7月は暑さによる疲労などから、過労・居眠運転の危険が高まります。また、レジャードライブが増え、夏祭りや花火大会など夜間行事も多いので飲酒運転が発生しやすい時期でもあります。
管理者の皆さんは、全国安全週間や地域における夏の交通事故防止活動などの機会をとらえて、運転者への指導・監督を強化しましょう。
また、異常気象への備えも重要な時期です。
事業用自動車は、法令改正などに気を配ってください。
過労・居眠運転事故を防ごう
■早めの休憩で疲労防止を
この時期は気温が高く、日中の運転は太陽光線を浴びて疲れやすいので、早めに休憩して疲れを防ぐことが大切です。
疲れてしまってから休憩しても、なかなか疲労は取れませんが、疲れる前に休憩すると疲労防止効果が高いと言われていますので、早めに安全な場所での休憩を心がけてください。
また、運転中は同じ姿勢をしていて筋肉が固くなっていますので、サービスエリアなどで休憩するときは、背筋を伸ばして肩甲骨を動かしたり、足のふくらはぎを伸ばすストレッチをしておくと、疲れが防止できます。
夏場は居眠事故が多いのも特徴です。注意しましょう。
居眠り運転事故が起こりやすいピークの時間帯は、夜半から明け方にかけてですが、もう一つのピークが昼間の午後2時から3時ごろの時間帯です。
時間帯によって眠気が発生する要因は人間の生体リズム(サーカディアンリズム/または概日・概半日リズム)と関係が深く、健康な普通の人でも昼食後の時間帯は眠くなる危険が高いのです。
これに、暑さによる疲労や睡眠不足などが重なると、さらに居眠りのリスクが高まります。
午後の居眠り運転防止策として、昼食後すぐに運転を再開しないで、休憩時間をとって15分くらいの仮眠をすると効果があると言われています。
15分程度の仮眠は深い眠りに入らないので、目覚めた後にまた眠くなる恐れも少なく、運転者にはお勧めです。なお、明け方の眠気は短い仮眠程度では解消できない場合が多いので、深夜から明け方に眠い場合は、無理をしないで4時間以上のちゃんとした睡眠をとりましょう。
全国安全週間に沿った活動を実施しよう
全国安全週間(1日~7日)が実施されます。この機会をとらえて、総合的な安全活動を実施しましょう。
本年度のスローガンは
「組織で進める安全管理 みんなで取り組む
安全活動 未来へつなげよう安全文化」
です。
ちなみに、厚生労働省の統計によると、平成28年中の労働災害による死傷者数(死亡・休業4日以上)は117,910人で、平成27年に比べて1,599人(1.4%)増加しています。
死傷者数が多い業種は、製造業が26,454人(前年比63人・0.2%増)、建設業が15,058人(同526 人・3.4%減)、陸上貨物運送事業が13,977人(同92人・0.7%増)、 小売業13,444人(同414人・3.2%増)となっています。
また、死亡災害の内容別内訳では、高所からの「墜落・転落」が232人(前年比16人減・6.5%減)、「交通事故(道路)」が218人(同29人増・5.3%増)、機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」が132人(同4人増・3.1%増)となっています。
■こんな労災事故が起こっています
2016年5月9日午前8時半ごろ、埼玉県戸田市にある運送会社の営業所で、56歳の男性社員が横転したフォークリフトの下敷きになって死亡しました。
この社員は、同日午前7時ごろから、フォークリフトでコンクリート材料をトラック荷台に積み込む作業を行っていましたが、積み込み作業が終了し、トラックが発車しようとした際、フォークリフトが転倒して車体の下敷きになりました。
積み荷かトラックの車体一部がフォークリフトに接触して転倒したのではないかとみられています。死亡した社員は、フォークリフトのシートベルトを着用していませんでした。
※建設業労働災害防止協会「平成29年度安全週間実施要領」などを参照して作成しました。
これを参考に事業所独自の計画表を定めてください。
日 時 | 項 目 | 実施内容(例) |
7月1日(土) | 国民安全の日 |
●車内、車庫などの整理・整頓、清掃 ●ゆっくりと休養する |
7月2日(日) | 家族安全の日 |
●安全や事故防止について家族みんなで考える ●明日の労働に備えて、英気を養う |
7月3日(月) | 趣旨徹底の日 |
●運転者代表による「安全の誓い」決意表明 ●安全週間の意義と重要性を広報 ●ポスター、垂れ幕掲示、パンフ配布 |
7月4日(火) | 総点検の日 |
●ヘルメット・シートベルトの完全着用チェック ●車両一斉点検、フォークリフト点検 |
7月5日(水) | パトロールの日 |
●安全パトロールの実施、交差点監視活動 ●構内等における不安全行動の確認 |
7月6日(木) | 安全教育の日 |
●ヒヤリ・ハット体験を活用した安全運転教育 ●構内危険箇所に関する情報共有教育 ●DVD等を通じた事故防止教育 |
7月7日(金) | 反省の日 |
●準備期間/安全週間を通じた活動の反省 ●優良運転者グループ、個人の表彰等 |
紫外線から身を守ろう
■日焼けによる影響に注意しましょう
夏場は強い太陽光線にさらされ全身に紫外線を浴びて日焼けします。
日焼けすると、身体のダメージを防ぐため代謝が上がるとともに活性酸素が体内に発生し、疲労物質を増やして疲労感を感じるようになります。夏の疲れは暑さだけでなく、日焼けも関係しているのです。
ですから、日中は日陰を選んで歩くようにするほか、日焼け止めを塗ったり、つばのある帽子をかぶる、袖の長い服を着るなどの対策を心がけることが大切です。
なお、夏の時期は薄曇りであっても紫外線A波(UVA)は地表にたくさん届きますので、屋外労働の人は休憩時などなるべく屋根のある場所に入る習慣をつけてください。
また、紫外線による疲労を防ぐにはビタミンB1などのビタミンB群が有効です。豚肉、ウナギ、ハムなどに多く含まれますので、夏場は積極的に摂取するように心がけましょう。
■UVカットレンズで目を守ろう
紫外線は肌への影響だけではなく、目にも害があります。目から長時間紫外線が体内に入ると日焼けと同じ反応があり、全身を疲労させるということが最近の研究で明らかになってきました。
また、紫外線は白内障を進行させる原因の一つとも言われていますので、日中の運転時には、サングラスやUVカット加工を施したメガネを着用して、目を守りましょう。
ただし、あまりレンズの色が濃いサングラスを運転中にかけると、トンネル走行時などに見えにくくなって危険ですし、色の濃すぎるレンズは、むしろ目を疲れさせるとも言われています。
サングラスの色が濃くても紫外線対策には関係なく、レンズのUVカット性能さえ高ければ、色の薄いサングラスでいいことを覚えておきましょう。
■集中豪雨、台風などに備えよう
7月は、停滞した梅雨前線に向かって台風などの影響で暖かく湿った空気が流れ込み、大雨・豪雨となりやすい時期です。とくに最近は、台風が直接上陸しなくても豪雨災害が発生する例が多くなっています。
また、台風接近等による強風のため、風速が30mを超えるとトラックなどの横転事故も起こりやすくなります。気象情報に注意し、豪雨・強風時には無理な運行を避けてください。
すでに車で移動している従業員には、早めに安全な場所で待機するように指導しましょう。
※参照/気象庁作成リーフレット「風と雨」
■飲酒運転を根絶しましょう
悪質な酒酔い運転事故は減少していますが、平成28年の飲酒運転による死亡事故は213件発生して、前年より12件増え死者は221人となっています。
飲酒運転をした場合の死亡事故発生率は、それ以外の場合の8倍以上で危険性が非常に高いことには代わりありません。
なお、最近の酒気帯び運転摘発例では、前夜の飲酒が残る「酒気残り」運転が目立っています。
前夜の酒であっても「酒気帯び」には違いありませんので、免許停止・取消しは免れません。ビールなどの飲酒量が増える時期ですので、飲酒運転根絶に向けた指導の徹底が必要です。
■熱中症予防を徹底しましょう
気温が上昇し、熱中症で倒れたり病院に搬送される人が目立ちます。
総務省消防庁の調査によると、平成29年5月29日~6月4日までの全国の熱中症による救急搬送人員は1,086人でした。平成28年同時期の560人と比べると、約2倍のペースで多発しています。
職場における熱中症予防対策として、以下の5点を徹底しましょう。
炎天下で長時間荷役作業などをする人にも注意し、少しでも気分が悪くなったら、すぐに涼しい日陰で休憩させることが大切です。
→ ※WBGT値(暑さ指数)については、環境省の熱中症予防情報 を参照。
★熱中症関連サイト → 環境省のインターネットWEBサイト ・ NHKのWEBニュース
■夏季の事故防止活動への参加
地域の交通安全協会や安全運転管理者協会、などの主催する夏の交通事故防止運動が実施される時期です。
夏場は、レジャー運転時の事故や飲酒運転が増加する時期ですので、積極的に参加しましょう。
またこれらの運動に関連して無事故コンクールを7月から始める都道府県も多いようです。
事業者のドライバーを交通事故防止運動や無事故キャンペーンに参加させるとともに、社内でも無事故・無違反運動を継続的に展開して、効果をあげてください。
【トラック運送事業の運行管理者向け】
■荷待ち時間等の記録を義務づけ
(7月1日から)
さる5月31日、国土交通省は貨物自動車運送事業輸送安全規則を改正し、荷主の都合により待機した場合、待機場所、到着・出発や荷積み・荷卸しの時間等をトラックドライバー乗務記録の記載対象として追加することを義務づけました。
荷待ちの実態を把握し、そのデータを元にトラック事業者と荷主の協力を促進し、トラックドライバーの労働時間削減に結びつけたいという意向です。
また、記録データは荷待ち時間を生じさせている荷主に対して荷主勧告等を行う際の判断材料ともなります。
荷待ちの記録があれば、荷主にその分の人件費負担を請求しやすくなりますので、運行管理者の皆さんは、乗務記録用紙(運転日報)に該当項目を追加して、正確に記録しておきましょう。
●貨物自動車運送事業輸送安全規則に付加された条文(第8条6号関係)
6 トラックドライバーが車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合にあっては、次に掲げる事項について記録し、1年間保存しなければならない。
イ 貨物の積載状況
ロ 荷主の都合により集貨又は配達を行った地点で待機した場合にあっては、
1 集貨地点等
2 集貨地点等への到着の日時を荷主から指定された場合は、当該日時
3 集貨地点等に到着した日時
4 集貨地点等における荷積み又は荷卸しの開始及び終了の日時
5 貨物の荷造り、仕分その他の附帯する業務を実施した場合、業務の開始及び終了の日時
6 集貨地点等から出発した日時
【バス運送事業の運行管理者向け】
■車内事故防止に努めましょう
バス協会では、7月1日~7月31日まで全国一斉に「車内事故防止キャンペーン」を実施します。管理者の皆さんも、運転者への指導を強化しましょう。
最近の車内事故事例として、以下のような事故が報道されています。
《事故事例》
レバーに手をかけていて誤ってドアを閉める
2017年5月31日午前9時頃、岐阜市内にある路線バスのバス停で、乗客(48歳)がバスを降りようとしたところ、突然バスのドアが閉まったため押し出されるように道路上に転倒し、負傷する事故が起こりました。
バス運転者は、すぐにドアを開け閉めできるようハンドル右にある開閉レバーに手をかけていたということで、「ドアを閉める方のレバーに誤って指がひっかかってしまった」と話しています。
■素早い操作より、しっかり確認して確実な操作を
運転者の中には発進を急ぐあまり、乗客が降りている間も次の操作に気がいって操作レバーに手をかけていたり、右ミラーの方ばかりを見てハンドルやアクセル操作の準備をしようとする癖がついている人がいます。流れるような素早い同時操作が上手な運転だと勘違いしているのです。
このような運転習慣は、事例のような操作ミスや見込み発進に結びつきやすくなります。
プロドライバーは安全が確保できてこそ上手な運転です。一つひとつの操作を切り分けて、しっかりと安全確認をしてから、確実に操作を行うように指導しましょう。
日 付 | 行 事 等 |
1日(土) |
・国民安全の日 ──交通事故、火災、産業火災などの日常生活を脅かす災害の防止を目的に、総理府が1960年(昭和35年)に制定しました。 |
1日(土) |
・貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正(国土交通省) ──乗務記録に「荷待ち時間等の記載」を義務づけ |
1日(土) |
・名神高速道路全通記念日──1965年(昭和40年)に愛知県小牧市から兵庫県西宮市までの名神高速道路が日本で初めての本格的な高速道路として全線開通したことによります。東名高速道路は1969年5月26日に全通。 |
1日(土)~ 7日(金) |
・全国安全週間──平成29年度 スローガン 「組織で進める安全管理 みんなで取り組む安全活動 未来へつなげよう安全文化」 詳しくは厚生労働省、中央労働災害防止協会サイトを参照。 |
1日(土)~ 14日(金) |
・平成29年度 Gマーク(安全性評価認定)申請受付──全日本トラック協会のwebサイトから申請書類等をダウンロードできます。 |
1日(土)~ 31日(月) |
・平成29年度陸上貨物運送事業「夏期労働災害防止強調運動」
──全国安全週間と相まって、7月1日から31日にかけての1か月間は 陸上貨物運送事業労働災害防止協会も独自の安全運動を実施します。 詳しくは、同協会のWEBサイトを参照してください。 |
1日(土)~
31日(月) |
・車内事故防止キャンペーン(バス)──走行中のバス車内での転倒事故等を防止するため、全国で、都道府県バス協会やバス事業者が車内事故防止のキャンペーンを展開します。 |
1日(土)~
31日(月) |
・熱中症予防強化月間──熱中症の予防対応策について正しい知識を普及するため、環境省が2013年度から実施しています。 |
1日(土)~ 9月30日 |
・平成29年度 港湾労働安全強調期間──港湾貨物運送事業労働災害防止協会による全国安全週間に呼応した活動。港湾内の事故防止活動を推進。 ●29年度のスローガン── 「組織で進める安全管理 みんなで取り組む安全活動 未来へつなげよう安全文化」 詳しくはこちらを参照してください。 |
7日(金) | ・小暑、七夕、川の日 |
11日(火) |
・7月の製品安全点検日
──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
15日(土) | ・勤労青少年の日(7月第3土曜日) |
16日(日) | ・国土交通Day──国土交通行政の意義や重要性を国民にアピールする日。国土交通省が2001年に制定しました。 |
17日(月) | ・海の日 |
~19日(水) | ・「ダメ。ゼッタイ。」普及運動──麻薬・大麻・危険ドラッグなどの薬物乱用を防止するため、毎年6月20日からの1か月間、啓発運動が実施されています(厚生労働省、都道府県などが実施)。 |
23日(日) | ・大暑 |
30日(日) |
・東北自動車道全通記念日──1986年(昭和61年)のこの日に浦和-青森 間 674kmの東北自動車道が全線開通しました。 |
~9月10日 |
・交通安全ファミリー作文コンクールの募集 (6月20日より募集、応募締切は9月10日──詳しくは、警察庁のWEBサイトを参照) |
~9月30日
|
・夏の省エネキャンペーン──6月より実施/エネルギー消費の大きなピークの季節を迎え、省エネキャンペーンが行われています。 |
7月中旬 | ・平成29年6月末までの交通事故発生状況発表(警察庁) |
7月下旬 |
・平成29年5月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
◆7月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(土) | 福岡 19:33 |
大阪 19:15 |
東京 19:01 | 札幌 19:18 |
15日(土) |
福岡 19:29 | 大阪 19:12 | 東京 18:57 | 札幌 19:12 |
31日(月) | 福岡 19:19 |
大阪 19:01 |
東京 18:46 | 札幌 18:58 |
早めに点灯するあなたの配慮が交通事故を減らすことに結びつきます。遅くても日没の30分前にはぜひ点灯するとともに、歩行者の見落としなどを警戒して運転してください。
「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する運転者が増えています。
また、JAF(日本自動車連盟)も早期ヘッドライト点灯キャンペーンを展開しています。
JAFのインターネットWEBサイトではライト点灯
に関して様々な情報提供が行われます。
※詳しくは JAF Safety Light のサイトを参照してください