症関連サイト → 環境省のインターネットWEBサイト ・ NHKのWEBニュース

  

■その他の管理・指導項目

【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】

異常気象への警戒を促しましょう

集中豪雨時には車による移動が危険な場合もある

──7月は集中豪雨などの多発時期

 7月は、停滞した梅雨前線に向かって台風などの影響で暖かく湿った空気が流れ込み、大雨・豪雨となりやすい時期です。

 とくに最近は、台風が直接上陸しなくても豪雨災害が発生しやすくなっています。気象情報に注意し、豪雨時には無理な運行を避けてください。車で移動している従業員には、早めに安全な場所で待機するように指導しましょう。

 

平成24年7月 九州北部豪雨 

 2012年(平成24年)7月11日から7月14日にかけて九州北部を中心に発生した豪雨で、死者・行方不明30名。柳川市では農業用水路に転落した車の中か

ら男性1人が見つかり、死亡が確認されました

 

平成23年7月 新潟・福島豪雨

 2011年(平成23年)7月26日から7月30日にかけて、新潟県中越、下越地方、福島県会津地方で発生した集中豪雨では、死者・行方不明6名。奥只見シルバーラインは土砂崩れで全面通行止めとなり、孤立した宿泊客・住民ら173人が自衛隊のヘリコプター5機で救助されました。

 

平成21年7月 中国・九州北部豪雨

 2009年(平成21年)7月19日から7月26日にかけて、中国地方から九州北部(正確には九州中部地域)の地域を中心に襲った集中豪雨では、死者31名・負傷者55名という大災害に発展しました。国道が鉄砲水で通行止めになり、通行車両に乗っていた人など3名も犠牲となりました。

【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】

イラストは「構内事故の危険に気づこう」より
イラストは「構内事故の危険に気づこう」より

荷役労働災害を防止しよう<貨物>

 陸上貨物運送事業労働災害防止協会では7月の1か月間、自動車運送事業者の労働災害を防止するため夏期労働災害防止強調運動を実施します。

 

 平成26年中の陸上貨物における労働災害は、死傷災害は前年と比べて0.1%増と微増でしたが、死亡災害は前年と比べて23.4%増と大幅に増加しています。

 

 死傷労働災害の約7割は荷主・配送先の事業所で発生し、事故類型では交通事故は全体の7.3%で、荷台等からの墜落・転落、転倒、動作の反動・無理な動作、フォークリフト等の荷役運搬機械災害といった荷役作業時における労働災害が約7割を占めています。

 

 トラック運送事業者や倉庫業者では、荷主等と密接なコミュニケーションをとって、荷役現場における転落・転倒などの危険箇所をチェックし改善措置をとると共に、運転者・作業者に安全教育を実施することが求められています。

イラストは「フォークリフトオペレータのための安全運転読本」より
イラストは「フォークリフトオペレータのための安全運転読本」より

こんな事故が起こっています!

 

●運送会社の従業員で荷主先の工場に常駐していたフォー

 クリフトオペレーターが、マストとヘッドガードの間に

 挟まれて死亡しました!

●トラックに積み込む際、荷の高さがパレットを含めて、

 1.89mとぎりぎりであったため、荷の上部が天井につか

 えて手前(運転席側)に崩れかかりました。

●このため、フォークリフトを停止し、エンジンを切らず

 運転席の前(メーターパネル部分)に上り、マストとヘッ

 ドガードの間に身体を入れて立ち、荷の上部を両手で押

 して崩れを直し始めたのです。

●このとき誤って足が「テイルトレバー」に接触したもの

 と思われ、マストが後傾し、ヘッドガード前部との間に

 身体が挟まれました。

 

(※この災害事例は、厚生労働省「職場の安全サイト── 労働災害事例」より引用しました)

車内事故キャンペーン
イラストは「車内事故の危険度をチェックしよう」より

車内事故防止キャンペーン<旅客>

 7月の1か月間は乗合バスを中心に車内の乗客事故を防止するための事故防止キャンペーンが実施されます。

 

 国土交通省の統計によると、乗合・貸切バスの車内事故(死傷事故)は平成25年中に267件発生し、重傷者が38.4%、軽傷者が61.6%で死者はゼロでした(平成26年は死亡事故が報告されています)。

 

  車内事故の原因分析では、「乗客の不安定姿勢」「急ブレーキ」がトップで、それぞれ27.0%(72件)、「車室外(開扉等)」9.7%(26件)、その他となっています(※)。

 

 各地のバス協会では、ドライバーがアナウンスなどを活用して走行中の乗客安全確保を徹底するとともに、急ブレーキや急発進などを控えるよう教育を呼びかけています。

 また、関東運輸局では、関東地区バス保安対策協議会と合同で「バス事故防止対策検討ワーキング・グループ」を設置して事故防止指導をしています。これらの資料も活用しましょう。

 

 ※国土交通省「自動車運送事業用自動車事故統計年報」平成25年版/平成27年3月発行より

※関東運輸局による資料「乗合バスの車内事故防止に関する調査報告書」はこちらを参照 

  

■7月の安全運転管理ごよみ (2015年/平成27年)

日  付 行 事 等

 1日水)

国民安全の日──交通事故、火災、産業火災などの日常生活を脅かす災害の防止を目的に、総理府が1960年(昭和35年)に制定。

 1日水)

・名神高速道路全通記念日──1965年(昭和40年)に愛知県小牧市から兵庫県西宮市までの名神高速道路が日本で初めての本格的な高速道路として全線開通したことによります。

 1日(水)~

 7日火)

 

・全国安全週間──平成27年度 スローガン

 危険見つけてみんなで改善 意識高めて安全職場

 詳しくは、厚生労働省または中央労働災害防止協会のWEBサイトを参照してください。

 1日(水)~

 14日火)

・平成27年度 Gマーク(安全性評価認定)申請受付──全日本トラック協会のwebサイトから申請書類等をダウンロードできます。

 1日(水)

 31日(金)

 

・平成27年度陸上貨物運送事業「夏期労働災害防止強調運動」──全国安全週間と相まって、7月1日から31日にかけての1か月間は陸上貨物運送事業労働災害防止協会も独自の安全運動を実施します。

 今年のスローガンは、「手順書は 危険回避の 道しるべ!」となっています。詳しくは、同協会のWEBサイトを参照してください。 

 1日(水)

 31日(金)

・車内事故防止キャンペーン(バス)──走行中のバス車内での転倒事故等を防止するため、全国で、都道府県バス協会やバス事業者が車内事故防止のキャンペーンを展開します。

 1日(水)

 31日(金)

・熱中症予防強化月間──熱中症の予防対応策について正しい知識を普及するため、環境省が2013年度から実施しています。

 1日(水)

9月30日

・平成27年度 港湾労働安全強調期間──港湾貨物運送事業労働災害防止協会による全国安全週間に呼応した活動。港湾内の事故防止活動を推進。

 ●27年度のスローガン──

 「危険見つけてみんなで改善 意識高めて安全職場」

  詳しくはこちらを参照してください。

 7日(火)

・小暑、七夕、川の日

 14日(火)

・7月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等についての情報提供・注意喚起を行っています。

 16日(木)

・国土交通Day──国土交通行政の意義や重要性を国民にアピールする日。国土交通省が2001年に制定しました。

 18日(土)

・勤労青少年の日(7月第3土曜日)

 ~19日()

・「ダメ。ゼッタイ。」普及運動──麻薬・大麻・危険ドラッグなどの薬物乱用を防止するため毎年6月20日からの1か月間、啓発運動が実施されています(厚生労働省、都道府県などが実施)。

 20日(

・海の日

 20日(

・日本交通医学工学研究会 24回学術総会──「居眠り事故の防止」

 毎年名古屋市で交通医学と自動車工学の学際的講演・研究発表の学術総会を開催しています。詳しくは、同研究会のwebサイトを参照。

 23日(木)

・大暑

 30日(木)

・東北自動車道全通記念日──1986年(昭和61年)のこの日に浦和-青森

 間 674kmの東北自動車道が全線開通しました。

   
 ~ 9月30日

 

・夏の省エネキャンペーン──エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、6月から省エネキャンペーンが行われています。

 7月中旬

平成27年 秋の全国交通安全運動 推進要項発表内閣府

 7月下旬

・平成27年4月分 トラック輸送情報国土交通省

・平成27年上半期の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について(警察庁)

 

 

 ◆7月の日没時間国立天文台天文情報センターによる)

 1日(水) 福岡 19:33 大阪 19:15 東京 19:01
 15日( 福岡 19:30 大阪 19:12 東京 18:57
 31日(金) 福岡 19:20

大阪 19:02

東京 18:47

 

「早めにつけよう おもいやりライト
 運動に取り組みましょう!
 運転者の皆さん!早めの点灯を意識しましょう。少しだけの配慮で交通事故を減らすことができます。遅くても日没の30分前には、ぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどに警戒することを習慣としてください。

 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。


 詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください

 

 また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開し、JAFインターネットWEBサイトでライト点灯に関して様々な情報提供をしています。

 ※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください

 
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