貸切バスの安全運行総合対策──12月までの実施項目

■軽井沢スキーバス事故対策の進捗状況まとめ

 

 平成28年1月15日に長野県軽井沢町で発生したスキーバス転落事故を踏まえて、貸切バスの事故対策を話し合っていた「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」が6月3日に最終とりまとめを行い、報告書を公表しました(「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」)。

 

 国土交通省は、この対策の進捗状況を平成28年12月20日公表しましたが、それによると、85項目にのぼる対策項目の内、71項目が実施済みとなっています。

 

 貸切バス事業者、運行管理者の遵守事項と責任が強化されたほか、法令違反の早期是正のため、行政処分基準も大幅に強化されています。

 

 運転者に対しては、技量チェックの強化として全ての初任運転者の適性診断を義務づけたほか、初任運転者に実技訓練などの実施も義務づけます。

 さらに、監査の実効性を上げるための民間機関などを創設し、ルール違反をする事業者の是正と排除を強調しています。

 詳しくは、国土交通省のWEBサイトを参照してください。

■平成28年8月31日施行

 対策項目 具体的な内容
車体構造の強化    乗車定員18人以上のバスについて、国連が定める車体の強度に関する基準を義務化する(転覆時に乗員保護空間を確保する強度を有する構造)。
道路運送車両の保安基準改正、平成30年10月1日以降新型車両に適用

■平成28年11月1日施行

 対策項目 具体的な内容

運転者の技量

チェックの強化 

 事業者は、新たに雇い入れた運転者の経歴と運転経験(車種ごと)を申告させ、その内容を乗務員台帳に記載しなければならない。
【8月31日に旅客自動車運送事業運輸規則を改正

不適格者の排除  

 運行管理者資格者証の返納命令を受けた者は欠格期間中、運行管理者の補助者としてもバス事業の運行管理業務に従事できない(貸切バス事業者に限らず、すべての旅客自動車運送事業に適用/欠格期間は12月20日より5年に延長 )
【8月31日に旅客自動車運送事業運輸規則を改正

旅行業者との

関係強化

 貸切バス事業者は、申込者に対して支払う手数料等の額を記載した書類を運行引受書の写しとともに1年間保存しなければならない。
【8月31日に旅客自動車運送事業運輸規則を改正

旅行業者との

関係強化

 貸切バス事業者が旅行業者(申込者)と取り交わす運送申込書/引受書の記載事項の中に、運賃・料金の上限額・下限額が追加される。
【8月31日に旅客自動車運送事業運輸規則の関連告示を改正

■平成28年11月15日施行

 対策項目 具体的な内容

事業用設備の

強化 

 大型バス等の乗用自動車の補助座席について、座席ベルトと座席ベルト取付装置の装着を義務づける。(経過措置有り)
【8月31日に「道路運送車両の保安基準」を一部改正

■平成28年12月1日施行

 対策項目 具体的な内容

運行管理者の

遵守事項の強化 

 バス事業の運行管理者資格要件には「5年以上の実務経験も可」となっているが、貸切バスは運行管理者試験合格者に限定する。
【11月15日に旅客自動車運送事業運輸規則を改正

運行管理者の

遵守事項の強化  

 夜間・長距離を運行する貸切バス運転者について、道路及び運行状況、疲労の有無等を確認する乗務途中点呼の実施を義務づける。
【11月15日に旅客自動車運送事業運輸規則を改正

初心運転者等への

指導・監督強化

 貸切バス運転者に直近1年間に乗務していた車種区分より大きいバス(中型・大型等)に乗務させる場合については、初任運転者と同様の特別な指導・監督の実施を義務づける(準初任運転者)。
【11月15日に旅客自動車運送事業運輸規則を改正

貸切バス事業者の

遵守事項の強化

 貸切バス事業者が輸送の安全情報を公表した場合、遅滞なく、その内容を国土交通大臣に報告することを義務づける。
【11月15日に旅客自動車運送事業運輸規則等を改正

不適格者の排除

 乗車定員11人以上の自動車の使用者は、整備管理者を解任された者を、その日から5年間は整備管理者として選任することができない。
【11月15日に道路運送車両法施行規則を改正

初心運転者等への

指導・監督強化

 貸切バス事業者は新たに雇い入れる「すべての運転者」に対して、適性診断(初任)を受診させ、運転特性を踏まえた決め細やかな指導・監督を実施することが義務づけられます。

【8月31日に運輸規則・告示等を改正

初心運転者等への

指導・監督強化

 

 貸切バスで新たに雇い入れた運転者等への指導に20時間の実技訓練を義務づけるほか、実技以外の指導(座学)時間を6時間とする(平成29年12月1日以降は座学を10時間に延長する)。
 一般的な指導・監督の内容として『安全性の向上を図るための装置(ASV装置など)を備える貸切バスの適切な運転方法等』を追加する。

【11月17日に指導・監督の指針(告示)等を改正

 対策項目 具体的な内容

違反の早期是正と

処分の厳格化 

 

 貸切バスの行政処分基準を厳格化し、甚大な人身被害をもたらす事故を起こした場合であって、事業者に悪質な違反がある場合は、累積点数に関わらず事業許可の取消処分を行うことができる。
→ 6月30日に通達を改正、7月1日から施行

 貸切バスの街頭監査で法令違反が発見された場合、改善されるまでは運行ができなくなり、その場で輸送の安全確保命令、車両の使用停止命令が発動される。また、一般監査でも重大違反事実が発覚した場合、即30日間の事業停止が科されるとともに、是正されない場合は事業許可が取り消される

 貸切バス輸送の安全にかかわる違反の処分定量を全体に引き上げるとともに、行政処分により使用を停止する車両台数についても引き上げられる。

→ 【11月18日に通達を改正

■平成29年12月1日施行

 対策項目 具体的な内容

運行管理者の

あり方 

 

 車両数にかかわらず運行管理者は最低2名以上の選任を義務化する。

 さらに、現行では30両ごとに名人とされている営業所の運行管理者の必要選任数は20両ごとに1名に引き上げられる(※100両以上分に関しては30両ごとに1名)。

→ 【11月15日に運輸規則を改正、平成29年12月に施行

事業用設備の

強化 

 貸切バスでは、一定の性能を満たすドライブレコーダーを装着し映像の記録・保存と、その記録を活用した運転者への指導・監督を義務づける。

→ 【11月15に運輸規則を改正、平成29年12月に施行 

 【運行管理者選任数の例

 貸切バス保有台数 39両までの営業所  ・最低2名以上

 〃        40両以上の営業所  ・20両ごとに1名増員

 〃        100両以上の営業所  ・30両ごとに1名増員。

 ※ただし、営業所のバス台数が4両以下で地方運輸局長が運行の安全確保に支障がないと認める場合は1名でも可

■その他運行管理者に対する行政処分の見直し

 対策項目 具体的な内容

運行管理者の資格

返納処分の対象拡大         

 貸切バス事業者が甚大な人身事故を起こし、「事業許可取消」処分を受けるような場合で、運行管理に係る悪質な法令違反が認められる場合は、営業所の全運行管理者に対して運行管理者資格者証の返納が命じられるようになる。
 【平成28年6月30日に通達を改正、7月1日から施行
 貸切バス事業者が繰り返し違反を是正しない場合で、「事業許可取消」処分を受けた場合、事業者に勤務する全運行管理者に対して運行管理者資格者証の返納が命じられるようになる。
 【平成28年に通達を改正、12月1日から施行
 貸切バス事業者が重大事故等を起こして監査を行った結果、「処分の量定」が120日車以上となった場合、違反に関わった全運行管理者に対して運行管理者資格者証の返納が命じられるようになる。
 【平成28年に通達を改正、12月1日から施行
 運行管理者が自家用車の運転中に飲酒運転又は薬物運転をした場合も資格者証の返納が命じられるようになる。
 【平成28年に通達を改正、12月1日から施行

■このほか、貸切バス事業者に対する法規制の強化

 貸切バス事業者に対する法規制も非常に厳しくなります。

 

 平成29年4月より、改正道路運送法により既存事業者を含めて事業許可の更新制が導入されます。

 

 また、輸送の安全確保命令に従わない場合の罰則も強化され、許可取り消し処分を受けた事業者の欠格期間は5年に延長(運行管理者も同様)され、不安全な事業者のグループ会社や監査後にすぐ廃業し処分を逃れた事業者の場合も参入できなくなります。

 対策項目 具体的な内容

監査機構の補完と自主改善を促進

 
 貸切バス事業者への監査機能を補完するため、民間の指定適正化機関による巡回指導を行い、貸切バス事業者からそのための負担金を徴収する仕組みが創設される。
平成28年12月9日に道路運送法改正、12月20日から施行
欠格期間延長と処分逃れ事業者の排除等 

 事業許可取消し処分を受けた貸切バス事業者が再度許可を受けるまでの期間が改正前の2年から5年に延びる。 

 許可取消事業者のグループ会社や監査後にすぐ廃業し処分を逃れた事業者の場合も参入を拒む。 
 運行管理者証の返納命令を受けた場合も、欠格期間が改正前の2年から5年に延長される。
平成28年12月9日に道路運送法改正、12月20日から施行
事業許可の更新制を導入 

 既存のバス事業者を含めて貸切バス事業を一定期間ごとにチェックする事業許可の更新制を導入し、安全に事業を遂行できる能力がないとされると事業を更新できなくなる。 原則5年更新制度。

平成28年12月9日に道路運送法改正、平成29年4月1日から施行

●法人の罰則重科(100万円以下 → 1億円以下)

 罰則面では、改正前の道路運送法における「輸送の安全確保命令への違反」は違反行為者に対して「100万円以下の罰金」、法人に対しても同じ罰則となっていました。

 しかい、航空法や鉄道事業法では罰則が「1年以下の懲役又は150万円以下の罰金」、法人への罰則は「1億円以下の罰金刑」となっていることから、法人重科の規定を創設して、貸切バス事業者の罰則額は現行の100倍に引き上げられました。

 

●経営者・運行管理者の懲役刑も新設

 また、経営者、運行管理者に対する輸送の安全命令違反の罰則も、現行の「100万円以下の罰金」から「1年以内の懲役または150万円以下の罰金」に強化されました。

 【平成28年12月20日施行

 

■バス事業者のための点呼ツールを発売

 指導用テキスト「バス事業者のための点呼ツール」は、点呼の実施方法から解説し、点呼用資料として、実際に点呼をする際に役立つ「安全指導場面」を30場面収録したバス事業者様のための教材です。

 

 言葉だけでは伝わりにくい安全運転のポイントや注意事項も、イラストがあればより具体的に危険や安全運転ポイントをイメージすることができます。

 

 また、近年改正された道路運送法や旅客自動車運送事業運輸規則等の改正ポイントもわかりやすく解説しています。

 

【詳しくはこちら】

バスドライバー向けの指導・監督の資料については   → こちらも参照 


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